西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
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「第20回世界ジョルジュ・サンド学会」

2015年07月09日 | 手帳・覚え書き
「第20回世界ジョルジュ・サンド学会」に参加し発表してきました。
5日に帰国して以来、目下、いまだに時差ボケと格闘中です。

6月末から7月初めにかけてイタリアのヴェローナ大学で開催された大規模な
国際学会には、世界各国からサンド研究者やサンドに関心をもつ人々百名
ほどが集まりました。
文学衰退が語られる昨今、世界にはサンドを研究したり愛好する人々がまだ
このように沢山いるのだ、21世紀にもサンドは不滅で健在なのだと思うと、
はるばる16時間かけてヴェローナまで来た甲斐があったと感慨深いものが
ありました。それは何よりもこのコロック開催のために、ひたすら心血を
注ぎ身を粉にして働いて下さったローラ・コロンボさんの努力の賜であり、
そのローラさんを影に日向に支えられたカトリーヌ・マッソンさんのお陰
だったことは、参加者の誰の目にも明らかなことで、とりわけ開催国の
ヴェローナ大学教授のローラさんに対する称賛の拍手は、いつまでもいつ
までも続き、驚くほど長い間、鳴り止むことがありませんでした。
また、今回のコロックの特徴としてカトリーヌさんが指摘されていたように
若手の女性研究者のほか、中高年の男性研究者の数の増加が際立っていた
ことは、よろこばしい点でした。

コロックのテーマは、 George Sand et ses consœurs : la femme artiste
et intellectuelle au XIXe siècle 。興味をひきやすいテーマだったことも
多くの集客数を誇るコロックとなった要因だったといえるかもしれません。
イタリアはもちろんのこと、フランス、米国、ベルギー、スペイン、ハン
ガリー、オランダ、ドイツ、スイス、プエルトリコ、中国、日本、等々、他
にもあったように思いましたが、参加国も極めて多彩でした。
米国のジョルジュ・サンド学会ほか、仏大使館、アンスティテュ・フランセ、
仏大使館、地元の大企業や大物が,会場の提供、企画や財政面で大きな寄与を
していたようです。

日本からは、三名が参加(村田京子氏、高岡尚子氏)し、それぞれのテーマで
発表しました。
私の発表は二日目の午前中でした。最後まで悩んだのですが、結局はパワポを
使用することに決心しました。観客数も多く、著名なサンド研究者に囲まれて
の発表だったために、我にあらず極度に緊張してしまい、日頃は出てくる仏語
がすぐには出てこないなど、予期せぬ事態にパニックになりそうでしたが、
発表が終わる頃にはすっかりいつもの暢気者の調子に戻っていました。質疑
応答では社会学者、E.Parkの理論を引き合いに出したことから、コンスエロの
物語におけるassimilation とintegrationに関する質問を頂きましたが、リラッ
クスしてお答えすることができたように思います。発表終了後に参加者の方々
から「知らないことが沢山あった」「パワポがよかった」「勉強になった」と
いった身に余るご感想を頂戴しました。自分では至らないことばかりで、納得
できていなかったので,今もって不思議な気がしています。このほか、ゲルマ
ン圏の方の中に「日本語には「。」が存在しないのか」と聞きに来る方がおら
れ、「そんなことは決してない」とお答えしつつ、どういう意味なのか解釈に
苦労しました。おそらく、時間制限のせいで私が超高速のスピードで読み飛ば
したたところがあったため、どこに句読点があるのかわかりにくく、そのよう
な突飛な質問を頂戴してしまったのかもしれないと推測し、反省している次第
です。

ヴェローナでは連日、朝9時から夜の7時まで発表を聞き、夜は学会開催の夕食
会あり、というわけで、猛暑の中を大学とホテルの往復ばかりしておりました。
そんな中、野外アリーナで、コロックが紹介して下さった、人生で一度は見て
おきたい壮大な「アイーダ」を最高席で観劇できたほか、ヴェニスではサンド
とミュッセが投宿したホテルの部屋を案内してもらい豪華な昼食を同行の先生
方とご一緒できたこと、パドヴァの町でスタンダールの『パルムの僧院』に縁
あるカフェ・レストランで昼食をとったこと、ヴェローナにお別れをする前夜
には、コロック開催者のローラさんが私の帰国とイタリア人の友人の誕生日祝
いを兼ねて、最後の夜の夕食会を開いて下さったことなどが、短い滞在の間の
貴重な思い出となって心に深く残った世界学会参加の旅となりました。
 
2015年度ジョルジュ・サンド研究ドクター論文・最高栄誉賞授与式:


発表風景など:
https://www.facebook.com/nharuko/posts/858824334191855?pnref=story

『アイーダ』開始前


歌劇『アイーダ』


『アイーダ』の観客数一万五千人


そのうちの一人


イタリアでは、馬肉もよく食されているようでした:


猛暑だったので、私が好んだのは、もっぱら生ハム、スモークサーモンなどのカルパッチョでした。どれも量が多いこと!


ホテル・ダニエリのデザート:


背景が絵画のよう
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