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アトリエ ここるぴあ

和紙作家 佐治直子のブログです。キンカチョウのことりたちと、工房『アトリエここるぴあ』での出来事を綴ります。

こんなふうに作っています

2013年08月10日 | 作る
ANAグランコート名古屋のオーキッドガーデンで、偶然私の作品をご覧になって
このブログを見ていただいた方や、あらためてこの作家はどんな感じで作品を作って
いるのかな?と思われた方のために、今日は私が自宅アトリエここるぴあで
どんなふうに紙を漉いて作品を作っているのか、ご紹介します

まず、原料の楮(こうぞ・木の皮です)を水に2晩さらします。
その間、何度も何度もバケツの水を替えます。


そしたら鍋に入れて約2時間、ことこと煮ます。

うちではパスタ鍋を使用しているので、1回に楮100gずつ煮ます。
煮上がったら鍋ごと新聞紙と毛布でくるんで一晩置きます。

翌朝、水にさらしてアク抜きをし1本ずつ水の中でチリをとります。

 ↑ ココちゃんと(2007年)  ↓ るーちゃんと(2012年)

カメラを向けられるのが気に入らないようで、どちらも少し不機嫌な表情ですね。
ちなみこの二人は会ったことがありません。ココちゃんが天国に旅立ってから、
約1年半ことりがいない時期がありました。その間にできた本が『ことりの
ココちゃん』で、それをきっかけにるーちゃんがうちにくることになったのです。

そのあと、繊維をほぐすため石の板の上で角材で叩きます。大体2,3時間くらい。


ほぐしてホワーっと綿状になった繊維を水に混ぜ、たくさんたくさんかき混ぜ、
そこにトロロアオイの根から採った粘液を入れてかき混ぜます。それをアミや
竹簀に流しこみ紙を漉いていきます。トロロアオイの根は、前日には叩いて
水につけておきます。うちはそれをそのまま冷蔵庫へ入れてます。

 ↑ アミにボールから流し込んだり

 ↑ 混ぜた原料に竹簾を入れて何度もすくったり

大きい網はベランダやお風呂場で漉きます。

うちでは仕事をしていると、いつもことりが飛んできて、じっと見ていたり、るーは
肩に乗って「なおちゃん大好き、なおちゃん大好き!」とささやくので大変です。
写真は撮れないけど、頭にぴあくん、左肩にるー、右肩にぷるが乗っていることも!
 ↓ これはぷるがヒナの時、左がぷるで右がるー
   るーママにごはんをねだっています


色を染めるときは

紅茶や、アカネや、スオウ、カモミールなどを煮だして染液を作り、叩いた楮の繊維を
入れて30分くらい煮込んでから、みょうばんの溶液に20分くらいひたして媒染し、
その後、染液に戻して火からおろし、冷めるまでそのまま置いておきます。
それを、トロロアオイの粘液と混ぜて上記と同様に漉きます。


そして、ベランダや室内で乾かすのです。


大きい紙はある程度乾くまでは外に出しておきたいので、雨が降ると出せないため
急いでいる時は困ります。

乾いたらアミや、張り付けていた板から剥がして和紙のできあがりです。

「今日は天気がいいから紙でも漉こうか!」と思っても最低3晩の準備をしていないと
できません。そして、それぞれの工程に手間と時間がかかります。素材となる紙が
できるまでが大変なのです。

それを、切ったり縫ったり印刷したりして作品に仕上げます。

これは今回のルイボスティーのバッグのあかりの部品を縫っているところ。
左腕にはるーちゃんが乗っています。

写真の作品などにする紙は、プリンターでの引っかかりを少なくするために
こんにゃく糊を表面に塗る時もあります。貼り付ける糊も自分で作るので、
今回の制作に追われている時には、右手で貼りつけるためのしょうふ糊を、
左手でこんにゃく糊を同時にかき混ぜたりしていました

印刷や製本などの仕上げの段階でアクシデントがおこると、はぁ~とため息が出て
しばらく茫然としてしまいます また、紙づくりからやり直しです。
本を作る時は印刷の段階で3分の1がダメになってしまったこともあります。

余談ですが、キッチンがメインの作業場になるため、基本的にはその時期は
あまり凝った料理はできません。それどころか、食事は簡単なものを立ったまま
食べることも少なくない状態です。特に作品展の前や締切に追われている時は
緊張や興奮で食事がのどを通らなかったり、作品のことばかり考えてぐっすり
眠れなかったり、まさに身を削って作っています。

でも、やめられないのです
コメント (2)
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小もの追加展示しました

2013年08月08日 | 作品展のこと
現在、開催しています作品展、

『和紙と旅する風景』
  期間:2013年8月1日(木)~8月31日(土) 年中無休10:00~21:30
 場所:ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋
    2Fカフェレストラン「オーキッドガーデン」内ペストリーブティック

冒頭の写真は紅茶で染めた紙で作ったあかり。ベルトにバックル付きです。

初日から一週間が過ぎ、見に来ていただいた方からもメッセージをいただき
たいへん嬉しかったです。ありがとうございました!昨日はいつも設置などを
手伝ったいただいていた友人のりかさんが浜松から見に来てくださいました。

また、ある方はこの作品が気に入ったとメッセージを残してくださいました
『放射線の行方』

キラキラ光る雲母入りの黄色に染めた紙が綺麗だと言われました。
ありがとうございました。

作品を並べると、みなさん「自分はこれが好き」と教えてくださって、
そのポイントが私が気付いていなかったりすることがあって興味深いです

そして、やっと搬入に間に合わなかった小物類の作品が仕上がり、昨日搬入する
とができました。

空にひこうき雲をデザインしたうちわ


そのほか、今回のパネルの作品などで作ったフォトカード。今は9種類。
そのカードと『和紙ひこうき』と手作り本『あのころ』は入ってすぐの左側に
並んでいます。


とりあえず、本来ここに展示したかったものが一通り並んだかなという感じ。
本当は初日に並んでなくてはいけなかったのに。すみません!


それから、おまけ。
うちで見かけたかわいい景色。このままディスプレイしたいくらい。



ぴあくんがスリッパの上で座っています。
キンカチョウの男の子は模様も鳴き声もにぎやか

あぁ、かわいい
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和紙と旅する風景 始まりました!

2013年08月01日 | 作品展のこと
いよいよ、名古屋市内金山駅すぐのANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋
2Fカフェレストラン「オーキッドガーデン」内ペストリーブティックにて、

『和紙と旅する風景』 と題した、私の作品展が始まりました!

紙の繊維を染めて漉き、それを糊などを使わず手縫いだけで形にした照明の作品の
バッグのあかりの新作が2つ。写真を和紙に印刷し、和紙のパネルに貼った作品が
新作3点を含め7点、和紙で作った小さい紙飛行機『和紙ひこうき』も登場
そして、すべての紙を自分で漉き、文を書いて製本した和綴じ本『あのころ』。
それらが並んでいます。今後は徐々にアイテムが増えていく予定なので、後半の方が
充実しているかもしれません。なお、今回は全てご購入していただけます。

ここ数日は毎度のことながら「鶴の恩返し」のように身を削りながら
ひたすら制作に追われ「間に合うかなぁ、間に合うかなぁ…」と呟きながら
まともな食事もできず朝も気になって5時半には目が覚めて動き出すという
生活を送っていました。

せっかくの初日のお知らせなのに、長々と苦労話みたいになってしまうので、
間に作品の写真をはさんでいきます

昨日は夜の搬入までもそんな感じで、まだキャプションができていない、
製本の仕上げができていないような状態で、吐き気がするほどの追い上げをし、
なんとか会場に持ち込むことができました。


縦長は今回のメインの写真「私の原点」と言ってくださった方も。
『空と海のまじわるところ』。左は今回の新作『次の空にあるもの』
右端に『和紙ひこうき』が揺れています。


まず、お忙しい中搬入設置を手伝っていただいたお二方、本当にありがとう
ございました。頭がぼーっとして、うまく受け答えもできていない私でしたが
そして、気が回らず失礼な態度をとってしまったかもしれませんが、それでも
いろんな雑事をお願いして、思いっきり甘えさせていただきました。
本当に感謝です!お二人がいなかったら時間内に終わらなかったでしょう。

搬入以前の制作中も、私の細かい相談事にも対応してくださり、一人戦場のような
状態の私を助けてくださいました。設置時に立ち会った関係者の方にも
キャプションの組み立てなどお願いしてしまいました。すみません!


写真がメインに並んだ正面の壁側上段。左から『ひとりでもひつじでも』
『巨大鳥の航跡』『次の空にあるもの(新作)』『空と海のまじわるところ』
『ずっと行ってみよう(新作)』『翼が見える?』
ニュージーランド、パリ、愛知県、岐阜県で撮った写真です。


ワイヤーアート作家の水谷一子さんはご自分の展覧会の搬入が始まっているのに、
わざわざ来ていただきありがとうございました。

もう一人の方もお仕事やらなんやらで手一杯なのに遠くから…。でも、今回は
この方がいなかったらここまではできていなかっただろうなぁ。今回の写真の作品の
中にはそんな思いを込めた1枚も含まれています(ホントか?!) 多分、
展示期間中まだまだ頼ってしまうことでしょう。どうか、よろしくお願いします。


バッグのあかり、どちらも新作です。左が紅茶、右がアフリカ土産でもらった
ルイボスティーで染めています。LED電球の「影美人」を使用。
トップの写真はルイボスティーの作品です。
間のパネルは『放射線の行方(新作)』フランス・ボルドー駅の写真です。


他にも、時間がない私の代わりに区役所に手続きに行ってくれたやまさんや、
この人にしか言えない弱音を受け止めてくれた、私の作家事情に詳しい和紙仲間で
ヨガインストラクターのあきこさん、同じような立場で仕事の悩みを打ち明けつつ
気持ちや体のこと話し合えるヘアスタイリストのまこさんなど、私の弱い部分を
吐き出させてくれて支えてくださった友人のみなさんのおかげでもあります。
もちろん親や家族にも感謝!


『和紙ひこうき』 ステンレスのスタンド付き。かわいい
これからもっと改良されるのでお楽しみに!


どうかお近くにお越しの際は、ぜひお越しくださいね。
レストランで食事しなくても入れます。テイクアウトのパンやケーキ売り場の
ところです。通常、私は会場にはおりませんが、メッセージ箱を設置したので、
何かありましたら、そちらに入れておいてください。ちょくちょく覗きに行きます。
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