ワットアルンは、三島由紀夫の豊饒の海 第三巻のタイトルにもなったお寺。
今回の旅行で、ここがもっとも行きたかった場所です。
では、こちらでも三島の文章を引用してみましょう。
それは暁の寺へゆくにはもっとも好もしい正に日の出前の刻限だった。あたりはまだ仄暗く、塔の尖端だけが光を享けていた。ゆくてのトンブリの密林は引き裂くような鳥の叫喚に充ちていた。
近づくにつれて、この塔は無数の赤絵青絵の支那皿を隈なく鏤めているのが知られた。いくつかの階層が欄干に区切られ、一層の欄干は茶、二層は緑、三層は紫紺であった。嵌め込まれた数知れぬ皿は花を象り、あるいは黄の小皿を花芯として、そのまわりに皿の花弁がひらいていた。あるいは薄紫の盃を伏せた花心に、錦手の皿の花弁を配したのが、空高く続いていた。葉は悉く瓦であった。そして頂きからは白象たちの鼻が四方へ垂れていた。
塔の重量感、重複感は息苦しいほどであった。色彩と光輝に充ちた高さが、幾重にも刻まれて、頂に向かって細まるさまは、幾重の夢が頭上からのしかかって来るかのようである。すこぶる急な階段の蹴込も隙間なく花紋で埋められ、それぞれの層を浮彫の人面鳥が支えている。一層一層が幾重の夢、幾重の期待、幾重の祈りで押し潰されながら、なお累積し累積して、空へ向かって躙り寄って成した極彩色の塔。
メナムの対岸から射し初めた暁の光りを、その百千の皿は百千の小さな鏡面になってすばやくとらえ、巨大な螺鈿細工はかしましく輝きだした。
この塔は永きに亘って、色彩を以てする暁鐘の役割を果たしてきたのだった。鳴りひびいて暁に応える色彩。それは、暁と同等の力、同等の重み、同等の破裂感を持つように造られたのだった。
メナム河の赤土色に映った凄い代赭色の朝焼の中に、その塔はかがやく投影を落として、又今日も来るものうい炎暑の一日の予兆を揺らした。
これを読むと、明け方に訪れたかったという気持ちが湧いてきますが、なかなかそれは環境が整わないと難しい。近所に住んでいる人がうらやましい(^^)
さて、そんなわけで、ワット・アルンへまいります。
これは王宮の東壁から望むワット・アルンの大仏塔。
チャオプラヤ川(旧称メナム川)対岸からも、その存在感が伺えます。
ここから南に歩くと、左がワット・ポー、右がターティアン船着場になります。
料金5バーツを払って桟橋へ。
こちらが渡し舟。
対岸まではすぐ着きます。船着場を出て左が入口。
拝観料は100バーツ。
大仏塔とそれを囲む4つの小仏塔があります。
こちらが大仏塔。
大仏塔の壁面には、数多の彫刻や色皿。
急勾配の階段によって上れますが、上の階は立ち入りできません。
タイの民族衣装に身を包み、記念写真を撮る観光客であふれています。こちらは韓国からのツーリストのようです。
The Temple of Dawn。朝日を受けるワット・アルン。
説明書き。タークシン王はアユタヤをビルマの占領から取り戻した英雄の王様なのですが、当時この寺はWat Chaeng と呼ばれていたようです、知らなんだ。
こちらは仏塔東側の小聖堂。タイの人たちは敬虔な仏教徒が多いです。
本殿へと向かいます。
守護神はハヌマーンでしょうか。
本堂を囲む廻廊には、ここにも多くの仏像が並びます。
廻廊の前には様々な石像。
本殿。
御本尊。
これにて三大寺院と呼ばれる、ワット・プラケオ、ワット・ポー、ワット・アルンの拝観が終わりました。
暑い中けっこう歩いて疲れたけど、大満足。
ガイド役の生ちゃん&あまりお寺に興味なさそうだけど付き合ってくれた諸センパイ、感謝です。
[ワット・アルン (Wat Arun / วัดอรุณราชวรารามราชวรมหาวิหาร)]
158 Thanon Wang Doem, Wat Arun, Bangkok Yai, Bangkok 10600 タイ
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