“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

「スマホ1日5時間以上」で中高生の自殺リスク上昇

2018年01月09日 08時41分08秒 | 育児
 スマホ中毒が健康に及ぼす影響の記事をもう一つ。
 なんと中高生の自殺のリスク上昇、という内容です。

■ 「スマホ1日5時間以上」で中高生の自殺リスク上昇か
提供元:HealthDay News:2018/01/09:ケアネット
 米国でスマートフォン(スマホ)が一気に普及した2012年を境に、米国の中高生で抑うつ症状や自殺念慮の経験者、自殺者が急増したことが、米サンディエゴ州立大学心理学教授のJean Twenge氏らによる研究で明らかになった。スマホやパソコンなどの1日当たりの使用時間が平均で5時間以上の中高生では自殺念慮や自殺企図などのリスクが上昇することも分かったという。同氏らは「中高生でスマホなどの端末の使用時間が増えていることが、自殺者の増加につながっている可能性がある」と警鐘を鳴らしている。詳細は「Clinical Psychological Science」11月14日オンライン版に掲載された。
 Twenge氏らは今回、米国の中学2年生~高校3年生の男女計50万人超を対象に、抑うつ症状や自殺念慮の経験、インターネットでのソーシャルメディアの使用状況を含む生活や行動について尋ねた2件の調査データと、13~18歳の男女の自殺に関する米疾病対策センター(CDC)の統計データを分析した。
 その結果、2010年から2015年までに中高生の自殺率は31%上昇しており、特に女子では65%上昇したことが分かった。また、抑うつ症状を経験したことがある中高生の割合も、女子では2010年の16.7%から2015年には26.4%へと58%上昇していたほか、自殺念慮や自殺企図といった自殺につながりうる経験(自殺関連アウトカムの経験)がある女子中高生の割合も同期間に12%上昇していた。
 さらに、自殺関連アウトカムの経験者の割合は、スマホやパソコンなどの端末を使用する時間が1日当たり1時間未満の中高生では29%だったが、2時間の者では33%、5時間以上の者では48%を占めていた。また、端末の使用時間が1日1時間未満の中高生と比べて5時間以上の中高生では自殺関連アウトカムのリスクが66%上昇することが示された。抑うつ症状の経験者の割合も端末の使用時間が長くなるほど高まることが明らかになった。
 Twenge氏は「今回、2012年を境に13~18歳の中高生、特に女子中高生で抑うつ症状や自殺関連アウトカム、自殺による死亡が急増したことが分かった。これはスマホが普及した時期とちょうど一致する」と説明している。
 また、端末の使用時間の長さによる抑うつ症状や自殺関連アウトカムへの影響は特に女子で強くみられたが、同氏はこの点について「これまでの研究からソーシャルメディアの使用時間が長いと精神面に悪影響があることが分かっているが、男子はソーシャルメディアよりもゲームに費やす時間が長いため、影響が弱まっているのかもしれない」との見方を示している。
 なお、今回の研究では端末の使用時間が1日2時間未満の子どもでは精神的な問題のリスクは上昇しないことが示されたため、Twenge氏は「親は子どもにスマホの使用を1日2時間まで制限し、寝室にはスマホを持ち込ませないといった対策を取るべき」とアドバイスしている。
 今回の報告を受け、専門家は「さほど驚くべきものではない」と口をそろえる。米ミシガン大学のScott Campbell氏は「食べ物やアルコール、セックス、買い物などと同様に、インターネットの使用も過剰になると有害だ」と指摘。一方、米ワシントン大学のAnne Glowinski氏は「インターネットの長時間使用は特に夜間に多くみられるが、それによって睡眠の質が低下し、抑うつ症状や自殺のリスクを高める可能性がある。さらに対面での人との交流や家族と過ごす時間も奪い、精神的な問題を引き起こしうる」と説明し、親は子どもにスマホを与える前に十分話し合い、明確に使い方のルールを決めるべきだと助言している。

就寝時の電子機器の使用、子どもの健康への影響

2018年01月09日 06時25分40秒 | 育児
 「スマホ中毒」の根拠となる論文がまた一つ。
 動かないから太る、光刺激で夜眠れない・・・想定内の影響です。

■ 就寝時の電子機器の使用、子どもの健康への影響は?
提供元:HealthDay News:2018/01/09、ケアネット
 スマートフォン(スマホ)やタブレットなどの電子機器は、今や私たちの生活に欠かせないアイテムとなり、これらを上手に使いこなす子どもも少なくない。しかし、子どもに質の良い睡眠を十分に取らせ、肥満にさせたくなければ、就寝時のこれらの使用は制限すべきだとする新たな研究結果が「Global Pediatric Health」10月27日オンライン版に掲載された。
 保護者を対象に行ったこの調査によると、子どもが就寝時にスマホを使用したりテレビを視聴すると、BMIが増加することが示された。また、テレビの視聴やスマホ、コンピューター、ビデオゲームの使用は、子どもの睡眠時間の短縮や睡眠の質の低下を招くことが分かった。
 論文の筆頭著者である米ペンシルベニア州立大学ハーシー医学部のCaitlyn Fuller氏は「子どもにスマホなどの電子機器を与える際には、親は小児科医に年齢にふさわしい使い方について相談するとよい。もし子どもに十分な睡眠を取らせたいならば、ベッドに入る前にこれらの電源は切り、スマホを枕元に置かせるようなことはあってはならない」と述べている。なお、同氏は、今回の研究では、就寝時の電子機器の使用が子どもの睡眠や肥満に悪影響を与える可能性が示されたに過ぎないとしている。
 Fuller氏らの調査では、小学校5年生までの小児の約4割が自分のスマホを所有しており、それより低い年齢でも多くの子どもが電子玩具やタブレット式の玩具に親しんでいるという。
 今回の研究は、同大学の2つの診療所(うち1カ所は肥満専門クリニック)から登録した8~17歳の子ども234人の保護者を対象としたもの。保護者には、子どもの電子機器(コンピューター、ビデオゲーム、スマホ、テレビ)の使用時間や使用するタイミングのほか、睡眠時間や睡眠の質、朝の疲労感、注意力、日頃の運動量などについて尋ね、就寝時の電子機器の使用とBMI、睡眠、注意力への影響を調べた。
 その結果、就寝時にテレビを視聴したり、スマホを使用する子どもは、そうでない子どもと比べて過体重や肥満になるリスクが2倍以上であることが分かった。また、当然ながら戸外での運動量が多いほど過体重になるリスクは低かった。
 さらに、就寝時にテレビを視聴したり、ビデオゲームを使用する子どもは、そうでない子どもと比べて一晩の睡眠時間が30分短く、スマホやコンピューターを使用する子どもは、使わない子どもと比べて睡眠時間が1時間短かった。なお、コンピューターを使用する子どもは寝付きが悪く、ビデオゲームを使用する子どもはすぐに目が覚めてしまうといったトラブルも抱えていた。
 就寝時の電子機器の使用は睡眠の質にも悪影響を及ぼしていた。就寝時にスマホやビデオゲーム、コンピューターを使用する子どもは朝に疲労を感じやすく、朝食を取らない傾向がみられた。一方で、子どもの電子機器の使用による注意力への影響は認められなかった。
 専門家の一人、米ノーザン・ウェストチェスター医療センターのPeter Richel氏は「スマホやタブレットなどの電子機器は私たちの生活の一部になっており、より幼い頃から身近なものとなっている。最近では、10歳代の子どもや若者がソーシャルメディアやIT機器に費やす時間も著しく増えたことで、戸外で遊んだり読書の楽しさを経験する機会が奪われていることに危機感を抱いている」と述べ、日常生活にITが浸透していくほど子どもの睡眠が妨げられるのは確実で、就寝1時間前には家族全員でこうした電子機器の電源を切るよう勧めている。


<原著論文>
Fuller C, et al. Glob Pediatr Health. 2017 Oct 27;4:2333794X17736972.