いきなり難しいタイトルであるが、これまで日本で関連づけて論じられたことはあまりない。巨大地震による経済的被害の試算根拠が明確ではないからだ。
現在の米国を震源とする世界的金融危機は、リスクを回避すべく金融工学を駆使してきたリーマン、AIG等の世界の巨大金融機関をも破綻に追い込み、各国政府・中央銀行も公的資金を注入するしか方法がない状態であり、未曾有の金融危機ではないだろうか。
このような状況下で日本の金融業界は軽傷と報じられてはいるものの、先週の中小生保破綻で終わる状況ではないことは誰もが認識している。日本の金融業界もこの株安・債券安・円高で新たな局面にきたのではないだろうか。グローバルスタンダードが生んだ世界同時恐慌は日本だけが逃れられるとは思えない。
「失われた10年」はすでに遠い昔話となり、現時点ではこれから来るであろう「失われた10年の再来」を懸念する声が大きい雰囲気だ。
景気刺激策も含む危機的状況を打開するための財政負担増、質への逃避から一転、投げ売りされる国債で懸念される日本の財政は、この状況下でさらに大地震が来たときの財政ダメージが心配だ。
今年5月に公表されたRIETIのディスカッションペーパー「危機管理政策の国際比較-危機対応の経済政策論に向けて」で、日本国内の自然災害の危機管理シナリオについて論じているが、国の中央防災会議は首都直下地震では総額およそ112 兆円にものぼる被害が想定されると指摘していることについて、その試算根拠については学術的にはまだ議論が発展途上にあるのが現状であるとしている。
確かにGDPの約20%に相当する被害額資金の財源を国債発行に求めるとなると、1000兆円を超えるとされる国、地方の債務は返済不能同然の状況だ。
国家的危機に直面しないためにも、112兆円の被害を半分以下にする減災政策と民間資金の活用により、経済の活性化が図れないものだろうか。67兆円の直接被害が生じる前に67兆円の市場規模に変える発想が求められる。
<参考:経済産業研究所 ポリシーディスカッションペーパー 危機管理政策の国際比較-危機対応の経済政策論に向けて>
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/08050001.html