いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

続・軍事機密をバラされたので「猛抗議の米国」の謎

2016年02月23日 11時54分06秒 | おかしいぞ
日本のマスコミ界隈とか、米軍基地利権組の、杜撰な情報操作の結果がまたしても露呈してしまいました、ということですかね(笑)。



2010年4月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/690f1a30e8e3a969a1338bc6960aff7b

(再掲)

それにしても、65海里の話が、何で軍事機密なの?本当に、アメリカさんがそう言ったんですか?
そりゃあ、相当アレな連中ですな。物忘れが激し過ぎるな(笑)。
前から、「20分以内」説を公表し、唱えとったでしょうが。もう忘れたか?そう言ったのは、海兵隊なんだろ?(笑)


=======


やっぱり、デタラメな情報でしたってことですかね?

>http://www.asahi.com/articles/ASJ2Q5JR3J2QUTFK00M.html

記事によれば、

『2010年に鳩山由紀夫首相(当時)が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県外移設を断念する判断材料となった政府の内部文書を朝日新聞が入手した。米軍の「基準」としてヘリコプター部隊と訓練場との距離を「65カイリ(約120キロ)」以内と明示しているが、在日米軍司令部は朝日新聞の取材に「そのような基準はない」とした。』

って米軍自身が否定してますが(笑)。


当時、この「20分以内説」を力説していた連中が大勢いただろう?

2010年1月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/000b4a298daf832f679b09968c8cf639

記事中で取り上げた1月6日共同通信記事では、以下のように述べられていた。

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設候補地をめぐり、在沖縄米海兵隊は5日までの共同通信の取材に「普天間のヘリコプター部隊は移設後も、一体運用する地上部隊と飛行時間で20分以内の近接距離に配置する必要がある」との軍事上の見解を明らかにした。

 海兵隊の航空部隊と地上部隊を直結させる即応性の観点から、現行計画通りキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)への移設が最善との考えを「20分以内」という具体的な数字で示したもの。



こういうウソ臭い話を、さも真実であるかのようにマスコミを使って流していたのは、今も昔も同じだな(笑)。
そうしたら、米国が軍事機密(65海里説というありもしないデマ)を漏洩したことに対して、怒り心頭だという記事が産経新聞から出たわけだ。それが4月26日の記事。


リンク切れで、記事内容の参考はこちら>http://ameblo.jp/aratakyo/entry-10518257954.html

(引用)


鳩山政権への不信感を募らせるオバマ米政権が、協議内容の漏洩に厳重抗議したという。ワシントンの佐々木類記者の署名入りだ。その中身はというと。

(注:産経記事は以下の部分)

情報管理を徹底するよう強く抗議したのは、海兵隊の地上部隊とヘリ部隊の駐留場所の距離を「65カイリ(約120キロ)以内」とするよう米側が求めている事実を、日本の政府高官が明らかにしたためだ。

米政府は在京米大使館を通じ、「海兵隊の運用という軍事機密にかかわる問題」を逐一公表しないよう外務省に厳重抗議した。

普天間飛行場の移設先について迷走を続けているうえ、協議内容を公表し混乱に拍車をかける日本政府の稚拙な対応に、米側は「怒り心頭」(日米関係筋)だという。



怒り心頭だったのは、ありもしない嘘八百をマスコミを使って拡散させたから、だったんじゃないですか?
産経の佐々木類記者の署名入り記事ということで、ワシントンでの情報操作が行われていた可能性が高いのではないですかね。ホラ、藤崎駐米大使がクリントン国務長官に大雪で政府機関閉鎖の日なのに、呼び出された、って共同記者会見が国務省裏手口で実施されていた時期ですので(笑)。

けど、ヒラリーさんは呼び出してないよ、って否定した挙句、キャンベル国務次官補が日本人記者だけを集めて海外プレスセンターで特別のブリーフィングを開催するという、痛々しいフォローをする羽目になったわけで。


2010年1月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d266eeba224681a7fc51e76d65b141bb


その後、ヒラリー・クリントンの私用メールに情報漏洩があったのではないかという嫌疑がかかったのは、こうした一連の情報操作が勘付かれてしまったことを不審に思った連中がいたからではないでしょうか?(笑)


最初からありもしないデマを政府高官だか防衛・外務省幹部だかの内通者を協力者にして、マスコミも情報操作の一端を担わせて、作り上げられていた壮大な嘘、それが、65海里説だか20分説なのでしょう?(笑)

そこには、巨大な防衛・基地利権というものが存在するだろう、ということなのだわ。「原子力ムラ」の構造と一緒なのだよ。そして、マスコミ界隈には、利用される人間どもが、少なくないってことだ。岡本氏だの吉崎氏だの、そういう人々は意図の有無に関わらず加担するわけだな。


2012年1月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/28ba72d09e8cb8603e7773d2d3523765

(再掲)

これまで、「在沖海兵隊移転先は辺野古しかない」と豪語してきた連中がいたわけである。例えば、石破元防衛庁長官だ。岡本行夫氏も鳩山政権下で散々言ってきた。吉崎達彦さんもそうだったよね?

09年当時、鳩山総理の抑止力発言があったわけだが、「抑止力」を金科玉条のように辺野古肯定の根拠として挙げていた連中は大勢いた。ネット界隈においても、finalventだとかオブイェクト(JSF)とかが主張していたはずだな。軍ヲタ達も同様だった。彼らに共通するのは、鳩山総理が「抑止力も知らないで県外だの国外だのと言っていたのか」という嘲笑だった。

こういう連中に、笑える資格なんかあるのか?



記事中で見る(http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/096c82dc0ab7ef3e4b0db86063983149)ように、拙ブログでは、バーニーさんを2010年当時から応援してきましたので、今回の大統領選では是非とも頑張って勝って欲しいと願っています。今回選挙で、彗星の如く登場されましたので、驚いておりますし、心強くもあります。

がんばれ、バーニー!




北朝鮮版「下町ロケット」成功の大笑い

2016年02月08日 12時52分10秒 | おかしいぞ
昨日の北朝鮮ロケットの打ち上げ成功?(かどうかも良く分からないし、周回軌道投入に意味があるかどうかも不明)で、報道を賑わせているようである。


前回は12年12月12日ということで、日本では衆院選の投票直前に起こったものであった。

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/3bfa5fad41bcf3f501d90912d9dbc3b2

当時には報道陣を呼び寄せて過剰な演出をやった後、暫くしてから発射ということになったわけである。どうも怪しい、という感じが拭えないものであった。


北朝鮮という国は、制裁措置を受けているので、そもそも輸入とかができない。不思議ですよね?北朝鮮という国の脅威とやらが。


自衛隊は、北朝鮮のロケットの際には落下部品を破壊するべく、大袈裟にスタンバイするわけである(どうせ話題作り程度でしかないものだ。逃げた猿を捕まえるのに、物々しく自衛隊千人投入、とかやれば、どんな一大事かと驚くのに似てる)。しかし、韓国製ロケットは何度も失敗して落ちて来ているのに、破壊措置命令は必要ないということらしい。北朝鮮よりも危ないのは韓国製ロケットなのではないのか?

>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%85%E8%80%81_(%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88)


北朝鮮のロケットは12年に続き16年にも軌道投入成功ということらしいので、技術的には韓国よりもはるかに上だろう、と考えられよう。端的に言えば、サムスン、現代やLG各グループを擁する韓国よりも、国際ビジネス市場からは締め出され先端技術を持ってるかどうかさえ怪しい北朝鮮の方が、ロケット技術力は上である、ということだ。


これぞ、まさしく北朝鮮版『下町ロケット』と呼ぶに相応しいのではないか。


以下のような物語が思い浮かぶというものだ。

北朝鮮は、周囲の嫌がらせとイジメにより、部品供給の道を完全に断たれていた。周囲の者たちは、制裁と称して貿易を停止させていたし、外貨獲得の道をも断ち切っていた。

残された道は、ただ一つ。
北朝鮮で、全ての部品を内製化する、というものだった。
ロケット開発には、あらゆる分野の工業水準が必要とされていた。バルブシステムは勿論のこと、シーリング材のゴム製品や、燃料噴射を完全調節できる電子制御システム等々、あらゆるものを、全て北朝鮮で製造しなくてはならなかったのである!!


このロケット全行程に必要な部品を全て内製化するという、信じられないような開発計画が北朝鮮において立案されていたのであ~る!
部品製造担当者たちは、幾度も失敗を重ね試行錯誤を繰り返しながらも、寝ずに頑張ったりして、試作品の製造に成功したのだー!
特に、部品製造に欠かせない計測機器類や切削機器類、加工機器類を入手できなければ、開発計画は絶望的だった。しかし、そのような嫌がらせには屈しない精神力と確かな技術力が北朝鮮にはあった。故に、精密計測機器も切削加工機器も、全部自分たちで手作りするところから実行したのだ!

それら工作機械に必要な部品はどうやって調達できたのであろうか?
何と、今流行りの3Dプリンターで一個一個を作り上げていったのだー!こうして、部品製造に必要な機器類を作り上げるのに、2年はかかった。驚異的なスピードで完成に漕ぎ付けることができたのは、北朝鮮の持つ技術力が日本や韓国を凌駕するレベルだったからだ。
そして、それら工作機械類を用いて、ロケット部品の製造を瞬く間に成し遂げたのだった。過去の実績を踏まえれば、部品さえ調達できれば、後は組み上げるのは容易だった。


こうして、北朝鮮は周囲の嫌がらせや罠にも関わらず、全てをはね返して、独力で全部品内製化を実現し、ロケット打ち上げの成功を勝ち得たのだ!!
最初は誰もが「そんなことはできるはずがない」と言ってバカにしていたものだった。しかし、北朝鮮は技術レベルが韓国のハイテク企業よりも上であり、日本の製造業のレベルにさえ到達可能なものである、ということを、実証したのだ。


北朝鮮のような、ロクな工場もなく部品メーカーもない辺鄙な寂れた場所であっても、やる気と熱意と固い意志さえあれば、全部品内製化でもってロケットは飛ばせるんだ、という意地を見せつけたのだった。


何という『プロジェクトX』か。
何という池井戸か。


青空に向かって、白い糸を引くようにグングン上がってゆくロケットを見て、感涙にむせぶ北朝鮮のロケット技術者たち。部品製造に挫折しそうになりながらも、完成させた彼らの顔は、涙でくしゃくしゃになりながらも満足そうに見えた。



本当にこんな物語があったと?(笑)
その割に、北朝鮮の製造業がアレで生活水準もナンなのは、何故なのだろう。作れる技術力が備わっているなら、もうちょっとマシな自国内製品くらい製造販売できそうなものだろう。余程ビジネスに不向きなのか、頭が悪いのかもしれんが。


外注できないのに、部品1点1点を全部内製化できたとすれば、それはもう韓国企業の実力を上回っていることは確実だな。国際社会に登場するなり、製造業大国に躍り出ること間違いなしだ。安い人件費と製造技術能力が揃ってるから、鬼に金棒ではないか(爆)。


随分とロケットって安易なのね。
ホンマかいな。調子のいい話って、どこか胡散臭いんだよね。



続・日本の電力会社は原発を稼働させる能力に欠ける

2015年12月27日 15時15分14秒 | おかしいぞ
今年5月頃、福島原発事故の疑問点を書いた。高浜原発の裁判で参考になることがあれば、是非役立ててもらえればと思う。

このシリーズ8では、浸水から推測される流入量について、書いている。
タービン建屋地下に90センチくらいまで水が溜まるには、床面積×0.9m分の体積の水が必要なのだ。面積が不明だから何とも言えないが、仮に2500㎡だとざっと2250㎥となり2250トンもの水の流入があったということになるわけだ。本当か?
津波が来て、引いてゆく時間がどの程度か分からないが、水没時間が何十分も続くとは思えない。そんなに内陸側まで津波が到達したとも思えないので。例えば10分間で2000tを超える流入量があった場合、毎分200tもの流入ということになる。
関電の計算結果はどうかな?
これを関電に答えさせるんだ。



福島原発事故を巡る東電の大罪 (シリーズ)

1>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/7f5fc419a026c75825f47e95c8105b79
2>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/2508aec1e0bba5fc3c68253e56b44886
3>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d8cc072a77fccd61cde1b25f927998cf
4>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/3de01f221fc6a99c1797f0a2391bfba8
5>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a5b906b58c2493bec4fc834405632255
6>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/8e6bb8b445e5c227fd00e12091182e31
7>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/ba4630c04acc97b09cdc9b8920f8ccbe
8>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d54d2f1f27bfbefe36a48dc322615ca4
9>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/1500a350f073c954433e846ca44ca077
10>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/8dbda01b7ca7798af3cdfb88bdf2a5ad
11>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/ca6e65701b292447ca588463b2ac9094
12>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/0e58da8584ccd1aeb83325be9c332523


東電は未だに誰も何の責任もとってない。隠蔽したことも罪に問われていないんだ。虚偽報告も罪に問われていないんだぞ。
例えば、1号機の再循環ポンプAとB、この構造を知っている人間が誰かいれば、IC戻り水がB系にのみ接続されていることを検証グループに教えてあげることができ、温度グラフが両方下がっていることの矛盾点を追及できるはずが、誰も言わないからそのまんまで通用してしまっているんだ。


マンションの杭打ちのデータ偽装云々以上に、東電のデータ捏造の方がずっとずっと悪質かつ与える被害も甚大なんだ。それなのに、誰も関心を払わず、追及することもできず、責任も問われないのだぞ。



6/8>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/76a1ce64971ad9268e0e5075da71ac4e

(一部再掲)

誰からも、異議の一つすら出されない、ということは、全部の原発事業者が東電と全く同じだ、ということだ。
そんな低劣な連中には、原発を任せることなどできないと言っているのだよ。

例えば、1号機のICに関する疑問点というのがあった。
全国共通の設備ではないから、大勢が知っているということではないかもしれない。けれども、誰か「精通している人間」が少しは存在していてもおかしくないのではないか?
設備担当の企業とかだって、あるわけだろう?

「IC配管のリークを疑った」「弁の開閉操作を行った、建屋外からの蒸気を見た」
こういった証言が出た時、事情を知る人間ならば、疑問に思って当然なのではないのか?
dPIS(IC配管破断検出器)が存在することを知っているなら、「どうして見なかったのですか?確認しましたか?」ということが一発で思い浮かぶわけだろう?
差圧検出用取出配管があることや、弁開度計やIC水位計が付いていることも、知っていたわけだろう?
弁が開いているかどうか、冷却で水量が減っているかどうか、確認手段があることを知っていたはずだろう?
凝集水戻り配管があって、熱湯が流れていることも当然知ってるだろう?

こんなことは、分かる人間にとっては、初歩的な話であって、「ICが機能しているかどうか」を確かめる方法があるということを、普通に指摘できるであろうに。しかし、これを言った人間がいたか?


報道ベースでも存在しないし、事故調査報告(東電、政府、国会、民間)いずれでもなかったし、学会報告なんかでも確認ができない。
要するに、操作や対処法などの評価が全くできない業界(連中)である、ということだ。
実施した行為が正当だったかどうか、が、専門知識のある原発事業者たちの目から見てでさえ、評価できないということ。


======


当方のような部外者で専門外のド素人が、資料を探し、読んでみて、自分なりに理解したり解釈したりしなけりゃ、判明しないというのはおかしいだろう。知ってる人が誰も事故調に教えないというのは、どういうことだ?

当方がブログ如きに書く以前に、ICにはdPISや弁開度計やIC水位計がついていることなど、簡単に指摘できるだろう?
何の為の専門家なんだ。

で、こういうブログ記事を書いたら書いたで、原子力安全・保安院とか原子力安全委員会等の旧HPを全削除して読めなくされたりするんだぞ?
これが正常な社会か?


死んだフリをしてた原子力ムラは、復活を遂げて、勢力回復を果たし、再稼働を次々とやってきてるんだぞ。
マスコミ支配がこれを手助けしたも同然なんだぞ。事実を伝える場所など、どこにもないんだ。権力を批判できる人々は、大手マスコミには存在できなくなってしまったんだ。

反抗勢力は、醜聞や不祥事で、マスコミを動員してぶっ潰すことができるって寸法だしな。いうことを聞いていれば、ウマい汁を吸わせてやるぜ、逆らえば…分かってるな、という、漫画みたいなベタな手口を使われて、まともな人々は屈服させられ排除されてしまった。


危機的状況は、社会のありとあらゆる場所に及んでいるのである。
ここで戦わずして、いつ戦うというのだ?


石原慎太郎都知事の呪い~東京五輪の蜜に群がる連中

2015年12月19日 18時01分35秒 | おかしいぞ
費用が膨らんでいってしまい、6倍の1兆数千億円にも上る、という報道が、東京都民を大きく失望させたようだ。


元から、東京都民の多くは開催を望んでいたわけではなかった。石原慎太郎は、自分がやりたいということで都知事選の公約に掲げてみただけだ。
これに賛成を得られないと、石原都知事は「都民はおかしい」と言ったものだ。


こうなることは、恐らく都民の多くが薄らと知っていたことだろう。きっと、後から金をセビリに来るな、と。


なので、猪瀬知事になるまでは、あまり本気の政策課題ということにはなっていなかったような印象だ。が、安倍総理が自分の宣伝にもなるし、東電の福島原発の後処理の杜撰さを覆い隠すのには、利用するのに丁度よい題材だった、ということだろう。


12年6月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/5f6adc46b53923f0d0475708a13b56d2

13年9月
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/33ba74fd514688e1560bd9e85504d534
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/9cb9139d0724f6e6cc8903e44c354bf3


で、反対を押し切って、大々的に宣伝をやって、総理自らもプレゼンして、金で釣り上げたようなものだな。


そもそもは、失敗に終わった石原の時代にこそ、間違いの種が仕込まれていたわけである。


09年10月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/39c19686b1cdf654cd2f89a7a010801f

(再掲)


石原本人に「(東京都の)選挙民はオカシイ」と言われてしまうくらいだから、石原を選んでしまったのかもしれんな。成功と呼べるのは「東京マラソン」くらいで、これもボストンマラソンとか、ベルリンマラソンとか、ホノルルマラソンとか、そういう諸外国の真似をしてみただけなんだろうけれどね(笑)。要するに、「ヨソでやっているのが羨ましい」というだけではないか。

この延長線上にあったのがオリンピック招致であり、北京やロンドンが羨ましい、というのと変わりない。幼児が他の子の持ってるおもちゃを欲しがるのとあまり違いはない。石原がやりたいことを、他人の金を盛大に使って実行してみました、というだけだな。で、周りにいる特定の権限行使できる者たちにそのオコボレが分配され、その蜜に外部から群がる業者たちがいた、というようなものではないかな。新銀行東京の失敗というのは、そういう典型例なのではないか。


========


そして、東京のインフラ整備という名の蜜に、恩恵を受ける連中が大勢いるんだ、ということさ。13年9月の記事で書いた通りなんだよ。
その典型例が、国立競技場の「べら棒な事業費」である。

まずぶっ壊す。造り直す。
ガッポリ儲かる連中が出てくる。勿論、税金という「他人のカネ」をたくさん使って、だ。


そういう名目でもないと、無駄な支出だから止めてね、と多くの国民に反対されることを分かっていて、けど、「お祭りあるから、これは用意しないと仕方がないよね」ということで、支出を強引に認めさせる、という、昔ながらの戦法だ。


「今度、修学旅行に行くから、新しいボストンバッグを買ってね」とか「新しい靴が必要だ」とか言うのと似た戦法である。
「修学旅行」というビッグイヴェントがあるから、それにかこつけて支出してくれ、とせがむ、の図だ(笑)。


こういう手口は、官僚だろうと誰だろうと、大差ないんだよ。人間なんて、考えることが似たりよったり。超天才みたいな人物じゃないと、こういうもんなんじゃないかね、という話では。


結局、反対多数の都民を尻目に、招致をしてしまって、その石原の呪い効果は今後効いてくるから、カネを散々毟り取られる、ということになるわけだわな。

毒は、じわじわ効いてくる、って寸法なんだな、これが。
恐るべし。


日本の高齢政治家は、もうどうに(((書けない)))


福島原発事故を巡る東電の大罪~12

2015年06月06日 13時54分21秒 | おかしいぞ
福島原発事故後に、あの恐怖の現場で作業を継続してくれた人々の行動と勇気には、心の底から感謝申し上げたい。
英雄的行為を命懸けで実行してくれた人たちがおられなければ、今の日本はなかった。本当にありがとう、と思っております。



今は亡き吉田所長も、ガンで命を落とされたと報じられていたはずだ。原発推進派たちの二言目には、「原発事故で死んだ人は一人もいない」という妄言に同意することなど、到底できない。

吉田所長の死は本当に被曝による発癌ではなかったのか。あの過酷な事故がなければ、こんなに早くに若くして命を落とすことなどなかったのではないのか。

私には、事故が原因で亡くなられたのであり、命懸けで日本を守った為に、吉田所長は死去されたのだとしか思えない。


吉田所長は、表に出ている数少ない犠牲者なのではないか。
本当は、もっともっと大勢の方々が犠牲になられたのではないか。
そういう方々の命を、「誰も死んでない」などと軽んじることができようか。
真に使命感と勇気だけで、日本を救ったのだ。


彼らの犠牲をなかったことにすることなど、できない。
次の事故が起こった時も、死地に飛び込んでこいと命じなければならないような原子力発電所ならば、やるべきではない。



犠牲になられた方々の命を無駄にしない為にも、事故の原因と全容を明らかにすべきなのである。



福島第一原発において、最初から外部電源が喪失となったのだろうか?
その前提からして、かなり疑わしい。
発電所内の外部電源がなく、発電所内での発電も全部が地震のスクラムで停止したなら、まずやるべきはRCICかHPCIの起動である。1号機にはRCICがなかったわけだから、当然に選択の余地はなく、HPCIを起動するはずだ。簡略化したマニュアルのフローチャートでも、まずそこが最初のステップとして書かれているわけだから。


そのHPCIを起動していなかった時点で、発電所全停が起こった(全号機のスクラム後、計測機器電源が全て失われた為にMSIV全閉となった、というのが東電説明である)というのは、信じ難い。


D/Gが給電するまでタイムラグがあるのは当たり前だし、その場合には原子炉スクラムに伴う警報だけでなく、タービンや各種ポンプ関係、電気系統関係の警報が連続的に出ることになるわけで。
普通に、所内電源喪失、というのも確認されるわけである。それはD/Gからの母線充電が済むまでは、当たり前の応答だから。
また、480V P/C接続機器は全てに故障警報が出される。これも普通の応答であって、故障ではないし、D/Gが壊れたわけでもない。そのように表示されることになっている、というだけである。


しかし、パニック状態に陥っていたりすると、そうした警報が「異常発生による警報」なのか、電源切替に伴う「普通の形式的な警報」なのかの判別がつかない、ということになってしまうかもしれない、ということ。


推測では、3号機と1、2号機では初期対処が異なっていたであろう。
1号機では、原子炉モードを「停止(SHUT DOWN)」に切り替えることすら暫くの間忘れていたようであるから、適確な対処ができていたとは思えないのである。


多分、3号機では外部電源がしばらくは生きていたのではないか。3基の中では、当初から複雑な操作を必要とされなかったのが、この3号機だっただろう。しかし、2号機は2010年6月の時の事故と似ていて、同じく電源切替に失敗したのではないか、と。D/Gは起動しているものの、そこからの電源供給の方法が正しく出来ていなかったのではなかろうか、と。その理由は不明である。
何かの論理回路である操作(例えば何かのスイッチを入・切の切替とか、他の何かの条件を解除しないと遮断機が入らないとか何とか、みたいなこと。具体的には全く分かりません)をしないことなのか、設備的な問題なのか、分からない。


けれども、2号機においては交流電源喪失状態に陥ったのが、2010年6月の事故とよく似ていた、ということ。なので、最も早く(14:50)にRCICの手動起動を行ったのであろう、と。1・2号機の外部電源は喪失したが、D/Gは自動起動するので、正確な手順を踏めば電力供給はできたはずだ。

しかし、何らかの障害があってD/Gからの受電に失敗したものと思う。それでも、前年と同じで、どうにかなると思っていたのかもしれない。


むしろ、外部電源が来ていた(か、D/Gからの受電ができていた)3号機側から2号機側へ電源供給を受けようとして、切替操作が失敗に終わった可能性すらある。外部電源を本格的に喪失したのは、非常用母線関係のトラブルであったかもしれない、と。系統負荷の保護機能で外部電源が遮断されてしまった、とか。電気屋さんじゃないと理由は分からないと思うけど、そういった何らかの事情があったからなのではないのかな。


電力供給が回復しないと、読める計器類が限定される、ということが、1・2号機の原子炉の安定維持を困難にした。限られたパラメータだけから判断しなければならないので、熟練が要求されるだろう。使える冷却手段も限られるわけだし。


また、タービン建屋の状況確認に行ったのが18時以降だったこと、大勢の人たちが大慌てで逃げたことというのは、恐らく初期の放射線量の上昇がどこかにあったから、ではないのか?

まず、中央制御室の人員が直ちに降りて確認に行かない主な理由は、例えば1号機での地震直後のリーク発生があったから、なのではないか?
線量が上昇している場合、保安上の理由により「お前、被曝覚悟で行ってこい」とは簡単に命令することができないから、だ。現地のリーダーたちは、そういう非情命令を当然とするような軍隊的訓練を受けているわけでもない。

それこそ、「志願する人」が出てこないと、高放射線量領域に「入って確かめてこい」とは言うことができないから。志願兵のように、被曝上限の規定を破ることになっても、確認しに行こうという人が出てくるまで時間がかなり経っていたのではないのかな、と。


恐らく、確認するにしても「近づきたくても近づけない」理由が存在したのであろうな、ということである。そうして、18時過ぎ以降になってから、志願した「決死隊」のような偵察隊が行くことになって、外部から建屋内に入れそうかを確認したのではないか。


一般家庭の停電が発生した場合でも、数時間後には復旧することが多いわけです。架線が倒壊したり、電線が切れたりしても、復旧作業というのは何時間かで実施できる場合は少なくない、ということでしょう。

当日、福島第一には、数千人もの作業員がいたんですよ?
津波が去った後の16時以降に、全交流電源喪失であったことは明白だったわけですよね?
その時、どの個所で停電が発生しているか、調べないなんてことがあるのでしょうか?一斉に手分けして、全線の確認をすれば良かったのではありませんか?何時間も使える電機設備が判明しない、なんてことがあるものでしょうか?外部電源復旧作業をいち早くやらないなんてことが、あるのでしょうか?


どうして、3人一組で100~200グループとかを作って、一斉に被害状況確認とか、復旧に必要な作業の洗い出しをしなかったのでしょう?

できない理由があるとすれば、放射線量上昇により、屋内退避をすべき、とか、接近が困難といったことではなかったか?
そうであるなら、数千人も人がいる、ということの方が、混乱の種になってしまうだろうから。羊の群れが数頭なら、羊が音にビックリして走り回ってもどうにか制御できるだろうけど、数百頭の群れともなれば制御が困難だ。それと似てる。まず、混乱する大群をどうにか整理を付けるのに多くの人手や労力を割かねばならず、対応が後手に回るかもしれない。


重機だってあったはずなのに、電源車が到着するまでに受け入れ準備が出来ていたとは到底思われないわけです。だって、真夜中にほぼ手作業、人力で頑張る、ということだったわけですよね?

明るいうちに、何の準備もできてないことが本当に不思議だ。停電後なら、夕方以降は真っ暗なのは当たり前だし、機動隊の投光機を寄こせ、ヘリでもいいから照らせ、とか、いくらでも考えつくだろうに。報告書をいくら読んでも、津波以降からは、「何をどうしようとしていたのか」ということが全く分からないわけです。判断や行動の根拠となった事柄(説明)が皆無で、事後的に言い訳を考え出して辻褄を合わせた程度にしか見えないから。自発がゼロ、ということ。
(これをしなかったのはどうしてか?、というような責任追及をされたら逃れる為の言い訳や責任回避できる理由だけを述べるから、だろう。殆どが質問への回答のみで構成されている、ということ)


結局のところ、「主に現地で対処してくれ」「何が必要なことなのか分からない」「何を優先して作業・復旧すべきか分からない」「対処方法が分からない」「判断材料の見出し方も分からない」、そういう混乱だらけだった、ということだろう。正確な指示を出せる人間は、東電にも保安院にも原発企業にも、どこにもいなかった、ということだ。


それとも、実際には津波後でも電源が生きていた、とかであると、そう大騒ぎするほどでもないと思って、一刻の猶予もないという切羽詰まった感じで対応してなかったのかもしれないし。


何と言うか、専任伍長?さんみたいに、1号機の全体に精通している人間が1人でもいれば、短時間で必要なことがある程度分かりそうなものなのだが。そのような人は誰もいなかった、ということであろう。
運転員が何十人もいるのに分からないという代物であるなら、それは普通の人々が管理できるようなものではない、ということだ。



福島第一原発事故の、最大の要因は、「~ができなくて困っているんです」「~が分からないので、教えて」という、ごくありきたりの、本当のことを言いだせなかったこと、だろうな、と思う。


廃炉覚悟で「ホウ酸水を直ちに注入しろ」と言えたなら、爆発しないで済んだかもしれない。原子炉から漏れてる、って言えたら、危機対応は違っていたかもしれない。ICが分からないと言えば、もっと耐えられたかもしれない。
政府だって同じ。放射性物質が漏れました、って言うべきを、メルトダウンしてない、と言い張った。


こういう、隠すことだけが得意な人々によって原発を管理されてきたので、いざという時にも、そうした根本的に滲みついた習性が発揮されてしまったのだよ。


本当はこうなんだ、と言えば、おおごとにならずに済んだことが、隠し続け嘘の上塗りを続けた結果が、福島第一原発の惨状なのだ。こういう連中は、どこまでいっても信用することなどできない、って言っているのだ。何度でも失敗を繰り返す。

隠せばどうにかなる、って長年やってきたからだ。隠蔽すればなかったことにできる、という業界だったからだ。


なので、どこまでいっても、間違い続けるんだよ。
そういう体質だから、だ。
風土病だな。「原子力ムラ」特有の。



福島原発事故を巡る東電の大罪~11

2015年06月05日 21時53分09秒 | おかしいぞ
これまで、いくつかの疑問点を書き出してみたわけだが、東電の言い分では整合的な説明がつかないことが多々ある、とは思う。東電が正確な情報を隠してしまった為に、今では分からないことが多いだろう。


3月11日当日、何か重大な隠蔽があったことが推測されるのである。

例えば、福島第一のプラント全体には当時約6400人もの人々が働いていた、ということである。各号機の中操とか、免震重要棟などに分散したとしても、数千人も収容できたとは到底考えられない。

事故後の免震重要棟に詰める人々が数百人規模だったと記憶しているが、廊下まで人があふれていたようであった(それとも、オフサイトセンターだった?)。


多くは避難したのは分かるが、謎も多い。
4号機は稼働しておらず、作業中だったそうだ。そこには最も多くの作業員たちがいたようである。恐らく千人以上いたであろう。
福島第一全体では約2400人が管理区域内での作業に従事しており、退出ゲートに人が殺到したということであった。3/4号機サービス建屋の出口付近が最も混雑したようである。


五千人以上が駐車場広場に集合したとして、全員が行動するのには時間がかかる。どうやって行動決定をしたのだろう?

普通、地震が来た後で、ビルから飛び出して、一目散に逃げたりするだろうか?多分、そういうことは少ないんじゃないだろうか。
地震後に、被害状況が分からない中、仕事場から各自三々五々で解散とか、帰宅ということになるだろうか?
指示を待つ為に待機してた?津波が来るまでは、6千人くらいの人たちが駐車場なんかで、集合していたということなのか。そんな広さがあったのだろうか。よくわからない。

地震後に、各自が自主的判断で発電所の敷地内から出ていった、ということであると、何となく「そうかな」とは思う。つまりは、何らかの理由で逃げたのではないだろうか、と。


少なくとも、建屋内から急いで逃げなくてはならない状況であった、ということは分かる。タービン建屋にいようものなら、「生命の危機」を感じさせるような状況だった、というようなことだ。稼働してない4号機でさえ、だ。


仮に、津波までは駐車場に6千人以上の人たちが待っていたとして、その後にはどうしたのだろう?稼働に直接関与しない人たちは、敷地外へ退去するように命令が出たということだろうか?

でも、復旧作業には膨大な人手が必要になるかもしれない、というのに?
次の津波襲来があるかもしれないので、逃げられる人たちは逃げろ、ということだったのだろうか?


地震後に、どこも壊れておらず、建屋(原子炉含む)内のパラメータも何ら問題がなかったのであれば、作業員たちを戻して損害状況の確認作業などをやってもよかったように思うのだが、そうした点検等は行った形跡がない。単に駐車場に逃げた、出口に人が殺到した、ということが分かるだけである。


とりあえず、津波が来てからは、被害を受けると危ないので、千人程度の社員や作業員の人を残して、他の約5400人の人たちは自分たちの車などで逃げた、ということで話を進めますね。津波が来たのが15時半過ぎ、その後に、数千台もの車が敷地から退去するのに、どれくらい時間がかかるでしょう?

門が2つしかなく、正門と西門だけだそうです。
TDLの駐車場の出口を見たことがありますか?多分、あんな感じかな、と。千台以上の車が退去するのには、非常に長い時間がかかるでしょう。津波被害の後、どうするか判断するまで10分程度として、16時少し前くらいから車で脱出が始まる、ということですね。東電が10条通報した後くらいから、ということです。大混乱の道路状況だったでしょう。
けど、駐車場に逃げた人たちの身体サーベイ開始が15時50分だったそうで、どうも謎が多いです。


そんな中、モニタリングカーが16時半に出発しているのだそうです。
モニタリングポストの電源供給は、交流電源喪失時でも計測できるようになっているはずですが、何故か数値が分からなくなってしまったからなのだそうです。直流があるはずでは?


とりあえず、モニタリングカーは17時に体育館付近で測定したそうです。その後、複数ポイントで計測したり、西門や正門に行き、19時45分以降は正門での計測を続けたということだそうです。


一方、正門あたりの道路が損害受けた、ということで、道路の補修が行われたんだそうです。何と、正門方向に徒歩で道路の損害確認に向かった、ということらしいです。車で退去した人たちは、それまでいなかったということでしょうか。歩いて点検するなら、どうしてモニタリングカーがあるのに、それで一回りした方が早くないですか?正門から出て西門も確認とか、時間がかかりすぎるに決まっていますよね。

分かったことは、19:24に、
「西門は通行可能」「旧事務本館前は通行不可能」「2号機タービン建屋海側は通行不可能」などを対策本部に報告した
ということだそうです。


どうして、モニタリングカーが出た時に、それらを一緒に報告できなかったのでしょう?道路状況がどう、という話をするなら、モニタリングカーが行けるかどうか、正門や西門はどうか、ということくらい、車で見ればいいじゃないですか。しかも、身体サーベイなしで出ようとした人たちを保安斑が止めに行ったのは17時ですよ?


どうも辻褄が合わないわけです。


日没後では、確認作業が困難になることは明らかだったでしょう。
電源が落ちて真っ暗だ、という時(15時半以降)に、何故直ちに発電設備の損害状況確認に向かわなかったのでしょう?

1号機T/Bを見に行ったのは18時過ぎです。それまで、何をしていたんでしょう?
16時36分頃の15条通報から、1時間以上も何を待っていたのでしょう?

モニタリングカーが出た、というだけでは?
日没後だった為、暗闇の中を建屋周辺を徒歩で探索するのは時間がかかるに決まっていますよ。

どうして、自衛隊のヘリでも寄こさなかったのでしょう?
警察ヘリでもいい、サーチライトがあるなら、それで照らしてもらえるだけでも、随分と助かるのでは?

道路状況とかなんて、ヘリで上空から見てもらえば、日没前なら直ぐに判断がつきそうだったのでは?


要するに、当日には、人員は数千人規模でいたはずだった、日没までにできる確認作業を行わなかった、M/CやP/CやD/Gを確認しに行ったのは、18時以降だった、ということです。

中央制御室の人たちの中からは、誰も確認の為に下に降りていかなかった、と。わざわざ遠くの免震重要棟から徒歩で行った、と。中央制御室からサービス建屋1階に降りられるなら、そこからタービン建屋内に入ることが非常に困難であるというのは、どうしてなのかが分からない。


当日、何をどうしてよいのか、誰にも分かっていなかった、と。
しかも、危機的状況である、という認識が決定的に欠けていたのではなかろうか、と。
30分、1時間が生死を分かつという状況であったのに、そういう対応がとられていなかったのではないのか。


恐らく、中央制御室では混乱の極致となっており、何が何だか分からない、と。どうしていいのかさえ、誰にも分からなかった、と。しかも保安院に連絡したものの、東電がきちんと情報を伝えてなくて、保安院としても何をアドバイスすべきなのか、見当もつかなかったのでは?

それは、東電が非常にマズい状況であることを、「言いたくない」「おおごとにはしたくない」「責任を問われたくない」というようなことの積み重ねだったのではないのか。

「一体どうなってるんですか?」「それが、よくわからないんです」
これの繰り返しでは、物事が先には進まんだろう。



原子力緊急事態宣言は、19時過ぎに発出されたのだった。
時すでに遅し。



福島原発事故を巡る東電の大罪~10

2015年05月20日 23時22分28秒 | おかしいぞ
(続きです)

色々と疑問点を調べているうちに、ちょっとよく分からない感じになってしまいました。
迷いもあるのですが、とりあえず書いておきたいと思います。


疑問点21:
ガス作動弁はどうやって動かしたのか?



この点について、疑問を抱いた理由はいくつかある。
ひとつは、1号機の水素爆発がどうして発生してしまったのか、ということだった。

格納容器圧力は設計値の約2倍まで上昇していた、ということで、一応の容器破壊は免れていた段階であったのではないかな、ということであった。メルトスルーが生じて格納容器にリーク部分が生じれば、水素ガスが蒸気などと一緒に抜けていくかもしれないが、建屋内に爆轟を生じるほどに溜まったとも思えなかった。ベント作業によって、格納容器圧力が下がったが、その時にベントライン以外に漏れて、建屋内に水素ガスが溜まった、ということも、にわかには信じ難かった。


過去の火災事故例でも、原子炉建屋が吹き飛ぶというのは、あまり類を見ないことでもあった。

>http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=02-07-04-18


当初、想像した理由というのが、タービン発電機内に封入されている水素ガスが漏れたのではなかろうか、というものだった。冷却用として、水素ガスが大量に用いられているはずなので、タービンと原子炉建屋で連絡している何らかの配管が破断するなどして、原子炉建屋に流れ込んでしまったのではないだろうか、と。

だが、1号機のみならず3号機や4号機までもが、大量に漏れ出る、といったことは想定し難いのではないか、と思えた。
で、記事に書こうと思っていた矢先、東電が突然の発表。


2号機のベントが失敗していた、というものだった。
何故今頃になって、そんな大した論点でもない”失敗”を公表したのだろう?
理由というものが、全然わかりませんでした。

排気塔を出る際に破られるはずの、ラプチャーディスクが破れていませんでした、ということを言った所で、特に何かが分かるというものではないでしょう。東電の責任が何か変わるものでもないし。



とにかく、頑丈な建屋が、特にタービン建屋ではなく原子炉建屋が次々と爆発したことの理由について、当方の推測を述べてみたい。


ズバリ、ベントラインや給水ラインを形成する為の操作に、水素ガスを使ったのではないか、というものである。


①置換用窒素ガスは1プラント分しかない

タービンに封入されている冷媒用水素ガスは、大規模災害時には基本的に「別の不燃ガスに置換せよ」というのが原則なのだ。通常では、水素ガスを排気して、窒素ガスに置換する装置を作動させれば、安全に水素ガスは消失するのである。しかし、この窒素ガスの量が1プラント分しかないので、今回の福島原発のような多重事故を生じると、水素ガスを置換できないのである。

火災防止の為に、水素ガスの緊急排気を行うこともできるそうだが、それが実施されたかどうかは不明である。火災や爆発事故防止の為には、二酸化炭素に一度置換してから排気する、といった手法もあるようだが、そんな時間的余裕があったとは思えない。なので、水素ガスはそのままにされていたのではないかな、と。

なので、1~3号機のどこかのタービンで水素ガスから窒素ガスへの置換が行われたのかもしれないが、それが実施できたのは1つだけだったはずだ。


②ガス作動弁用のガスが尽きたのではないか
(1号機のSRV動作記録が秘匿されていたことと整合的である)

各種の弁は、大きく分けて電動弁と空気(ガス作動)弁がある。空気弁は実際には酸素濃度を下げる意味から、空気ではなく窒素ガスが用いられているのではなかろうか、と。

そうすると、窒素ガスは弁作動用のもの、建屋内の酸素置換用のもの、タービン内水素置換用のもの、と多様な利用が想定されていたであろう、ということである。配管類やガスのボンベ・タンク類は全部別々の設計や構造になっており、独立系であるということなら、窒素ガスが減ったとしても弁作動用ガス圧が低下する、といったことは起こらないのかもしれない。この辺りの構造がどうなっているのかは、全く分からない。



ただ、タービン冷媒用水素ガスに関してでさえ、水素トレーラーがプラント内に存在することは珍しいわけではないようである。大規模災害時には、この水素トレーラーの退避なり、水素タンクとの接続をきちんと管理すべし、というのが防火上の措置ということである。多分、タービン建屋のどこかか、いくつかのプラント分のタンク(ガス建屋?)がどこかにあるということではないかな、と。



ガス動作弁に関して言うと、通常は殆ど用いられないSRVが2号機でも3号機でも、目一杯活躍していたわけです。他の弁についても、通常以上に動作を必要とされた場面が多かったのではなかろうか、と。そうすると、動作用の窒素ガスがなくなってしまったりすることはないのだろうか、と。実際、1号機のベントラインを作ろうとした際にも、電動弁は電気がないので動かないとか、ガス動作弁のガスがなくて遠隔開弁ができない、といったことがあったはず。そうした中で、現場で手動で開いたといった話が出ていたのではなかったかな、と。



ベント作業が難航したのは、そうした開弁ができないということだったはず。
そこで推測されたのが、ガス動作弁を開弁する為に、窒素ガスが尽きてしまっていたのなら、どうやったのだろうか、と。ひょっとすると、水素ガスボンベしか残っていなかったのではなかろうか?

窒素ガスボンベの代わりに、水素ガスボンベを接続して、仕方なくガス圧を維持したりしたのではなかったか?


そうすると、1号機の水素ガスが滞留した理由として、ガス動作弁を開弁する為に水素ガスを用いてしまい、しかもそれまでSRV動作についても水素ガスでどうにか作動させていたとしたら、どうなんだろうな、と。


これが建屋内に充満してしまうことになり、遂には爆轟を生じてしまったのではないかな、と。
1号機の燃料棒が露出した状態になっており、爆発前までに炉心を水没させられるほどには給水できたとは思えず、ジルコニウムと水との反応で生じた水素が水素爆発の原因となったわけではないのかもしれない。


そう考えたりしたわけだが、蒸気とジルコニウムがあれば十分な量の水素を発生させられるのかもしれず、よく分からない。ただ、窒素ガスの量が1プラント分しかなかったということ自体が問題であり、複合事故が生じた時に問題になることは想定できたであろう。


4号機までもが原子炉建屋が吹き飛ぶのは、ちょっと不自然であり、理解し難い。

水素ガスが約18%といった高濃度でなく、ずっと低濃度でも破壊はできる、という東大の先生のご意見も読んだが、疑問に感じた。使用済燃料プール水から発生する水素ガス濃度なんて、かなり限られているから。それよりも、水素ガスボンベが意図的なのか、誤ってなのかは不明だが、窒素ガスボンベの配管に接続されてしまった場合の方が爆発するような気がする……、ということである。


これは、単なる想像に過ぎないので、現場の人たちにしか、本当のところは分からない。



福島原発事故を巡る東電の大罪~9

2015年05月20日 11時56分08秒 | おかしいぞ

疑問点19:
1号機の直流電源室はケーブル配管経由で浸水したか?



これまでは、水が到達する経路は主に階段等の広い交通路を想定してきたが、他には換気システムや電気ケーブルの周囲から、ということもあるのかもしれない。

換気システムの配管内に海水が浸入するのは、配管の破断がないとほぼ起こり得ないだろう。建屋の損壊は殆どなく、配管類も壊れていなかったということであるから、換気システムは除外されると見てよいだろう。


電気配線等のケーブルは部屋を出て中央制御室等にまで配線されていなければならないから、水の移動可能性だけ考えればあるのかもしれない(配線の経路は不明なので、実際には調べようがないのだが)。


けれど、ケーブル類さえもが、完全にシール構造を有している、ということが分かった。シールは耐圧試験があるそうで、基本的に施設内の配管や配線は密閉性を維持するべく、細心の注意が払われている、ということだろう。


なので、防火・防水という面でも、ケーブルは防御されていた、ということである。
電源室の上部から水が降ってきた、というような可能性もほぼないと言えるだろう、ということ。廊下や階段やエレベーターなんかの開口部ないし交通路しか、水が移動する経路は存在しないだろう、ということである。


(追記)


疑問点20:
東電原子力線は何故喪失したのか?



外部電源喪失ということで、地震で鉄塔倒壊などがあった、という話だった。外部電源は、1~4号機に大熊線1L~4Lが、5、6号機に夜の森線1Lと2Lが接続されていたとされ、それぞれが全部使えなくなった、ということだった。これら外部電源は、全て新福島変電所であったので、変電所側の故障(O‐32~34、及びO-91、92)というものもあり、簡単には復旧できる状態ではなかった、ということらしい。全部が同一変電所だったら、そこを失うと大変なことになる、というのに、6回線全てを一箇所に集めていた、ということだ。女川原発のような、外部電源の分散化をどうして採用していなかったのだろうか、と疑問に思うわけだ。


で、よくよく資料を読んでいくと、実は別の外部電源が存在していたことが分かる。
それが、東北電力の富岡変電所から来ていた「東電原子力線」ということだった。


大熊線がダメだった、というのが事実だとして、何故東北電力からの東電原子力線が接続できなかったのだろうか?
その明確な理由というのは、説明がないのでよく分からないわけだ。


3月18日以降の電源復旧の際には、最初に回復したとされるのが、この東電原子力線と夜の森線1Lということだった。
地震直後の外部電源喪失の時、東電原子力線は接続できない状態だったのか?
破壊状況の説明がないのだよ、この線については。



それから、D/Gからの給電が途絶えた(全交流電源喪失)ということで、電源車を現地に送っても、M/CやP/Cが使えない状態だったのなら、冷却機器の復旧はできないということは明白だったのですよね?
それなのに、電源車を送った、ということでしょうか?


   電源喪失  だから  電源車を送る


もしそうであるなら、電源車をどこかに繋ぐ必要があるわけで、それはどこを想定していたと?
津波で被害を受けたことは、2階中央制御室から1階に降りてみれば、腰だか肩の高さまで被水していたことは、明々白々だったわけですよね?
だって、泥水が壁に痕を残すわけですから。

C/BもT/Bも、1階部分は全部水に浸かったんでしょう?
なのに、電源車を送るように要請したと?


被害状況確認の為、地下のD/Gの状況も見ただろう(普通は復旧を目指そうとするだろうから、だ)し、M/CやP/Cの設置場所は目視で確認できるはずだから。にも関わらず、電源車が大量に向かった、ということは、接続ができる部位が必ずある、ということだ。

それは具体的にどこだったのか?

直流電源もない、バッテリー室もダメ、メタクラもダメ、パワーセンターもダメ、だったら、どこに繋いで電源回復ができると?
電源車が出発したのは、少なくとも15条通報の16時台よりも後だったはずだろう。


電源車を向かわせる前に、D/Gの被害状況を確認し、手動起動ができないかとか、動かせそうかどうか、というのを見たはずだ。T/B地下に降りなければ確認できない。そこに向かうついでに、例えば2号機のM/Cを見ないわけがないでしょう?


見た上で、電源車が大量に送り込まれたのなら、それはどこに繋ぐ予定だったのか、ということ。
5号機とかに接続しても、意味ないでしょう?だって、6号機D/Gがあったのだから。


そういうわけで、

 東電原子力線はどうして接続できなかったのか
 被水状況を確認した上で、電源車をどこにどうやって繋ぐ予定だったのか


大いに疑問である。




福島原発事故を巡る東電の大罪~8

2015年05月19日 18時20分59秒 | おかしいぞ
疑問点17:
津波で建屋内にどれくらいの浸水があったのか?



どうも信じ難いのが、津波によって「大量の海水が流れ込んだ」という説である。まず、原発施設なのだから、「閉じ込める」機能を発揮させるべく、外部への開口部は「極めて限られている」だろう、ということだ。それは、逆に言うと、外から内部へ入ってゆく経路も限定的にならざるを得ない、ということ。

例えば、弁当箱かタッパーのような容器に、錐で小さな穴を開けたとして、これを風呂の底に沈めてみた場合に、どれほどの水の侵入があると思うか?密閉式の容器であれば、穴の大きさが小さいと内部に入る水の量は限られる、ということである。
津波でかなりの水圧がかかったにせよ、外部との交通路はおそらく「殆どなかった」であろうはずだから、どうやって大量の水が入り込んだか、というのが気になるわけだ。冷却設備が津波で破壊されて穴が開いてしまったりして、そこから入ったということなら、大量の海水が入るとしても理解できる。だが、そういった外力による損壊は殆どなかった、ということなのだから、簡単に言うと「建物の殻に穴が開いて、そこから水が入った」ということと全く違う、ということになるわけだ。


では、どうやって入ったか?
換気システムとかの出口とか?エレベータの設置場所?
とりあえず、そういった僅かな隙間があって、水が入ったものとしよう。普通の家で言えば、車庫のシャッターの下の隙間とか、玄関の扉の隙間とか、そういうようなもの、と。

津波が押し寄せて、退いて行くまでに、どの程度の時間がかかるのだろう?
20分も浸かっているとは思えない。せいぜい、数分ではないかな。長い場所でも10分以内くらいではないかと思うが、どうだろうか。

そうした短い時間で、水密扉とか、エアロック構造になっているであろう、構造物の出入口を突破して、海水が浸入したとしよう。隙間が小さい場合だと、1分間当たりでどれくらい入るものなのだろう?
毎分1tの海水が浸入してしまったとしよう(面倒なので、1㎥の体積だったとします)。因みに原子炉を冷やす場合だと、スクラム後では毎時20~30tの注水が必要らしいので、それよりも2~3倍は多い条件だ。


そうすると、浸水が10分間続くと、10㎥の海水が入ったということになる。これが地下まで水浸しにしてゆく、ということだな。低い方に流れるので。
ここで疑問が生じる。タービン建屋の面積はどれくらいあるか?相当広いだろうね。何たって、巨大施設だから。
水は均等に広がるから、段差が存在しなければ同じ深さとなる。
階段までの面積が100㎡だと、水の深さは10cmということになるわけだ。これが地下へと流れ落ちてゆく、ということだな。でも、そんなに狭いはずはないだろう。だって、10m×10mなんて、一般家庭の部屋くらいしかないではないか。あり得ないだろうね。

P/Cの設置されている広さだけでも、400㎡程度はあるだろう。そこに至るまでには、扉を通過したりする必要があることはほぼ間違いないであろうが。タービン建屋1階に浸水したとして、それが本当に深さ50cmとか60cmなどというレベルにまで溜まると思うか?それは、具体的に、何百tの浸水が必要なのだ?
気密性の高い構造物の建物が、何時間も水没していたわけでもなく、水の配管が破壊されて内部溢水が大量に漏れたわけでもないのに、どうして100tオーダーの浸水が発生すると言うのだね?

地下のD/G室までには、いくつも水密扉があるだろう。そもそも火災発生可能性が高い場所なんだから、他の場所との区分がより厳密になっていなけりゃならないに決まっている。消火できんだろ?消火栓を開いた途端に、原発が爆発していては話にならんだろう?


そうであるのに、たとえ10tくらい水が浸入しても、地階のD/G室まで相当な障壁を乗り越えなけりゃ、浸水したりはできんぞ?
現実には不可能な水準ではないか。
建屋の広さから見て、水深が均一に5cm溜まるとしても、面積が50m×30m=1500㎡くらいだと、75tの水量が必要。腰くらいの高さまで浸水跡があった、との証言からすると、少なく見ても70cm、通常レベルなら90cmとかの水没なんて、ほぼ不可能だろうに。わずか数分で1050tもの浸水があると?

水深20cmでも、300tもの水が流入する必要があるんだぞ?
そんなもの、できるわけがない。
毎分30tの濁流って、見たことあるか?
それは沈没船のレベルだろ、って言ってるんだよ。


疑問点18:
1号機の直流電源室は、どうやって水没したか?



直流電源であるバッテリーは、1号機のC/B(コントロール建屋)地階にあるとされているが、そこにC/B1階から直接降りられる階段はない。ほぼ隔離されたような場所になっており、T/Bの地階から、いくつもの扉を通過しないと辿りつけないはずだ。非常用照明電源も恐らく同じ場所にあるだろう。

津波で真っ暗になる、ということになると、T/B地階まで水が落ちてゆき、D/G室も含めて全体に水が広がって、ようやく浸水するんだよ。それも、水密扉を超えて、だ。本当に、そんなことが可能なのか?

浸水跡がある、という話は、殆どがメルトスルーした後の、水をいくら入れても漏れる、という状態になってからの話なんじゃないの?


それから、T/B地階には、トレンチがあって排水というか漏洩水は溜まる仕組みになっているはず。ドレンは各所から来ており、床ドレンサンプポンプがあるのだ。機械ドレンサンプも勿論ある。
これは、水が漏れていたら、集めて放射性物質の混入がないか調べて、廃棄処理される、というものだ。だから、水漏れがある場合には、こうしたドレンに流れ込んで、それはサンプポンプで廃棄されるはず、ということ。


そうすると、海水が外部から仮に進入したとしても、床ドレンがあるなら、そこから排出されるはずだし、サンプのタンクが満杯になるまではポンプで排出されるのではないか、ということである。浸水が大量であると、排出が追い付かなくなり、溢れてくるかもしれないが、ある程度の量まではトレンチやドレンや床サンプなどに溜まるはずだろう、ということ。

なので、津波で浸水が起こったとしても、量的に何十トンも入ったとは考え難い、床ドレンサンプで排出される、ということで、水密扉をくぐり抜けて直流電源室やD/G室が浸水したとは信じ難い、ということだ。



津波で水没した、という言い訳が使えなくなると、どうなると思う?

意図的に嘘を言った、ということだろうね。
そして、全ての辻褄が合わないことになる。


もしも浸水が本当なら、もっと別の理由しか考えられないだろうね。例えば、T/B内なら、復水器の配管がもの凄く破壊されて、復水タンクの水が全量くらい漏れた、とか。そのくらいの水量がないと、無理だわ。




福島原発事故を巡る東電の大罪~7

2015年05月18日 09時53分15秒 | おかしいぞ
(続きです)

疑問点14:
1号機の直流電源喪失が早かったのはどうしてか?



津波で電源喪失後、バッテリーさえもが使用不可となってしまい、計器類はもちろん照明も落ちた、ということだったはず。事故の数か月後に作られたNHKの再現ドラマでもそれに基づいて真っ暗とされていた。だが、それは本当だったのだろうか?


まず、中央制御室の構造として、1号機と2号機は同一の部屋となっていたようであり、大部屋を左右に分けるような形で1号機側と2号機側があったようである。そうすると、2号機が照明アリの場合、1号機の方にも灯りはもれるはずで、部屋の遠くの角付近は暗いかもしれないが、操作盤あたりが全く見えないということはなかったのでは?

ただ、バッテリー節約の為に、照明をカットしていたかもしれないので、それなら1号機も2号機も暗闇で操作せねばならなかっただろうけど。けれども、津波が到来した途端に非常用D/Gが止まって発電できなくなり、いきなり一般家庭の停電時みたいに真っ暗になるというのは、本当なのだろうか、と疑問に思える。


少なくとも、2号機においてはRCICが何日か動いていたわけで、RCICの機能は直流電源の存在下でなければ維持できないことは確実だ。すなわち、2号機の直流電源は生きていた、ということ。


ここで新たな疑問が生じる。
2号機のバッテリーはどこにあったか?
C/B(コントロール)建屋の地下1階に設置されていたのである。コントロール建屋というのは、原子炉建屋とタービン建屋の間にある、中央制御室の入った別棟の建物なのだ。人の出入りについて、放射線量の管理上もあって、厳しい制限があるのはもちろん、保安上でも侵入防止から簡単な構造ではないであろう。その建物の地下に設置されていた、ということだ。


では、1号機のバッテリーはどこにあったのか?
中央制御室は1、2号機は同一で、同一建物内にあったわけだが、1号機バッテリーもやはりC/B建屋地下にあった。同じような条件だが、2号機バッテリーは数日使えていて、1号機だけは津波直後にダメになったと?


それは、どうしてなのか?
説明としておかしいのではないか?


水の浸入条件が同じで、同一建物の地下の別の部屋か別の場所にあったというだけのバッテリーは、それほど水に対する条件が異なる理由とは何か?
C/B建屋に大量に水が簡単に流れ込み、電機機器だのバッテリーだのが簡単に水没する構造ということなら、どうやって放射性物質の管理をできるというか。厳重な何重かになっているであろう水密扉を超えて、地階のバッテリー室まで水が1mほどまで浸かるというのは、本当なのか?


◎疑問点15:
重油タンクが津波で流されたことと電源喪失とは無関係では?


当初、よく言われていたのが、燃料の入っているタンクが流されてしまって、非常用の発電機は使えなくなったんだ、というような説明だった。たしかに映像で津波被害が分かり易いのだが、あれは重油タンクということだったのだ。
つまり、重油だから、暖房やボイラー設備の燃料ということであって、非常用ディーゼル発電機の燃料ではなかった、ということ。

D/Gは、燃料が軽油だから。

なのに、燃料タンクが流された=発電機が使えなくなった、というプロパガンダに利用されていた。
当時は、あまりの衝撃にオイルタンクが流されて使えない、と言われたら、何の疑問も抱かずに「そうだろうな」と思っていたのだが、こんな簡単な事実(だって、自動車のエンジンでは常識だ)をどうしてこれまで気付かなかったか、自分でも笑ってしまうくらいだよ。


現実には、D/Gの燃料は流されていないし、燃料がなくなったわけでもなかった(小規模タンクがあって8時間程度は燃焼できる、建物の外部タンクにはさらに1週間分くらいは常備されている)、ということ。なので、燃料がない、という言い訳は使えなくなった。
残された理由というのが、発電機が水没した、か、メタクラ(M/C)だの、パワーセンター(P/C)だのといった設備が水没したからだ、というものだった。当初に言っていたことと、若干違うということだな。直流電源が使えるけど、それら設備は使えない、と?


因みに、直流電源喪失の通報は、なかったように記憶している。3号機もHPCIが使えていたことは確実なので、バッテリーは残存していた。津波で全部が一気にダメになった、というのは疑問だ。



◎疑問点16:
ICが機能しているか、確認手段はなかったのか?


11日夕方(18時過ぎ)頃、偶然にも1号機の電源が一時的に回復した際、ICの弁の開閉を操作した、ということがあったでしょう?
その際、建物の外に排出される「蒸気」が上がっているかどうかで、確認した、ということだった(21時過ぎの時点でもあったか?)。

だが、ICには、弁の開度計が設置されていた。原子炉建屋の4階に行けば、開度計でどの程度弁が開いているのか、分かったはずだ。
内弁の1Aや4Aについて分かったかどうかは不明ではあるものの、少なくとも外弁は判定ができただろう。


また、ICには水位計が設置されており、残量も目視で確認できたのでは?

4階から3階にかけては、ICで蒸気から水に戻された水を圧力容器に戻す配管があったはずだ。それは「凝集水戻り配管」であり、もしもICが機能している場合には、その配管温度はかなりの高温になっていたはずだ。少し手を触れてみれば、簡単に分かるだろう。伝導熱だけだと、そう簡単には100℃以上にまでならないだろう。ICが動いており、戻される熱湯が流れていれば、150~200℃くらいの熱湯である可能性が高いので、配管の表面温度は相当熱いはずだ。


少なくとも、津波後、原子炉建屋4階まで上がってみれば、ICの動作は確認できた。不運にも1号機の直流電源が落ちていたとしても、だ。
もしも1、2号機間では、本来融通できたであろう電力のうち、480V交流電源が使えて、CVCFの残量があったのであれば、早期に1号機のIC内側弁(1、4-A/B)の開弁操作を実行し、トリップ信号(差圧300%)は「手動で切」にしておくことができたなら、ICは維持できた可能性があるのではないか。


ICへの補給水は、消火系からでも復水補給水系からでも、補給が可能だった。
何故なら、圧力容器内やメルトダウン後の高圧となった格納容器内への注水(高圧をまず下げないと注水できないから)よりも、ずっと簡単だったはずだから、である。途中の開弁操作も、比較にならないくらいに、ICへの給水の方が簡単だから、である。


津波被害後、電源が落ちたのなら、直流が使えるかどうか、冷却機能は何が残っているのか、確認するしかなかったであろうに、ICの弁開度計の数値や水位計の数値を目視で確認しなかったことがどうしてなのか疑問だ。


格納容器圧力が高圧になる以前なら、消火系ディーゼルポンプが動いていたのだから、そこから格納容器内へ注水(勿論、ICの冷却水にも)することだってできたであろうに、給水ラインがなかったことが致命的となった。



福島原発事故を巡る東電の大罪~6

2015年05月16日 13時38分29秒 | おかしいぞ
(続き、追記部分あり)


疑問点12:
1号機の「原子炉水位が分からない」とはどういうことか?



枝野官房長官の発表などで「水位が分からなくなっている」という文言を聞いたように記憶している。普通に考えると、「言うに言えない」ってことであり、バレたらまずいので「分からないと言うしかない」くらいに非常にヤバい状況ってことだと、殆どの人たちは受け止めていたのではないか。


なので、まず「水位が分からない」というのは、裏返せば「燃料棒が露出しているであろう水位です」とか「冷却材はほぼゼロです」というような話ではないかと。

他には、電源がないので計測できない、という可能性はあるだろう。東電はそれを言ってきたわけだ。パラメータが分からないから、やむを得ないのだ、と。これについては後述する。

別の可能性というのも存在する。
操作ミスとか運転員(東電の対策本部の頭でっかち)たちの知識欠如に由来する場合、だ。
操作ミスというのは、現場の運転員たちが自力でやってしまうこともあるし、遠く離れた本部の連中が、教科書的知識だけに基づいて誤った指示を出してしまい、かえって状況を悪化させたりするか、時間と労力だけを浪費させ徒労に終わるだけということもあろう。


具体的なミスの事例は存在する。
2007年10月30日の1号機において、原子炉圧力が計測できなくなった。A系とB系にそれぞれ4系統ある配管の弁の誤操作により、計測数字が表示されなくなったというものである。一つの系には、原子炉保護系に2管、IC系に2管が接続されており、その元弁が閉止されてしまった為であった。
ここから分かることは、原子炉圧力を測定するのに、保護系は2×2(A、B)と4管が使われていること、IC系にも同じく圧力測定用の配管が存在すること、の2点である。IC系の圧力測定を行うのは、前述した通りにトリップ条件が差圧によるものであるからで、安全機構を動作させる為には圧力数値が分からなければならない、ということだ。


仮に、どこかの配管からリークが疑われたものの、場所の特定ができない時、とりあえず可能性のありそうな所を「閉めてみろ」という指示に基づいて、手動でこうした元弁を閉じたりすると、計測用配管も閉じてしまって圧力が測定できなくなってしまう、ということ。誤操作というのは、事故発生以前から存在している場合(顕在化しなかったのは偶然使用される場面がなかったから)でも、事故後に実施した操作でも起こり得るから、何が間違いか、何が問題だったか、というのを検証するのが難しいこともあるのだ。


東電は普通の計算モデルを持っていたはずだろうから、たとえ計測数値が正確に分からない場合であっても、おおよその見当はついていたはずだろう。注水が止まっていれば、内部水の量とか発熱量は殆どが分かるはずなので、水がどのくらいの時間で「なくなってしまうか」というのは、計算できるはず、ということ。


過去の研究モデルのざっとの水準でも、2時間を過ぎると燃料棒露出の可能性がでてきて、2時間半~3時間もするとメルトダウンが始まるであろうことは言われていたわけでしょう?

つまり、17時半~18時くらいの時点では、既にこのままでは「メルトダウンの可能性大」というのが明白であったわけで、格納容器に接近できた時期にあらゆる手段を講じるべきだった。最初の2~3時間が勝負を分けることになるのは、原発を管理する人間たちならば誰もが分かっていたはずだろう?
にも関わらず、何ら有効な方法をとることなく、無為に時間だけが過ぎてしまったのだよ。誰も解決策を見出したり、的確な指示もできなかったということだ。


因みに、当日のネット配信記事では、次のような発表だった。


読売新聞 3月11日(金)18時26分

福島第一原発の1、2号機が運転停止

地震のため、両機とも運転を停止したが、原子炉を冷却するシステムが復旧しないという。同本部によると、2~3日は問題ない見通し。


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何という暢気な姿勢であろうか。18時過ぎの時点でさえ、「2~3日は問題ない」見通しって、超甘いことを言っていたわけだよ。こんな記事を書かせた連中というのは、どこのどいつなのだ?本部の人間って、こんなにバカなのか?
結果は、真逆で、2~3日もしないうちに原発の爆発が相次いだんじゃないのか。メルトダウンどころか、メルトスルーという世界でも類を見ないレベル7の事故を起こし、核物質をまき散らすことになったんじゃないか。


18時半の時点で、1号機はメルトスルーに至っていたかもしれないのに、だ。
格納容器はまだ保たれていたであろうが、内圧はうなぎ昇りになっていたであろうに。水位が読めません、なんて段階ではなかったのだよ。今の福島原発のような、壊滅的事態を招くであろうことは、ほぼ想定できたであろう。現場を知る人間ならば。


水を入れる方法を、3時間も誰も考えていなかったことが、不思議でならんわ。



(追加)16時半頃


3月11日の夜、電源車が何台も到着したはずだろう。それから、何時間も大勢で何をやっていたのか、本当に不思議でならない。しかも、皆さんは本業の電気屋さんたちなのですよね?電力会社の、本職の、専門家たちなのですよね?
それでも、電源が供給できるようにならない、というのが、全く分かりませんわ。


病人がいるとしますか。救急搬送された人でもいいんですが、とりあえず「やるべきこと」は限られていますね。
基本中の基本は、点滴をつなげられるようにすること、つまり「血管確保」=輸液ルート確保、です。原発の給水ラインを確保するのと、何ら違いがない。


東電や保安院がやったことというのは、現地に「輸液ボトルを100本運べ」とか、「輸血用の血液100単位を運べ」ということで、病人のベッドの横に輸液ボトルや血液パックが山積みにされたわけだ。

これでどうやって治療できると?
作業が慣れている人間がたった一人でもいれば、点滴セットや延長チューブや三方活栓などは、忘れず組み立てられるわけ。でも、知らない人間がやると、ボトルや血液がたくさんあっても、「入れようがない」ってことになるんだよ。現場で組み立ててから、「延長チューブがないので届きません」って、何を言ってのかと思うね。

細くても難しくても、とりあえず「何が何でも」ルート確保、これが最優先に決まっている。輸液ボトルを大量に輸送する納品業者が100人いたとしても、決してルートは確保されないんだわ。たった1人でもいい、刺すべき血管が分かること、そして実際に刺せること、これが実行できれば、最低限1ルートは確保できるわけだよ。必要なのは、たった一人の「分かる人間」であり、時々刻々対応し判断できる人間、だ。東電は、それすらもできなかった、ということ。


1号機は、兎に角1ラインでもいいから、給水ラインを確保しなければならなかったのに、「計器を読むこと」なんかに時間を無駄にかけてしまっていなかったか?
血圧がいくらか、なんて、数字見ても見なくても、ルートがなけりゃ手段が限られるんだから、血圧測定の結果が出るまで待つとか無意味。正確な数字を知ってみたところで、やるべきことはルート確保だから。血圧が極端に下がってるな、とか、逆に上がってるなってのは、パッと見で分かるんだから、必死でルートを確保するに決まってる。

また、輸液してても、「何かおかしい」と感じたら(入っている感じがしない、効果が感じられない、等)、チューブ類が途中で外れてるとか漏れがないか、チェックするのも当たり前だろうに。
全体像を把握して判断する、というのがどうして普通にできないのか、全く分からない。


3日以内に輸血しないと死亡するかも、という場合、無駄に24時間とかを使うと思うか?何日もダラダラと引き延ばすか?
そんなわけがないだろうに。全力で輸血準備をするだろ。だが、東電は3日経っても間に合わず、全てを壊滅させた。


2号機や3号機は、24時間以上経過していて、その間、奇跡的にバッテリーが継続し、RCICやHPCIやSRVが機能しており、1号機のようなメルトダウンが免れていたというのに、どうしてあんなに何十時間も経ってからでさえ、冷温停止ができなかったのだ?
電源復旧をしてバッテリー車を繋いだと言っていたのに、それでもダメってどういうことなの?
普通は、10時間くらいもすると、冷温停止に至るわけでしょう?
長いケースでも12時間もすれば、RCIC(HPCI)使用から低圧系の何かで冷却が終われるくらいになるんですよね?
S/Cのプール水は、冷温停止にできる量をはるかに超える水量が入っているのですよね?


それで、どうして、36時間以上経っても冷温停止にできなかったのかが分かりません。ひたすら水を入れればよかったのに、冷温停止にできない理由というのが、全然分からないわけです。要するに、誰も冷却方法もラインも分からなかった、打開策も正確な指示も考えつかなかった、ということですよね。

それが、原発を管理してきた東電、保安院、原発メーカーや技術者集団の、出した答えだった、ということなんですよ。


簡単に言えば、「どうしていいのか、分かりません」だ。
そして、現実は、その通りになり、反映された結果が、3基とも爆発、だ。


でも、次回からは、「オレが答えを知っているから、大丈夫だ、オレに任せろ」ということになるんですか?どうして?


2011年3月のお前ら(の実力)と、今のお前らでは、一体全体何が違うと?
そんなに、実力が上がったとでも?
嘘だろ、そんなの。
昨日までろくに手術できなかったのに、何人か殺せば、できるようになるとでも言うつもりか?明日は、手術が成功できると?アホだな。


格納容器は健全だ、って豪語してたんなら、作業ができなかったなんてことはあるわけないだろう?放射性物質が漏れることなどあり得ないし、建屋が吹き飛んだくらいでは漏れないんだろう?(笑)
被曝だって、全然へっちゃらなんだろう?


だったら、どうして1日や2日で、代替ポンプ仮設とか、電源復旧とか出来なかった?2号機や3号機に給水ラインを作ることさえできなかったわけだろう?
その程度の簡単なことすらできなかったのに、どうして次からは大丈夫だと断言できるんだ?
分からない人間が何人集まっても、分からないんだよ。


(更に追加)


疑問点13:
IC系配管の破断は検出できなかったのか?



既に書いた通り、ICの圧力計測用配管というのが2管は接続されているであろうことが分かった。
そして、他にも機能があるであろうことも分かった。東電資料では、一切述べられていなかったわけだが。


それは、「IC配管破断検出器」(dPIS)である。
当初、運転員の証言として、ICの手動停止はICの配管にリークがないか確かめる為、ということがあったであろう。
だが、元からdPISが備わっていたのであれば、ICを起動して開弁状態になった時に配管のどこかに破断の存在が疑われる時には、圧力測定で圧低下が観察されるから破断検出されるはずなのだ。目視確認とか、そういうレベルの話ではないのである。

機械的にリークの警告は検出可能であったはず、ということ。アラームがなかったのであれば、破断の可能性はほぼ無視してよかったであろう。もしICの閉弁をする場合でも、A系かB系の片側は残しておくべきであった。発生蒸気が戻り水になるICのシステムは、最も原子炉水量を維持するのに役立つのだから。


それから、計測用配管2管と同じなのか別なのか分からないのだが、差圧によるトリップ条件の発動に必要な配管が「差圧検出用取出配管」である。もしもIC系の配管にリークを疑うなら、ICに接続される配管やこの差圧検出用取出配管系に漏洩ということだ。これらが機械的にdPISで感知できないという可能性は果たしてどれほどあるかということと、たとえ微小リークが疑われたとてICを止めるリスクとの比較でどうか、という点からして、IC停止を正当化できるほど強い理由は誰も立論してないだろう。


何の為の自動化なのか、よく考えてみるべきである。



福島原発事故を巡る東電の大罪~5

2015年05月15日 13時50分15秒 | おかしいぞ
(続きです)

疑問点9:
1号機の原子炉運転モード切り替えが遅かったのは何故か?



アラームタイパでICの自動起動信号の直前にあるのが、原子炉モードの切り替えのようであり、通常スクラム後にはモードを「運転」から「停止」へと切り替えるわけである。それが実行された時間が、スクラム47分から約5分後の52分だった、ということだ。


14時52分

RX MODE SW STAT ON
RX MODE SW OPER OFF
RX MODE SW REFUEL ON
RX MODE SW STAT OFF
RX MODE SW SHT DOWN ON
RX MODE SW REFUEL OFF


当初、この信号の意味が全く分からず、非常用復水器の稼働と停止ではないかと思ったりしていた(http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/0e8f10d4335ff8043a8de02e1c0ad6ea)のだが、その後の東電説明により原子炉モードの「停止」操作であることが判明した。

原子炉スクラム後にするべき当初の動作として、制御棒挿入確認と原子炉モード切替操作であり、運転から停止にするのが普通のはずである。各種説明や運転マニュアルなどでもそうなっているだろう。

ところが、1号機の運転員はこの操作を実施したのが5分も経過してからだった、ということである。どうしてなのだろうか?
考えられる理由はいくつかあるが、単純ミスだけだろうか?
これまで書いてきたように、過去に経験したことのない状況に陥ってしまっていたとしたら、「どのように操作すべきか」が混乱して分からなくなってしまっても不思議ではないんじゃないか。
中央制御室が、地震被害によって、通常の操作ができるような状態になかった?
もっと深刻な警報(既に漏洩関係の可能性を指摘した)が出ていて、そちらに気を取られてしまい、「停止」操作を失念したとか?


スクラム、MSIV全閉、発電機トリップ、ポンプトリップ、となってから、原子炉モードを「停止」にするというのは、どうしてなのか?



疑問点10:
ICに自動停止機能は存在したのに、何故手動停止は必要だったのか?



津波前であっても、スクラム後から非常に多くの警報に対応しなければならず、やるべきステップ数は多いだろう。また、外部電源が喪失していたということなら、D/G起動後の電源切替操作もやらねばならなかったはず。これらを同時処理するのが困難な上に、ICを手動でコントロールするというのは、かなり熟達した人たちでなければ難しいだろう。


そもそも、機械的にパラメータで制御するのは、人間のミスを減らす為にあるわけで、多数の作業を処理しつつ機械がそれを補ってくれるはずなのだ。
なので、難しい判断を必要とする原子炉操作は、元から「使い慣れないIC」なのだから、自動制御に頼った方がよいに決まっている。

ICの自動起動は7.13MPa、という条件と書いたが、自動停止(自動の閉弁だろうか)条件があった。
復水器への蒸気管差圧(300%)か、復水器からの復水戻り管差圧(300%)信号でトリップする。マニュアルで見ても、ICは基本的に手動停止させない。電源喪失原因が何であれ、IC手動停止は「原子炉圧力が1.04MPa以下」であって、手動停止はない。



疑問点11:
無停電交流電源装置(CVCF)は全く無効だったのか?



東電が言うには、MSIV全閉となったのは計測機器電源が喪失(外部電源が喪失したことによる)したからだ、ということだった。
本当に、そんな現象が起こるのか?

普通の重要機器を考えてみるとよい。例えばパソコンなんかでも、停電に備えて、無停電電源装置を設置していることはあるだろう。これと同じ原理が原発施設でも採用されていない理由があると思うか?

本当は、外部電源が落ちたくらいで、全部の計測機器が電源喪失となるわけではないだろう。基本的には、CVCFが備えられているので、非常用ディーゼル起動で給電が開始されるまで停電状態になんてなるわけないのでは?

そんなに安い設備だったら、重大な緊急事態の場面で、最初の数秒が「計測機器が電源落ちて空白時間帯です」って、なってしまうではないか。

アラームタイパからすると、D/W圧力計やS/Cプール水位計が動作しており、それはMSIV閉信号が出る14時47分50秒直前でも計測していたことがうかがわれる。主蒸気管AとCが先に閉信号が出たが、BとDの信号が出るまでの間(51秒710)でも、「SUPPRESSION LEVEL」及び「DRYWELL PRES」の計測信号が出されていたように見える。


*D/W圧力計やS/Cプール水位計は、全交流電源が喪失すると、計測できなくなる機器である(DC電源で監視可能なのは、原子炉圧力と水位(狭・広帯域)計である)。これら計測機器が生きていた、ということは、1号機MSIV閉信号の時点で交流電源は使えていた、ということを意味する。


これは恐らく、CVCFが機能していれば「計測機器電源」は一時的に外部交流電源が受電できない状態であっても、内部のD/Gが2台使えるわけだし、計測機器を停電にすることなど通常ではあり得ないだろう、ということだ。

また、このCVCFはHPCIとも関係しており、交流電源喪失状態になった場合には、原子炉スクラム後原子炉水位の調節には、やはりHPCIを使えるようにする、ということになっているわけだ。原子炉圧力の監視と調節は、基本はSRVとHPCIなわけで、しかも計測電源が喪失(外部電源やD/G起動できず使用できない=全交流電源喪失の場合)したとしても、CVCFがあるので「HPCIタービン入口蒸気圧計」で圧力監視が補われるということになっているのである。したがって、HPCIを起動しない理由というものは、基本的には存在しないと言えよう。もしあるとすれば、水位高L-8信号でトリップする場合くらいだろう。

前項の原子炉「停止」モードにするのを忘れたいたくらいだとすると、HPCI手動起動まで頭が回っていなかったことは想像に難くなく、余程とんでもない状態にでも陥っていなければ、スクラム+MSIV閉後の基本操作を取らない理由はないだろうからね。


東電が何か重大なことを、事故直後からずっと隠し続けてきたのだろう。内部の人々も、自分の失敗を隠そうとしたりしたか、非常にマズいことを情報集約に回さなかったが為に、対策が誤りであったり遅れたりしたことは間違いないだろう。


隠そうとしたことが、3月11日の1号機の状況を極端に悪化させることになったはずだ。


計測機器電源が全号機の「MSIV全閉」理由でない、とすると、東電の出鱈目が明らかになるわけだ。
意図的に、嘘を言い続けてきた、ということだ。
これが犯罪的ではない、と?



福島原発事故を巡る東電の大罪~4(追記あり)

2015年05月12日 21時31分44秒 | おかしいぞ
◎寄り道:


未だに東電の罪は、隠されたままである。彼らのような連中がのさばり続ける限り、日本に未来などない。


東電の説明は明らかに異常である。
なのに、誰も指摘できない。一部について、事故調でお小言を言う程度でしかないのだ。まともな学識者たちも殆ど存在しないか、矛盾点を追及できる人間など全くいないということなのだ。このような連中に、これからも原発を任せていかねばならないとなれば、廃炉作業など夢のまた夢なんじゃないかとしか思えない。


また喩えで申し訳ないが、東電の異常さについて言うと、以下のような感じ。
将棋の棋譜ってあるでしょう?
あれは、応手がきちんと把握でき、先手がどういう手を指したか正確に分かるわけです。事後的に見ても再現できるし、あまり将棋が強くない人が見ても分かるわけです。

東電の説明というのは、これとは全くかけ離れています。
通常の棋譜ならば、初手が何、7手目は何、15手目は何、と分かりますよね?しかも、どうしてこの手を指したのですか、と尋ねれば、きちんと理由が返ってきます。しかし、東電の説明は全然違う。


8時25分、将棋会館へ向かうバスに乗る。
その日は必須アイテムの扇子を忘れた為、集中できず実力が発揮できなかった。扇子は勝負に組み込まれているようなものなので、やむを得ず。
11時30分頃、5手目に歩を突いたが、仕方ない。他の手は選択できないからだ。
26手目で飛車を取られた。玉を守る為だったから、しょうがない。
15時46分くらいに、トイレに立つ。
51手目で金で受けた時、観戦記者が入室。苦しい形勢だ。
78手目、大駒だけでなく、金銀も失う。戦意喪失だ。
89手目、詰んだ。もう玉の逃げ場がなかったからだ。


こんな感じ。バカみたい。

これで、どうやって対局の刻々の変化や一手毎の良し悪しが分かると?棋譜を正確に全部出せ、って要求したら、「ああ、昼食はカツカレー、おやつはケーキを注文しました」って、全く将棋の内容には関係ないようなことばかりを並べてきやがるわけだよ。アホか。「観戦記者さんはね、○○新聞の人なんですよ、知ってました?」とかって、無駄情報入れてくるな、ボケが。


問)5手目の歩を突いた局面は、他の選択肢がないというのはどういうことですか?
→いや、戦型的には定跡らしいんですが、戦型は秘密で言えません

問)飛車を取られたのは王手飛車だったのですか?
→そうでもないんですが、玉形が悪過ぎて、どうしようもなかったんですわ

問)詰みの形と手順って、どういう感じだったんですか?
→もう敗北のプレッシャーで混乱してて、あまりよく分かりませんが詰まない順はなかった、というのは確かですね


もうね、こういうのらりくらりで、まともな答えになってないわけですわ。知りたいことが全く判明しないし、言わない。
で、結局、将棋の内容とかの検討が全くできないわけです。都合の悪い部分は全部隠しているから、対局の状況が全く見えない。でも東電のバカはこれが「オレ達の棋譜だ」って言い張るわけ。


観戦記者の様子とか、トイレ休憩とか、中心部分とは無関係じゃないの。だけど、そういうゴマカシを入れないと、棋譜らしきものにもならないから、言い訳大王気質が全開で、無駄情報を満載にしてくるんだわ。オレが知りたいのは、一手一手の記録だ。正確な棋譜なんだよ。
こんな卑怯な手を使ってくるのは、東電くらいだろうに。そういう能力だけは長けているからだ。クズ官僚どもと一緒。無駄な書類作成とか、無駄情報の山を築くことはできるが、中身がない、ってやつだ。
他の人たちなら、棋譜を提出して下さい、って言うと、普通の棋譜を出すんだよ。しかし、官僚主義帝国企業の東電さんは、違うわけ。負けの棋譜を隠すんだ。その上、言い訳だけは満載なんだわ。で、結局、情報が少な過ぎて、差し手が分からないから、戦型の適否も、悪手の存在も、何も分からないようにできているわけさ。
「どうして金で受けたら苦境だったのですか?」って尋ねても「普通は受けは金っていうのがセオリー」とか返答してきやがるから、それ以上言いようがないわけだ。ほぼ全部がこんな調子。




話は変わるが、津波被害で浸水して、発電機も配電盤も使えなくなったんだ、だから仕方ないんだ、って言い分ね、これもヘンだと思わない?

だって、原子力施設って、水だらけじゃないですか。
原子炉内部も、使用済燃料プールも、巨大な抑制室プールもそう、蒸気配管や、給排水ポンプと配管類もそう、復水器関係もそう、どこもかしこも水だらけ、ではないですか。
なのに、水がこぼれてしまい、濡れたので、原発が次々と爆発しました、って、相当頭が悪いとしか思えないんですが。そんなに簡単に隣の部屋に水がこぼれていってしまいます、って構造なのですかね?本当ですか?

だとすると、もうね、頭がおかしい。
そんなに簡単に、配電盤がいかれたくらいで、原発が終わってしまってたら、水災だけじゃなく、火災とかだってあるだろうし、電線故障とか、何があるか分からないでしょう?
その度に、電源喪失だ、M/C(メタクラ)やられた、もう駄目だってなるのか?
どこが多重防御なんだよ。単純に、メタクラだか配線だか失ったらおしまいだろ。その程度のものを、偉そうに大丈夫だ、とかよく言えるな。


津波で浸水って、本当か?
今回の記事で書いたが、SGTSとかPCISって機能は、とにかく密閉性を高めて、外部には漏らさない、ってことなのだよな?


それなのに、ちょっと水かさが増えたくらいで、あっという間に原発中が水没するもんなのか?
だったら、気体を外部に漏らさないなんてシステムそのものが、何の意味もないだろうに。アホか?
例えば、各部屋毎に気密性の高い扉の構造になってないと、建屋の陰圧ができないのでは?二重扉、水密扉とかじゃないと、意味ないんじゃないのか?


こういうのって、原発施設内部を見たことがある人間ならば、すぐに分かることなんじゃないのか?
海側のヒートシンク系ならまだ分かるよ?
だけど、原子炉建屋内部に、そんなに簡単に水が腰まで、とか、浸かるもんなのか?到底信じ難いわ。建屋内部に一つ目の部屋には水が滲み出しました、程度ならまだ分かるが、次々と水浸しになるもんなのか?だったら、本当の冷却材漏洩事故が発生したら、簡単に漏れ漏れになること間違いなしではないか。


まあ、本当にそういう構造物なら、作った人間もバカ、運用してる人間たちも相当のバカじゃないと、あり得ないわな。それでよく安全です、漏洩しません、って断言できたね。

この程度の連中が作ったのなら、やっぱり信頼などできるわけがないわな。だって、根本的におかしいから。構造物として。その程度のトラブルすら予期できないってことだし。
違うというなら、東電の大嘘がバレるので、やっぱり出鱈目業界だってのは確定だな。
どの道、異常なんだよ。原子力ムラの連中ってのは。


その上、平然と国民を騙し続けるんだから。


(追記)

これまでにも、何度も嘘をついている、と指摘してきたわけだが、政府は勿論、マスコミさえもがみんな黙り込んでいるのだよ。
原発事故で死亡した若者たちを忘れたか?

「多発性外傷」が起こった理由というものを、本当に考えたことがあるか?

2011年4月3日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a8ebcbafc093b2266bb448ad0483cce3

津波で浸水したとしたって、タービン建屋内部に、濁流が押し寄せるとか、映画『タイタニック』みたいな船内通路が急流みたいになって押し流されるみたいなことが、現実に起こり得ると思うか?

そんなのは、デタラメなんだろうよ。騙しているだけだろ。

引用した記事だが、ヤフーニュースにあって、紙の紙面にない場合、それはどういうことなのか問題になるだろう。
紙でもやっぱり記事があるなら、讀賣新聞の過去記事検索で必ず存在するはずだ。

そして、この報道内容が虚偽でないなら、通常では考えられないようなことだが、水の被害で2名の若者が死亡したってことだ。それとも報道内容が虚偽であったのなら、建屋内の浸水が激流であることは否定されるが、読売新聞記事がデタラメであることは確定するだろう。


2014年1月19日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/b845d6783fe52e6a851fc917760d892e


この時にも、ヤツラの罪について、糾弾するべく記事を書いたわけだが、原発推進派たちには何らの効力もなかったわけだよ。
世の中の弁護士たちの中で、戦いを挑める人間がいるなら、たった一人でもいい、専門家たちの知識に太刀打ちできるよう、力をつけてもらいたいものだ。どんな記録でも資料でも、くまなく調べれば手がかりや糸口は見つけられるはずだ。拙ブログは、無駄かもしれないが、記事に書いたことが今でも役立っているように思える。諦めずに、調べて欲しい。



福島原発事故を巡る東電の大罪~3

2015年05月12日 13時51分52秒 | おかしいぞ
続きです(追記あり)。


疑問点7:
1号機のMSIV全閉が起こった理由は計器電源喪失が原因か?



①主蒸気管の異状?

アラームタイパによると、主蒸気管閉信号が出る前に別のアラームが見られていると思われる。

・14時47分50秒920
STM LINE RAD A   HGIH

・14時47分50秒930
MAIN STM VALV A   CLOSE
STM LINE RAD C   HGIH
MAIN STM VALV C   CLOSE

・14時47分51秒720
STM LINE RAD B   HGIH
MAIN STM VALV D   CLOSE
MAIN STM VALV B   CLOSE
STM LINE RAD D   HGIH



推測では、CLOSE信号が出る直前に、「主蒸気管放射能高」信号が出されたようであり、A弁及びC弁が立て続けに閉鎖されたように見える。同様にBとDでも閉鎖信号が出たように見えるわけだが、Dはほぼ同時に閉鎖と放射能高信号が出た為に表示が前後していたのかもしれない。
「主蒸気管放射能高」信号はMSIV閉鎖を自動起動するはずである。


②SGTSの自動起動と自動停止

通常だと原子炉スクラム後には、SGTSが起動する。いわゆる「閉じ込める」機能を確保する為である。PCIS(格納容器隔離系)も起動する場合がある。
1号機アラームタイパでは次のようになっていた。

・14時47分21秒920
SGTS B START ON

・14時47分50秒920
SGTS B START OFF


一度自動起動したSGTSは何故か30秒未満で停止となった、ということであろう。次の瞬間には、多分別の機能の「ラディエイション モニタ」(高濃度検出?)が自動起動した、と思われるのである。


・14時47分51秒720
SGTS RAD MON HI(L/R) ON



SGTSの通常の空調システム(建屋内部を陰圧に保つ)が一度動かされたのに止まって、「放射能高の場合」の別機能が動作したように見えるということ。


これらアラームタイパからの、スチームライン(A~D)放射能高とSGTS機能を見ると、いずれの警報も一致して「放射能高(RAD HIGH?)」状態が発生した可能性を示しているのではないか、ということである。
その理由とは何だろうか?
制御棒挿入時に燃料棒の一部損傷が発生した、とか?


③D/G起動信号はMSIV閉信号よりも後

アラームタイパでは、D/G起動はMSIV閉より少しだけ遅れて発動している。

・14時47分51秒940
6.9kV BUS VLT 1D LOS ON

・14時47分52秒080
6.9kV BUS VLT 1C LOS ON

・14時47分57秒070
DIES GEN CB 1D-1 ON

・14時47分58秒920
DIES GEN CB 1C-1 ON



これらの時間が、2号機や3号機の場合と一致しているようには見えない。
また、MSIV手動閉としていたのは3号機であった。自動閉ではないようだ、ということである。本当にタービンバイパス弁(BPV)制御を使っていなかったのか?(もしも使っていたなら、3号機だけがRCICの起動時間が遅かったことと整合的である)
計器電源喪失が原因であれば、全部同じく自動閉となるはずなのだから。



疑問点8:
1号機は津波が来るまで何をしていたのか?



あくまで推測でしかないが、東電が公表していたものとは違うのではないかと思う。拙ブログでの見解を述べてみたい。

スクラム直後からの数分では、各種のアラームが発せられるので、全部を確認するのは難しいだろう。少なくとも、制御棒挿入などの基礎的事項の確認作業に追われることになるだろう。
主蒸気管の放射能高信号でMSIVが全閉となり、原子炉は隔離された状態となった。ここで、SGTSなどの「放射能高」信号か、D/W(ドライウェル)圧力上昇か放射線量上昇、原子炉圧力低下、などが重なっていたら、どのように判断しただろうか、ということである。

原子炉圧力低下は、ICが動いていたから、という理由の他、SRV関連による理由というのも想定されよう。
同時に、D/Wの変化をどう読むべきか?
「ひょっとすると、圧力容器からの漏洩がD/Wにあったのではないか?」
そのように考えても不思議ではない、ということだ。
そもそもMSIV閉が「主蒸気管放射能高」信号で発生していたなら、D/W内放射線量上昇があっても「おかしくない」と現場で判断したとしても整合的であろう、ということ。


記録から分かることは、

ア)圧力抑制室プール(S/C)の水位警報がアラームタイパで頻繁に見られた
イ)格納容器圧力上昇、S/C差圧上昇
ウ)CCSを機能させたとの証言、動作記録(15時04分頃B系 同08分頃A系)
エ)SRVの動作状況が津波前に見られないこと

などである。そして、運転員が「漏れを確認する為、ICを手動停止させてみた」と証言したとされる、国会事故調などの記述だ。


推測されるのは、例えば、ア)からSRVの弁機能かその周辺(接合部やS/Cへの配管系)の故障か損傷か異状である。
本来であると、開閉が自動的に起こって閉弁されるのだが、漏れが続くと蒸気がS/C内に持続的に噴き出すことになろう。しかも、アラームタイパでは正常水位信号と水位高信号が交互に頻繁に出てるので、水位計のうち噴出部付近の水位計だけが異常値を示すもののプール全体は大きいので他水位計は正常値を返す、の繰り返しだったとか?

他には、D/Wへの漏洩であるが、この場合にもSRV周辺の漏洩箇所があれば、MSIVが全閉になっても漏れるので、D/W放射線量上昇か圧力上昇(温度上昇までにはもう少し時間がかかるのかもしれない)が観察されていたのでは?

そうすると、SRVのどの弁に故障があるか分からず、手動で弁を閉止した、ということなら、SRVの動作記録が存在してなくても、おかしくないかもしれない。
また、ICを手動停止した理由として、リークがないか確認した、という証言があったことは、D/Wへの漏洩を想定するなら整合的だ。圧力容器を出たICに接合される配管のどこかにリークが存在する場合、D/Wへの蒸気漏洩になる可能性があったので、「閉じてみた」ということであろう。

また、CCSを作動させていたなら、これとも辻褄が合う。
何故なら、D/Wに放射性物質が噴出している場合には、D/W中に格納容器冷却系のスプレイを噴霧することで物質飛散防止効果があるし、リーク箇所からの蒸気噴出による温度・圧力上昇に対する低下効果が期待できるからだ。条件イ)とウ)を説明することができる。

チャートでも『TRS-1601-71A』でS/Cプール水温が低下していたが、もしも東電が言うようにICが動いたのでSRVが全く作動しなかったとするなら、SRVからの蒸気が流入することのなかったプール水を冷却する意味は殆どない。逆に、前述のようにD/WかS/Cへの漏洩があると判断していたなら、格納容器スプレイでもS/C冷却のいずれでも有用であり意味がある。

すなわち、津波到達以前に、D/WかS/Cへの漏洩が強く疑われた状態だったのではないか。
そうであるなら、格納容器隔離は確実に行われるし、リーク箇所を探索する操作をいくつかトライするとしても、当然かもしれない。それが、IC閉弁とか、SRV閉などであったのではないか?

そうではあっても、RCICのなかった1号機ではICを閉じてしまうと冷却能が失われるので、HPCI起動で注水力を確保すべきだったと思う。SRV+HPCIがあれば、上まで水位が保たれ、たとえリークが存在していても水位低下よりはまだマシだったかもしれない。満水にしてしまえば、格納容器冷却でもどうにかできた可能性もある。


それから、リーク箇所探索を行っている最中に、弁の閉操作を手動でやったりしているうちに、丁度閉じた状態で「電源喪失」になってしまったが為に、後々開弁操作が困難になってしまった可能性があるのではないかな。
それは、

・D/WかS/Cへの漏洩で、堅固な格納容器隔離が機械的に発生してしまう
・リーク箇所の探索の為、各弁の手動閉操作を行っていた途上で電源喪失

などにより、
原子炉の調節能の大部分が失われた、という結果を生じたのではないか、と。


簡単に書けば、

格納容器に漏れる→閉じ込めようとする→各種弁は原則閉じられる→後にアクセスが困難になる

ということ。
それは、後のベント作業が非常に困難になってしまった、ということだろう。


なので、1号機に関して、整合的な説明があるとすれば、格納容器内へのリークの存在が示唆されること、ではないか。しかも、燃料棒損傷等による放射線量上昇でMSIV全閉に至ったのであれば、やはりD/W放射線量高となるかもしれない、ということである。




福島原発事故を巡る東電の大罪~2

2015年05月11日 22時09分18秒 | おかしいぞ
続き


疑問点6:
1号機のMSIV全閉の時刻は、2、3号機と一致していたのか?



チャート類からは、読み取れない。疑問点1で前述したように、記録起止時間がバラバラだからであり、警告時刻や時系列表でもあまり正確には分からない。東電説明によれば、MSIV閉の理由は外部電源(交流電源)が落ちたことにより計器電源が一時的に喪失し、その信号で自動的に閉鎖となる、というものだった。この事実の根拠となるものは、どこにも示されていない。
唯一あるのは、東電の説明、だけである。もしも電源喪失が原因ならば、全基が同一の外部電源だったはずなので、同時に全閉となる。

そもそもこの事実こそ、疑わしいように思われる。


①単一信号でMSIV全閉が自動的に起こるのか?

通常、原子炉スクラム信号であっても、大雑把に言えばA系とB系があって、A系だけの信号の場合には自動停止動作は起こらないはずだ。何故なら、スクラム後の面倒を考えれば、信号の誤発信とか、機器の故障とか、理由があり得るからだ。

にも関わらず、MSIV全閉は、「原子炉計測機器の電源喪失信号」でもって、いきなり閉じられる、ということか?
原子炉のスクラム前に閉信号が発生することはある(代表例がLOCAだ)が、その場合、前後して原子炉スクラムとなる。

すなわち、どんな理由であれ、計測機器の電源喪失信号があれば、
  MSIV閉→原子炉スクラム、発電機停止
となってしまう、と。

その場合、非常用ディーゼル発電機D/Gの給電信号は全く関係ない、と。
そういうものだ、と言われたら、そうなんだなと思うしかないわけだが、そんな設計になっているのだろうか?
因みに、福島原発事故以前には、日本中の原発研究者たちや技術者たちでさえ、計測機器の電源ダウン信号でMSIV閉が起こることを誰も知らなかった、ということかね。
どんな成書にさえ、そのような記述がどこにもない、と。設計仕様にも書かれていない秘密の事項、ということか?


普通は、原発施設内で発電しているわけだから、自分で発電した電力を自家消費しているに決まっているだろう。ただ、外部電源は事故防止の為に必要ということであるが、もの凄く遠くの開閉所とか変電所なんかが壊れたり、台風なんかで電線事故がどこかで起こったりして、電線が切れた途端に、発電所内部で発電中であるにも関わらず、いきなり「計測機器の電源喪失」信号が発生する、と?

普通は、原子炉のスクラム信号が出た直後であっても、発電機は回ったままだから発電は直ぐには止められないはずだろう。数秒か数分は変わらずに発電し続けられるのではないか?
それに、発生蒸気はタービンを回しているが、その圧がいきなりゼロに途絶えたりはしないだろう。そうすると、原発施設内では通常通り発電中であるのに、外部電源の信号が途絶えただけで、計測機器電源が落ちた信号が出されてしまい、いきなりMSIV全閉→原子炉スクラムへと突き進む、と。そんなことがあるのか?


隣の原発が健全で発電を続けている場合、外部電源の故障があっても、D/Gを起動して何ら問題がないなら、外部電源が本当にダウンしてるか確認したりできるだろうし、計測機器電源を直ちにゼロにしてまでD/Gに切り替える意味があるのか?
もしもD/Gが先に起動していて給電できていれば、計測機器電源は保たれるのに?

D/Gは起動した直後に発電ができるわけでなく、定格に届くまで数秒はかかる。大体7秒前後、規則では10秒以内と定められている。したがって、D/G起動後であっても、電圧が一定になるまでは現実に機器接続などできるわけないし、施設内発電でまかなっている場面で、ゼロになっている外部電源に切り替える意味すらない。

1~3号機の計測電源喪失信号が同一時間に発せられない限り、全部がMSIV閉になることはなく、同一時間に電気信号が出されるなら、それはスクラム時刻が3基とも同じで、D/G起動後の給電がない状態で計測電源が切り替えられてしまった場合、ということしかないのではないか。原子炉施設内の発電機はまだ発電しているのに、外部電源に無理矢理切り替えられてしまう、とな。

参考までに、2号機のチャートを計測してみたが、おおよそ14時48分20秒前後であり、1号機の閉信号の時間とズレがあった。1号機では、47分50秒~51秒にclose信号(A、C、B、Dの順)が出ていた。もし、計測機器電源喪失信号が同一時間だったのなら、MSIV閉信号の出る時間もほぼ同一でなければならないはず、というのはそういうことだが、チャート上からは約30秒程度のズレがあるように思われる。ただし、不正確なグラフをいくら計測しても正確な結果ではないから、チャートは証拠にはならない。
ただ、設計として、異様なシステムだな、とは思う。信じ難い。


②3号機だけ冷却してなかった時間が長い

スクラム→MSIV全閉となって、2号機が14時50分にRCIC手動起動、14時52分に1号機ICが自動起動、だった。だが、3号機だけは、15時05分までは何にも手をつけていなかったのだ。その時間に手動でRCICを起動したが、約20分間も一切給水することなく放置していた、ということである。本当にそんなことが可能なのか?

前述した通り、MSIV開の場合だと自動調節が容易なのだが、全閉の場合だと調節が極めて難しいのだ。3号機が調節機能を保っていたのは、唯一SRVだけ、ということになる。原子炉圧力が高まるので蒸気が抑制プールに逃がされるが、水位はみるみると下がってゆくはずだろう。給水なしで、10分も持つわけがない。1号機だって、5分程度でICが起動している。

3号機はL-2でHPCIとRCICが自動起動するし、停止後20分間も水位がそのレベルまで低下しなかったとは考え難い。
あるとすれば、3号機だけは別の方法で冷却できていたのではないか、ということくらいだ。しかも、MSIV閉ではない、普段から慣れた主復水器を使う方法によってではないか、と。それならば、何もしてなかったとしても、合点がいく。


つまり、3基のMSIV全閉のタイミングは、一致していなかったのではないか、ということである。しかも、1号機と2号機は別の理由によって生じた可能性がある、と推測している。
少なくとも、計測機器の電源喪失信号という信じ難い理由で、MSIV全閉に至ったわけではないんじゃないか、ということである。