かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 397(中欧)

2020-04-15 17:17:12 | 短歌の鑑賞
   馬場あき子の外国詠55(2012年8月)
     【中欧を行く カレル橋】『世紀』(2001年刊)P113
     参加者:K・I、崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:曽我 亮子 司会と記録:鹿取 未放

       
397 行けば影プラハの夜の深い影わが影にふと寄り添ふやうな

            (レポート)
 街を歩けばプラハの夜の濃密な影がいつのまにかすっーと私の影に寄り添ってくる様な一体感がある。何とも言えない近親感を覚えるプラハの夜である。
 ■作者がプラハの街を好もしく思われたことがよく実感できる。又、作者には「影」を歌う歌が
  多々見られるが、心を投影した深い「影」なのだろう…。(曽我)


           (当日発言)
★歴史のある街の重さや奥深さを感じる。(崎尾)
★中世の建物が残って林立している街の夜の影のことも言っているのだろう。それがわたしに寄
 り添うということで、作者の都市への深い思いを表現している。(藤本)
★下の句がポイント。ニューヨークや東京ではこういう思いは出てこないだろう。古い町並みの
 よさが表現されている。(鈴木)
 

           (まとめ)
 「カレル橋」一連は光と影を意識的に詠っている。この397番歌には影という語が3回も出てくる。プラハの夜の影はやはりプラハの歴史を背負った影なのだろう。その歴史はもちろん悲惨なものもあるが、築いてきた文化の歴史でもある。影を曳いてそのなかを漂うように歩く姿にはどこか陶酔感もあるようだ。(鹿取)


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