第52回谷崎潤一郎賞(中央公論新社主催)は22日、絲山秋子さんの「薄情」(新潮社)と長嶋有さんの「三の隣は五号室」(中央公論新社)の2作に決まった。賞金は各100万円。贈呈式は10月11日、東京都千代田区のホテルニューオータニで。
http://www.sankei.com/life/news/160822/lif1608220027-n1.html
直木賞作家の白石一文さん、新興宗教団体テーマの新作「記憶の渚にて」 「見方を一変させたい」
直木賞作家の白石一文さん(57)が長編エンターテインメント小説『記憶の渚にて』(KADOKAWA)を刊行した。ベストセラー作家の死とその真相を追う親族、新興宗教団体との関係を軸にした物語。人知を超えた出来事や150年におよぶ一族の記憶に導かれて読み進むうち、「記憶とは何か」という根源的な問いが浮かび上がってくる。
物語の冒頭、世界的ベストセラー作家が、奇妙な遺書を残し謎の死を遂げる。弟の純一は遺書やつじつまの合わない随筆を発見し兄の死に疑問を抱くが、新興宗教団体の女性と関わることで事件に巻き込まれる。
「単に面白いだけではなく、見方を一変させるようなものを書きたかった。読者がこんがらがるぐらいでちょうどいい。あちこちに張った伏線を、どんなふうにつなげていくか小説家の楽しみ」と、白石さん。
記憶をテーマにしたこの小説を書き始めたのは10年前。しかし、兄弟が幼い頃、桜の木の下で1人の女性と出会うシーンを書いていて筆が止まった。「この女性が誰なのか、自分でも分からなくなった。机の中にしまい込み、時々取り出して書き続けようとしたが、うまくいかなかった」。新聞連載の仕事をきっかけに、執筆を再開したのは2年前。「地面の下のどこかに埋まっていた作品を掘り起こすような感覚だった」と振り返る。
http://www.sankei.com/life/news/160822/lif1608220010-n1.html