未読の安部公房の作品。
こちら内容紹介。
脚本家と火星人を名乗る男との問答形式で話は進みます。小説ではなく戯曲にもできそうな内容。火星人は人間そっくりで、地球人だと思い込む火星人(地球病)と火星人だと思い込む地球人(火星病)の間で論理的な問答を通して話は進みますが、最後はダイナミックな展開になります。
巻末の福島正美の解説が、日本のSF創世記に触れていて興味深い内容ですが、その中で紹介さ . . . 本文を読む
「方舟さくら丸」を読み返してみて、そういえばこの話の元になっている「ユープケッチャ」は読んでなかったと気づき、読んでみることに。
安部公房の代表的な長編作のベースとなっている作品を含む短編集です。
目次はこちら。
「ごろつき」は、『文學界』昭和30年12月号に掲載。戦後、まだGHQに占領されていた頃の混乱期、靴磨き少年とやくざの話。「壁」が芥川賞を取ったのが昭和26年。初期の短編です . . . 本文を読む
平野啓一郎の新刊が出たので読んでみました。
こちら内容紹介。
5篇からなる短編集です。うち、「富士山」は、新潮に掲載されたときに読んでいます。
「富士山」は、ひょんなことから誘拐されそうになった少女を助ける行動をとった女性が、その行動への協調を躊躇った男性に対して幻滅する心理状態が書かれていますが、その男性が後日に別の子供を救助した行動を通して、女性の男性に対する認識についての葛藤が . . . 本文を読む
「死に急ぐ鯨たち」の中で、この作品への自作解説があったので、読み直してみることに。けっこう前に読んだ本なので、大筋は覚えてはいるのですが、細部の描写はほぼ忘れていました。
この作品が発表されたのは1984年、私はまだ学生、米ソ冷戦が続いている時代で、その年に行われたロサンゼルス商業五輪は、東側諸国がボイコット。アメリカ大統領はレーガン、ソ連大統領はゴルバチェフ、といった時代です。
本作は、 . . . 本文を読む
安部公房の遺作になる、未完の小説です。安部公房の死後、未完の原稿がフロッピーディスクから発見されました。
「死に急ぐ鯨たち」の中で、次回作として「スプーン曲げの少年」について触れられていましたが、この作品がそれになります。
内容紹介。
飛ぶ男は、文字の通り空中浮遊ができる男で、飛ぶ男が主人公である兄のもとを空から訪れることで物語は始まります。超能力をもっていることを証明するために、ス . . . 本文を読む
新潮文庫から安部公房の新刊が出てたので読んでみました、2024年8月28日発売。
1992年に発行されたエッセイ集「死に急ぐ鯨たち」に、「もぐら日記」を追加して文庫本化したものです。わたしはいずれも読んでなかったので、ちょうど良いです。というか安部公房のエッセイは初めて読みますよ、小説と戯曲しか読んでいなかったです。
こちら内容紹介。
目次その1。
目次その2。
死に急ぐ鯨た . . . 本文を読む
「百年の孤独」にインスパイアされた作品を読んでいるところなんですが、「同時代ゲーム」、「千年の愉楽」に続いてはこちらの作品。、、と、思って読み始めましたが、読み進めているうちに勘違いに気づきました。本作品は、百年の孤独とはまったくつながりのない作品でした^^;
なんでこんな勘違いしたんだろう?同時代ゲームと比較(SF大賞候補作)されてたせいかな?まあ、マジックリアリズムではなくとも、面白そうな本 . . . 本文を読む
先日の新聞で、「進む読書離れ、月に「0冊」6割強」という驚きの記事を読みました。読書はすべての知識の基本のキだよ、大丈夫か?日本人?
さて、「百年の孤独」からリンクして「同時代ゲーム」を読みましたが、それの補注の位置づけである作品が本書「いかに木を殺すか」だそうです。という理由で、こちらも読んでみることに。
内容紹介。これ読む限りでは、「同時代ゲーム」の五十年戦争と同じ物語が想起されるので . . . 本文を読む
「百年の孤独」にインスパイアされた作品を読んでいるところですが、大江健三郎の「同時代ゲーム」に続いてはこちら。
中上健次は、わたしが二十歳くらいの頃、マスコミによく登場していた覚えがありますが、作品は読んでなかったです、当時は三島ばっかり読んでいた。
こちら内容紹介。サーガを通しての語り部となる老婆がオリュウノオバで、これは百年の孤独のウルスラのような立場。淫蕩と早死が宿命付けられた中本の . . . 本文を読む
ガルシア・マルケスの「百年の孤独」を読んで、これに影響を受けた作品に興味がわきました。そのひとつが、この「同時代ゲーム」です。
双子の妹に宛てた6通の手紙の形式で、物語が進みます。
大江健三郎の小説は、わかりにくいユーモアというか、真面目にふざけてるというか、作者の心情が捉えにくい作品が多いのですが、この作品も例に漏れません。
最初の手紙で、主人公の「僕」は、妹の恥毛に励まされつつ、歴史 . . . 本文を読む
2025年上半期の芥川賞の2作品め。
山登りの話。道なき道を進むバリ山行を趣味とする妻鹿さんと、妻鹿さんに魅かれる悩めるサラリーマンの波多さんの物語。山小説とサラリーマン小説がミックスされたような作品でした。
特筆すべきは文章の読みやすさ。人間関係、山の中の自然の描写、すんなりと頭に入ってきました。
作者が初めて小説を読んだのは中2のときで、親から与えられたドストエフスキーの「罪と罰 . . . 本文を読む
2025年上半期の芥川賞は2作品が受賞。そのひとつめです。
胎児内胎児という不思議な出生を持った男が主人公、かと思いきや、なにか語り口が不自然。この違和感はどこから来るのだろう?と思いながら読み進めると、語り手が二人いた、そして語り手の彼女らは、結合双生児でした。
非現実的な舞台設定から、意識の存在を巡って話は進みます。語り手の交代が頻出するのでそれに混乱させられますが、それもまたこの小説 . . . 本文を読む
実際に透析を始めてみると、いろいろなことに気づいて、それに伴い疑問も出てきます。お医者さんや看護師さんに質問すると答えてくれるのだけど、細かいところまで根掘り葉掘り聞くのも気が引けるので、ちょっとは自分でも勉強しときますか、というので読んだ一冊。
患者向けの本よりも、医療スタッフ向けの本の方が詳しく書かれていると思って選びました。透析治療に関わる、医師、看護師、臨床工学技士のための本です。
. . . 本文を読む
釣具新報に書いているコラムに取り上げた一冊。ブルーバックスですよ。
1963年に創刊され、すでに2000冊以上を刊行しているブルーバックス。わたしが中学生の頃、このブルーバックスにハマりました。なかでも物理関係(ブラックホール、次元の話、時間の話、など)が面白くて、夢中になって読んだ記憶があります。子どもでも理解できるよう、難しいテーマを平易に解説している本です。
いま思い返すと、中学生の . . . 本文を読む
入院のときに持ち込んだ本。普段あんまり読まない作家がいいな、とドストエフスキーとニーチェを持ち込んだのですが、ニーチェは挫折^^;、本書も入院中の8日間で読み終えることはできませんでした。
カラマーゾフの兄弟を読み、ドストエフスキーは他の作品も読みたいなと思ってたので、まずはこの白痴から。新潮文庫版は、上下2冊組です。
こちら内容紹介。ドストエフスキーは、『無条件に美しい人間』を描こうとし . . . 本文を読む