廣島パイレーツ・チャンネル

広島の名も無き”田舎侍”が地元プロスポーツを中心に色々と書いて行く過激なスポーツコラムや、広島の市政や街づくりについても

カープBOM2003年9月(中)

2021-01-21 22:22:22 | Weblog
総括 バント狂時代
at 2003 09/15 22:55 編集


 昨日から私のパソコンが不調だ。 起動してしばらくすると突然画面が真っ暗になって止まってしまう。 原因は不明だが、もう3年以上も使っているパソコンだし、限界なのだろうか? しかし今は買い換える余裕も無い。 困った事になってしまった。 ホームページの更新もしばらくはネットカフェでする事になると思います。 何か対策を考えないと...




  『川相選手(G)の新記録』


 以前、ジャイアンツの川相選手が犠打(送りバント)512の世界新記録を達成し、各マスコミはこぞって賞賛した。 しかし先日、スポーツジャーナリストのマーティー・キーナート氏がMSNのコラムで「読売ジャイアンツの川相昌弘が樹立した犠打の「世界記録」が、地道に積み上げてきた数字であることは間違いない。しかしメジャーリーグでは、今や犠打の記録をめざす選手などいない。犠牲バントが評価され、その数を指おり数えて記録をつくるのは、日本の野球の古すぎる伝統なのだ。」と書き、読者からは「川相選手の記録は賞賛されるに値する記録だ。 川相選手の今回の記録やそのプレーから何かを学び、励まされたファンも多いのだ。」みたいな反論が来ていた。 確かに、バントという“一芸”を磨いて大物選手の集まるジャイアンツの中で生き抜いて来た川相選手の姿は、人員整理による首切り(リストラなんて横文字に言い換えて誤魔化しているが)の危機にさらされる多くの日本人に共感を与え、励みにもなっただろうし、私も長年積み重ねて来たこの記録自体は素晴らしいものだと思いますが、バントを多用しないアメリカの野球ファンがこの記録を評価できない事は仕方が無い事だと思います。


 関連ホームページ
『世界が知らない世界記録──川相の512』(マーティ・キーナート:8月28日)
http://news.msn.co.jp/286828.armx


 そう言えば、“野球の故郷”ことアメリカのクーパースタウンにある『野球の殿堂』が川相選手のバットを展示させて欲しいと言って来ただろうか? 私も最近は旅行三昧だった為に新聞記事をチェックしていないが、少なくとも記録達成直後にはそんな話は無かったと記憶している。 ちなみに、新庄選手(現メッツ3A)が昨シーズンのワールドシリーズで“日本人選手初ヒット”を打ったバットはその試合の翌日には『野球の殿堂』から展示の話が来ていたと記憶している。 ちょっと前の『週間ベースボール』で日本とアメリカ、両国の“バント事情”についての考察記事が載っていたが、日本はアメリカより二倍以上もバントを多用しているらしい。 これでは比較にはならないし、アメリカの選手がこの記録に挑戦する機会も無いでしょう。 アメリカを始め、日本以外の野球界では「一人の選手が500回以上もバントさせられるなんて異様だ。」としか思わないでしょう。 でもそれは仕方が無い...


 例えば、競技用のプールで一人泳いでいたとします。 そこで自らの最高タイムに挑戦する事は出来ますが、誰も競争相手がいないのだから「一等賞だ!」といくら叫んでも無意味でしょう。 読売は川相選手の記録をギネスブックに申請したそうだ。 こちらにはちゃんと”世界記録”と書かれるでしょうけど、残念ですがバントの数を積み上げた記録は日本でしか評価されません。 アメリカの野球ファンに川相選手の記録の偉大さをいくら訴えても「アメリカにバンドマスターならいるが、”バントマスター”なんていない。」とつまらないジョークで返されて終わりだ。 川相選手の記録は日本だけで称えても良いと私は思います。




  『二番打者は”バントする人”(?)』


 私は昨シーズン、始めてカープの開幕戦を観に行った。 相手はベイスターズだった。 初回、一番の石井(琢)選手がいきなりヒットで出塁した。 そして二番打者は金城選手だ。 一塁には盗塁王常連の石井選手、打席には首位打者の実績もある金城選手、ハラハラしながら見ていたが、金城選手はあっさりとバントしてしまった。 走者は”得点圏”に進んだが、私は何か気が抜けた気分になった。 バントする前の時の方がよほど”危機感”があった気がするのだ...


 川相選手の様にバントマスター”として大成した選手がいる一方で、バントマスター”にはなり切れずに苦しんだ選手も多いのではないでしょうか? カープで言えば正田(現バファローズコーチ)、野村、緒方といった実績のある俊足・巧打の選手達です。 私が見る限り、彼らは二番打者をやらされると一番を打っていた時の”輝き”や”持ち味”を失ってしまっていたと思うのです...


 過去10~15年ほどの間、私も様々な”一・二番コンビ”を見て来た。 中には実績や長打力もある二番打者を擁する”攻撃型一・二番コンビ”も多々あったが、結局は普通の一・二番コンビになってしまい、大抵の場合は二番を打つ選手が不調で打順を下げられたり、レギュラーを外されたりした。 私はやはりバントが原因と考えます。 冷静に考えれば、首位打者を獲ったり、ホームランを20本以上打った実績とプライドのある選手にとって、矢鱈にバントを命じられるのは”屈辱”だと思います。 何故なら彼らには自分でヒットを打ち、チャンスを拡大したり、ランナーをホームに返す自信があるのだから...




  『”名将”の条件』


①ノーアウト一塁で次の打者がバントで二塁に進めた。 しかし後続の打者が凡退して無得点に終わる。


②ノーアウト一塁で次の打者はヒッティングに出たが凡退し、後続の打者も抑えられて無得点に終わる。


 突然ですがクイズです。 上の二つのケース、共通点はノーアウト一塁だった事と点が入らなかった事です。 では両者の大きな違いとは何でしょう? 答えは後ほど...


 80~90年代のプロ野球は”送りバント全盛の時代”でしたが、逆にバントをしなかったらどうなるのか? このケースは本当に実現している。 それは98~00年のベイスターズ・権藤監督の野球です。 彼は投手コーチ出身で攻撃面は専門外でしたが、バントに頼らない野球を掲げて実行しました。 当時の二番打者は波留選手(現マリーンズ)で、彼はチャンスに強くムードメーカーでもあり、二番打者の彼が打つ事により打線が勢い付いて止まらなくなり、誰が呼んだか『マシンガン打線』の異名が付いていた...


 マシンガン打線の爆発は数多くの神懸り的な勝利をもたらし、ベイスターズは98年のシーズンを制し、日本一にもなった。 しかし翌年以降、チームの歯車が狂って勝てなくなると、手堅くバントをしない権藤監督の野球にはマスコミなどの批判が集中し、優勝の実績がありながらわずか3年で解任されてしまった。 さっきのクイズの答え、もうおわかりだと思いますが、バントで御膳立てをして点が入らなければ打てなかった選手の責任が大きいが、自由に打たせて点が入らないと何も指示を出さない(様に見える)監督の責任だとマスコミやファンは見がちだと思います。 チームに何をやっても上手く行くシーズンと、逆に上手く行かないシーズンがある。 長年チームを率いて実績を挙げるには手堅い戦法しか無い...




  『走らない盗塁王』


 まず、”二番打者はバントする人”という固定観念を取っ払って考えてみて下さい。 「厳重な警戒をかいくぐってバントする。」のと、「厳重な警戒をかいくぐって盗塁する。」のとどちらが面白いでしょうか? ...考えてみれば80~90年代のプロ野球の特徴の一つに「盗塁王が両リーグ共に30台程度の低いレベルだった。」事があり、私も疑問に思っていました。 マスコミはバッテリーの盗塁阻止技術の向上が原因だと言っていましたが、それによってリスクの高くなった盗塁を避け、バントで送るのが常道になってしまったからでしょう。


 カープも毎年の様に「伝統の機動力野球の復活」を唱え、俊足の選手を一・二番に揃えているのだが、オープン戦はともかくシーズンが始まるとたちまち”バント依存”に戻ってしまい、”機動力野球”はなかなか見られない。 やはり盗塁して失敗し、ランナーを失うリスクは取り難いのだろう。 機動力野球が売り物だったカープだが、盗塁30台以上の選手はほとんど出ていない...




  『バントをしない二番打者』


 ”バント依存”の日本球界だが、数年前から新しい流れも始まっている。 先程書きましたベイスターズ・権藤監督の野球もそうですが、何と言っても大きいのは”バントをしない二番打者”としてデビューした強打者・ファイターズの小笠原選手でしょう。 フルスイングが身上のスラッガーである彼には”小技”のイメージが感じられなかったが、ヒットを打って出塁し、ホームベースを踏む”二番打者の役目”はちゃんと果たしていた。 彼の成功は凝り固まった二番打者のイメージを変えた。 今、小笠原選手はクリーンアップに昇格しているが、こんな形の二番打者がいても良かったのだ...


 そう言えば今シーズン、タイガースの優勝に貢献した赤星選手も”バントをしない二番打者”だった。 彼は既に50盗塁を超えて球団新記録を達成しているが、彼が”バントマスター”だったら当然50盗塁なんて出来なかっただろう。 彼もバントはあまりしないが、ヒットを量産し、また自らも盗塁して得点チャンスを作り、”二番打者の役目”を果たしている。 来年以降、点が取れずに苦しい時に今のスタイルを貫けるか分からないが、できれば来年以降も続けて欲しいものだが...




  『マスゲーム』


 ところで監督の仕事とは何だろうか...? アメリカでは監督は『フィールドマネージャー』と呼ばれ、基本的に選手の能力を引き出すのが仕事で、主役はあくまで選手なのだが、日本では監督が試合の全てをコントロールしなければいけないみたいな感覚になっており、常時選手に指示を出していないと”仕事をしていない”みたいに見られがちだ。 だからつい自分の指示が形になって見えやすいバントを多用しがちなのでは。 でも、これからは野球を監督から選手の手に取り戻すべき時が来ているのではないでしょうか...




 ところで川相選手は昨日引退を表明し、昨日のスワローズ戦が引退試合になったそうだ。 本当にお疲れ様でしたと言いたいです。 ”バント狂時代”を生き抜いた川相選手のこれからの活躍を期待したいです。


今年も必勝祈願

 昨日、カープは広島市内中心部に在る廣島護国神社に今シーズンの必勝祈願にオーナー・首脳陣・選手・関係者が集まって行われたそうで。 カープが今のマツダスタジアムに移転してから10年を......


禁じられた言葉
at 2003 09/16 22:46 編集


 高校の時、国語の教科書に『最後の授業』という小説が載っていた。 私はそれを授業で扱われる前から何度か読んだりして今でも印象に残っている。 物語の舞台はフランスの小さな村だ。 そのフランスはドイツとの戦争に負けて、主人公の住む村はドイツ領になる事になってしまった。 学校ではフランス語を教える事が禁止されてドイツ語を教える事となり、退任するフランス語の先生が村中の人達が見守る中で最後の授業を行う。 その中で先生は自分達の言葉・フランス語の素晴らしさ、そしてこれからもフランス語に誇りを持って欲しいと訴えて去って行った...


 経営再建中のダイエーは注目されていた福岡ドーム・ホテル・ホークス球団からなる『福岡事業』の内、懸案となっていたホークス球団を売却する方針だと新聞各紙で報道された。 ドーム球場とホテルは外資による買収になりそうだが、球団の方は外資の参入を嫌う球界側の反対で難航し、現状では来シーズン終了後に”国内有力企業”に売却される見通しだそうだ。


 とうとうこの時が来てしまったか... とりあえず来季は今のままだが、『ダイエー』という名は来季が最後となるのか。 見る限り、ほとんどのファンやマスコミはチームを『ダイエー』と呼んでいる。 球団が多くのファンがいる福岡から移転する事は無いだろうが、移転しない場合はなおさら球団名が変わった事への違和感は大きいだろうと想像できる...


 以前から解説者の豊田泰光さんが「地元ファンがお金を出し合って球団に出資して市民球団化を図るべきだ。」みたいな発言をされているが、私も同感です。 カープだって球団設立の頃には資金難で解散寸前まで追い詰められ、ファンによる募金で危機を脱した事もある。 球団の運営はみんな企業がやってくれると言う発想を捨て、いざと言う時には自分達の球団を自分で守る気概を持って欲しいと思っています。


 同じ球団の名前が何度も変わるのは見たくない。 でも企業には栄枯盛衰が付き物だ。 状況が変われば球団を手放さないといけなくなる事もある。 今回のダイエーの一件を見ているだけでも、球団を持つ事によるリスク(企業イメージが悪くなる等)を考えれば、本当に有力な企業の参入は難しくなる。 球団の名前から企業名を外し、複数の企業や多くの人達が球団の運営に参加できるシステムに変えて欲しいと思っています...

 ...以上です。
コメント
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