You-Tubeで、「新春ビック対談 内川聖一×中村剛也」②で、面白い発言を見つけた。ホームラン王の中村剛也選手と、首位打者の内川聖一選手の対談である。アドレスは、http://www.youtube.com/watch?v=sgq6I8iLsDYである。You-Tubeの動画は、消えては、すぐ別の新しいのが出てくるので、正確さを期するために、出来れば、その動画を見て欲しい。(私はYou-Tubeの保存方法を知らない)かいつまんで言うと、中村選手は、子供の頃から、コーチの言う事は、馬耳東風で、聞き流していた、と言って、内川選手は、それが凄いことだと言っている。内川選手は、プロに入って、イースタンリーグで始めた頃は、プロのコーチの言う事は、全部正しいことだと思って、全部やっていた。と言っている。またコーチの言う事を聞いてれば、自分で考えなくてもいいから楽でもあった。とも言っている。しかし、レギュラーにもなれず、また成績が悪くてもコーチは責任をとってくれるわけじゃないし、これじゃ駄目だなと思って、あるキッカケから自分で考えることの大切さを実感した。それからレギュラーになれて首位打者にもなれた、と言っている。
これを聞いた時、プロ野球なんて、こんな程度のものなのか、と、そのレベルの低さに驚いた。私は、このブログで、何度も、「コーチの注意は無視しなければいけない」「自分で考えなくてはいけない」と書いている。このブログの右上にある、「検索」に「コーチ」と書いて、その左の所を、「ウェブ」でなく、「このブログ内で」として、その左にあるムシメガネのようなものを、クリックして頂きたい。
あるいは、http://blog.goo.ne.jp/daitou8/s/%A5%B3%A1%BC%A5%C1をクリックしても同じである。
内川選手は、コーチの言う事を聞き流す、ことが大切であるとは言っているが、その理由までは述べていない。コーチの言う事を聞き流すことが、なぜ大切なのかの理由は、私が、何度も書いている。一言でいってしまうとコーチが無能だからである。だから無能者の言う事を、真に受けて聞いていると上手くなれないのである。コーチは間違ったことは言わない。ただ、技術的なアドバイス(注意)をして、それを選手に守らせた時、選手の体に、どういう化学反応が起こるか、(これは比喩。正確に言うと、選手の脳の運動ニューロンにどういうシナプス結合の変化が起こるか)は、分らないのである。これは誰にも分らない。だからアドバイスというものは、慎重の上にも慎重にしないと、かえって選手の技術を混乱させてしまうのである。それで潰れていった選手も多くいることだろう。
ついでに、南郷継正氏の文を引用しておこう。
「ところが、技には創りあげる期間をおかねばならない、また、崩れやすいものであるということが理解できぬ指導者は、その技を創ることの中身が全然わからないために、使い方さえうまくなれば、それでまともな上達コースを歩いていると信じてしまって、「しごけ」ば強くなるものだから、「しごき」を万能と思い、それでまともな上達コースを辿っているとばかりに思いこんでいるものである。そしてその選手のお粗末な技の限界がやってくると、努力が足りないとか、もっと「しごか」ねばとか、肝心のお粗末な技のことなど全然省みもしないか、或いは、技をモデルチェンジするときにおきる大いなる障害をどれほどのものかも知りもしないで、技を直してやったのに、なぜ直してやった通りに使えないのかとか、直した技を使いきっていないと、あいつは才能がないのだとか、ともかく、自己の指導能力が0点なのを棚に上げて選手を叱りとばすのが、プロ野球コーチ諸君の大半なのだと言ったら、彼らは怒りだすであろうか。」
「今の野球のコーチにしても、小学校は小学校、中学校は中学校、高校は高校、そしてプロはプロと、全く違った体系のもとでのコーチがされている関係上、どれだけ有為の人材が、そのオンボロコーチのためにボロクズになって消えてゆかねばならなかったか測りしれないものがあると思うのである。特にプロ野球などは、多額の金に目がくらんだ人材が、毎年毎年門をくぐってくるものだから、その年採用した人間がうまく育たなくとも、そのためにコーチそのものが、まともに責任をとらされたことなどあまり聞いたことはない。三割バッターを一人育てれば御安泰とは何と幸福な社会であることか。私だったら、むしろ育てえなかった数多くの選手のことをより問題にするだろう。これら、幸福なプロ野球のコーチ諸君と違って、私のところへ入門してくる人たちは、まずそういった意味からはクズばかりである。運動神経ゼロといったたぐいの人たちがほとんどなのである。」
(南郷継正「武道の理論」より)