かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  167

2021-11-16 17:23:40 | 短歌の鑑賞
   ブログ版清見糺鑑賞 24       かりん鎌倉なぎさの会 

167 しずかなる花のさかりを夕べより音もせでくる春のあわゆき
            「かりん」2001年6月号

 桜が今を盛りと咲いているのに、夕方から急に雪が降り始めた。それも音も立てない春の淡雪であるからすぐ消えるのだろう。やわらかく情趣たっぷりのしっとりした歌である。
 「音もせでくる」は、古歌にたくさんあるバリエーションで、本庄小唄の「春の雪音もせで降る」などの一節もある。しかし掲出歌の下敷きは、民謡「さんさ時雨」がより有力のように思われる。「さんさ時雨」は仙台藩に古くから伝わる民謡で全国的にもよく知られている。作者の母方の実家が仙台で、子供時代何年か疎開もしているので「さんさ時雨」は身近な歌だったと思われる。その一番にいう。
 〈さんさ時雨か萱野の雨か  音もせで来て濡れかかる  ショウガイナ〉
                 

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