かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞  48

2022-04-10 10:18:36 | 短歌の鑑賞
     ※本日2回目の記事です。

  渡辺松男研究2の7(2017年12月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
    【山鳥薇】P36~
     参加者:泉真帆、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:渡部慧子 司会と記録:鹿取未放
  
48 至仏山に初雪はとけあたたかし蝦蟇がすこしだけ目をあけて閉ず

  (まとめ)
 「蝦蟇」にはふりがながないが、「ひき」と読むのだろう。「ひきがえる」だと4句めが11音 になって長すぎるし、「ひき」と読めば「ゆき」「ひき」と語の終わりが同音になってリズム的 にも心地がよい。冬眠中のぼんやりした体感で、あたたかいからおやもう春かなと思って目をあ けたんだけどどうもそうではないらしいとまた閉じたということだろう。「閉ず」のところが効 いていてユーモアもある。至仏山は2228メートル、尾瀬国立公園の中にあると辞書に出てい るが、この固有名詞は歌に活きていいるが、会員意見にあった「仏に至る」というような暗示性 の意図は作者にはないだろう。(鹿取)

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