日本ジョルジュ・サンド研究会の皆さま
長塚隆二先生が2020年7月8日、96歳でお亡くなりになられました。
日本のサンド研究を大きく前進させた本格的な伝記『ジョルジュ・サンド評伝』(1977)をご存じの方も多いことと思いますが、長塚先生は,第二次大戦の大東亜戦争)で大日本帝国海軍によって編成された爆装航空機による体当たり攻撃部隊、いわゆる特攻隊を生き延びられました。そのことをフランス語で書かれたご著書があるため、フランスのマスコミ界では今でも「カミカゼ」の略称で知られています。また、サンドのほか、ナポレオンやフーシェについても造詣が深く数々の研究書を残され、レジョン・ドヌール賞等の大賞も受賞されました。
昨日、都内で先生の家族葬がしめやかに取り行われました。白い胡蝶蘭や紫の花で飾られた、非常に清楚で高雅な雰囲気のご葬儀でした。先生の最愛の御妹様をはじめ参列者の皆様全員が沢山の花でお棺を飾り、最後に花びらで「ありがとう」を文字の形にした言葉が添えられ、先生は旅立たれました。
今頃は天国で、生前、親しく交流されていた、サンドの後継者クリスチアンヌ・サンドさんや『ジョルジュ・サンド』書簡集全26巻の編纂者ジョルジュ・リューバン氏に再会され、サンドのことをお話になっておられることでしょう。
長塚先生のサンド研究への情熱には並々ならぬものがあったことは、『ジョルジュ・サンド評伝』のほか、翻訳『棄子のフランソワ 』や残されたサンドに関する研究ノートが裏付けています。ご葬儀に参列させていただき、私たちも先達のサンドへの熱い情熱を継承し、サンド研究を推し進めていくべきであろうという思いを強くした次第でした。
改めて、これまでのご温情とご深切に心より感謝し、追悼の意を捧げたいと存じます。