かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の歌一首鑑賞 232

2022-10-17 12:51:02 | 短歌の鑑賞
     ブログ版 清見糺の短歌鑑賞    
                   鎌倉なぎさの会  鹿取 未放


232 せいしんがだらくしたからガンじごくにおちたのだろう 汝(な)はあどか思(も)う
「かりん」2003年7月作

 万葉集東歌の本歌取り。本歌は次のとおり。
  子持山若かへるでのもみつまで寝もと我は思ふ汝はあどか思ふ
 (子持山の若いかえでの葉が秋になって紅葉するまでおまえと共寝しようと思うが、お  まえはどう思う?)
 本来本歌取りは取る句の位置を変え、情趣も変えるのが習わしだが、この歌は結句を同じにしているし、相聞歌であることもかわらないようだ。
 かつて、万葉の相聞歌を引き合いにだして恋を語り合った相手とも、時が経って我が儘をいったりしたりしあって、考えてみれば傷つけあってきたものだ。こんなふうに自分が堕落したからそれで癌地獄に堕ちたのだろうか。きみはどう思うかいというのだ。もちろん質問しているわけではなく、本歌同様相手に同意を求めているのだろう。


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