かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞 71

2020-09-29 15:32:15 | 短歌の鑑賞
     ブログ版 清見糺の歌 8(修二会)   鎌倉なぎさの会


71 修二会見てもどる林に鹿ねむる角のほそきも腹のふときも
  「かりん」95年7月号
      
 明け方までの修二会見物で脳は感動、興奮を覚えているが、寒さと寝不足で体はたよりなく朦朧としていたのだろう。ぞろぞろと歩く人々について帰りの道をたどっていると、うっすらと明るくなりかけた林に鹿が眠っていた。薄ぼんやりした明るさの中で輪郭しか識別できない。だから角や腹という輪郭を見ている。動物に対する愛情があってはじめてできる心憎い描写だろう。(鹿取)


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