かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞 49

2020-08-06 18:59:24 | 短歌の鑑賞
  ブログ版清見糺研究      モロッコ紀行
      参加者:田村広志、寺戸和子、金子田鶴子、T・H、鹿取未放
       まとめ:鹿取未放      


49 自由への道スカラベの背に問えばすたこらさっさっと遁げてゆきたり
                     「かりん」97年2月号 
           
 さえぎるものも何もない砂漠を自由自在に行きかっているスカラベ、彼らには本能だけがあって、〈思考〉ということはないのであろうか?また、仕事のノルマ等はないのであろうか。もちろん、賃仕事のノルマではないけれど、この糞を今日はどこまで運ぼうとか、5個の糞を運んだから今日の仕事は切り上げようとか。昔読んだサルトルの『自由への道』を思ったが、彼らスカラベは人間的せまっくるしい「自由への道」など知ったこっちゃないのであろう。
ちなみに同時に旅した馬場あき子の2首を挙げておく(鹿取)

  何かかう深い哲学のぞくごと見てあればスカラベはあわてはじめぬ
            『青い夜のことば』
  行けば足下に崩るる砂ある赤きサハラ糞ころがしを生かし沈思す



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