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三菱自動車の燃費データを巡る問題について~2

2016年04月24日 13時46分35秒 | 法関係
3)型式指定違反はあるのか

自動車が販売される前提として、まずその自動車が販売されてよいかどうかをクリアする為に、型式の指定を受ける必要がある。これも、同法で規定される。


○道路運送車両法 75条

国土交通大臣は、自動車の安全性の増進及び自動車による公害の防止その他の環境の保全を図るため、申請により、自動車をその型式について指定する。
2  前項の指定の申請は、本邦に輸出される自動車について、外国において当該自動車を製作することを業とする者又はその者から当該自動車を購入する契約を締結している者であつて当該自動車を本邦に輸出することを業とするものも行うことができる。
3  第一項の指定は、申請に係る自動車の構造、装置及び性能が保安基準に適合し、かつ、当該自動車が均一性を有するものであるかどうかを判定することによつて行う。この場合において、次条第一項の規定によりその型式について指定を受けた装置は、保安基準に適合しているものとみなす。
4  第一項の申請をした者は、その型式について指定を受けた自動車(第二項に規定する者であつてその製作し、又は輸出する自動車の型式について第一項の指定を受けたもの(第八項において「指定外国製作者等」という。)に係る自動車にあつては、本邦に輸出されるものに限る。第七項及び第八項において同じ。)を譲渡する場合において、当該自動車の構造、装置及び性能が保安基準に適合しているかどうかを検査し、適合すると認めるときは、完成検査終了証を発行し、これを譲受人に交付しなければならない。
5  第一項の申請をした者は、その型式について指定を受けた自動車(国土交通省令で定めるものを除く。)に係る前項の規定による完成検査終了証の発行及び交付に代えて、政令で定めるところにより、当該譲受人の承諾を得て、当該完成検査終了証に記載すべき事項を電磁的方法により登録情報処理機関に提供することができる。
6  前項の規定により完成検査終了証に記載すべき事項が登録情報処理機関に提供されたときは、第一項の申請をした者は、当該完成検査終了証を発行し、これを当該譲受人に交付したものとみなす。
7  国土交通大臣は、その型式について指定を受けた自動車の構造、装置若しくは性能が保安基準に適合しなくなり、又は均一性を有するものでなくなつたときは、その指定を取り消すことができる。この場合において、国土交通大臣は、取消しの日までに製作された自動車について取消しの効力の及ぶ範囲を限定することができる。
8  前項の規定によるほか、国土交通大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該指定外国製作者等に係る第一項の指定を取り消すことができる。
一  指定外国製作者等が第四項の規定に違反したとき。
二  指定外国製作者等が第七十六条の規定に基づく国土交通省令の規定(第一項の指定に係る部分に限る。)に違反したとき。
三  国土交通大臣が第一条の目的を達成するため必要があると認めて指定外国製作者等に対しその業務に関し報告を求めた場合において、その報告がされず、又は虚偽の報告がされたとき。
四  国土交通大臣が第一条の目的を達成するため特に必要があると認めてその職員に指定外国製作者等の事務所その他の事業場又はその型式について指定を受けた自動車の所在すると認める場所において当該自動車、帳簿書類その他の物件についての検査をさせ、又は関係者に質問をさせようとした場合において、その検査が拒まれ、妨げられ、若しくは忌避され、又は質問に対し陳述がされず、若しくは虚偽の陳述がされたとき。



以上の通り、型式指定に関して、燃費のデータは指定に必要不可欠な項目ではない。安全・公害防止等の為の保安基準(技術基準)に適合してさえいれば、型式指定は問題なく受けられる。燃費が、たとえ28km/lではなく18km/lであったとしても、指定は受けられよう。

また燃費ではなく有害物質除去装置のようなものが付いている場合でも、次の条文で規定され、三菱自動車の型式指定に必要な特定装置は燃費データに直接関与していない。


○道路運送車両法 75条の二

国土交通大臣は、自動車の安全性の増進及び自動車による公害の防止その他の環境の保全を図るため、申請により、第四十一条各号に掲げる装置のうち国土交通省令で定めるもの(以下「特定装置」という。)をその型式について指定する。
(以下略)


このほか、型式指定についての省令が別に存在する。
『自動車型式指定規則』である。この条文中、申請事項が規定されているので、これを見る。


○自動車型式指定規則 第3条

指定を申請する者(以下「申請者」という。)は、国土交通大臣に対し、次に掲げる事項を記載した申請書(第一号様式)を、独立行政法人交通安全環境研究所(以下「研究所」という。)に対し、その写しを提出し、かつ、申請に係る自動車であつて運行(この項の規定による提示のためにするものを除く。)の用に供していないもの及び国土交通大臣が定めるところにより走行を行つたもの(第四項において「走行車」という。)を、研究所に提示しなければならない。
一  車名及び型式
二  車台の名称及び型式
三  車体の名称及び型式
四  申請者の氏名又は名称及び住所
五  主たる製作工場の名称及び所在地
六  法第七十五条第四項 の検査(以下「完成検査」という。)を実施する工場の名称及び所在地
七  完成検査終了証を発行する事業所の名称及び所在地
八  検査主任技術者の氏名及び経歴
2  前項の申請書及びその写しには、次に掲げる書面(申請書の写しにあつては、第四号から第八号を除く。)を添付しなければならない。
一  自動車の構造、装置及び性能を記載した書面
二  自動車の外観図
三  道路運送車両の保安基準 (昭和二十六年運輸省令第六十七号)の規定に適合することを証する書面(法第七十五条の二第一項 の指定を受けた装置については、当該指定を受けたことを証する書面)
四  完成検査の業務組織及び実施要領並びに自動車検査用機械器具の管理要領を記載した書面
五  法第四十一条 各号に掲げる装置の検査の業務組織及び実施要領を記載した書面
六  完成検査終了証の発行要領を記載した書面
七  点検整備方式(自動車点検基準 (昭和二十六年運輸省令第七十号)第七条 の技術上の情報を含む。第五条の二において同じ。)を記載した書面
八  前条の購入契約を締結している者にあつては、当該契約書の写
3  国土交通大臣又は研究所は、前二項に規定するもののほか、申請者に対し、指定に関し必要があると認めるときは、必要な書面の提出を求めることができる。
4  次の各号に掲げる自動車であつて、走行時に排気管から大気中に排出される排出物に含まれる当該各号に掲げる物質の大気中への排出を第一項の国土交通大臣が定めるところにより走行を行つた状態においても有効に抑止できる装置を有する自動車として国土交通大臣が定めるものについて同項の申請をする者は、同項の規定にかかわらず、国土交通大臣が定める書面の提出をもつて走行車の提示に代えることができる。
一  ガソリンを燃料とする自動車 一酸化炭素、炭化水素及び窒素酸化物又は一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物及び粒子状物質
二  液化石油ガスを燃料とする自動車 一酸化炭素、炭化水素及び窒素酸化物
三  軽油を燃料とする自動車 一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物、粒子状物質及び黒煙




まず、分かり易い部分から。4項3号のディーゼル車の排ガスデータの偽装問題というのは、ここに引っ掛かるわけだ。が、三菱自動車の場合には、排気ガス中に含まれる有害物質の濃度(量)を捏造したりしたわけではない(除去装置なり低減用触媒装置なり?)から、ここでの規定を違反したというものではないはずだ。

仮に走行条件が変わることで、排ガス中の有害物質量が増加し、これをもって保安基準違反を構成するなら、そもそも上り勾配の道とか走行できないでしょう。
「排気ガスのデータが悪化するから」という理由で型式指定が取り消されるような自動車なら、異なる環境下で走行する日常使用には耐えられないに決まっている。そんな解説を付ける弁護士なり法学者なりがいるとすれば、是非存在を明らかにして欲しい。報道機関の責任において。


話を戻すが、燃費計測の基準となる走行方法というのは、確かに決まりごととしてあるわけだが、それは型式指定の申請事項には法的根拠をもって記載されない程度のものではないか、ということだ。

もしも自動車型式指定規則3条の規定に抵触する可能性があるとすれば、2項4号の完成検査の実施要領の記載が、実態と異なっていた、というようなことではないかな、と。
しかし、完成検査の内容については、当方は全く知らないです。なので、ここで燃費データの測定に関係する項目を実測しているかどうかが分からないのと、「実施要領」なるものが、記載すべき事項として法的に決められている範囲がどこまでなのかが分からないです。

排ガス規制を見る上で、走行条件に関する数値(仮に、以下「走行条件値」と呼ぶ)を企業が自己申告し、この数値を準用して燃費データ測定機関が燃費を算出しているのだとすると、測定機関は根拠法がないけれども準用して計測したまでに過ぎず、燃費データの偽装とまでは言えないのではないか。
法の規定なら、「燃費とは、~の数値から、これこれの計算式を用いて、算出したもの」とかの定義なり規定があるはずだから、だ。


なので、走行条件値を本来なら100と申告すべきところ、90として提出した、ということなら、これを便宜的に使用して算出した燃費データには、本来的に法的義務とか根拠法の裏付けのある数字、というものではないだろう。計測機関が、単にこれを用いて算出するのが慣例なのでそうしました、というだけに過ぎないのでは、ということだ。


もしも法令違反と問うとしても、正確な走行条件値を用いた場合、排ガス規制が制限範囲を超過するかどうか、だ。この保安基準の違反がないなら、違法を言うことはできないのではないか、ということである。


具体的に書けば(架空の話です)、「有害物質Aは、10ppm以下でなければならない」ところ、型式指定時には0.2ppmだったが、正確な走行条件値を用いて測定しなおしたら0.25ppmが結果だった、という場合、いずれにせよ10ppm以下の基準はクリアできているのだから、型式や保安基準違反でもないし取消事由にはならないでしょう、ということである。




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