地震リスク delphis manta blue

身近な地震リスク 減災を目指して

<復興を願い 2011.3.11東日本大震災>
<未曾有の巨大災害 記録>

連続した巨大地震

2007-09-30 | 地震リスク

ニュージーランド付近で地震 マグニチュード7.4(朝日新聞) - goo ニュース

 

グアム付近で地震 マグニチュード7.1(朝日新聞) - goo ニュース

 

マリアナ諸島付近で相次いで巨大地震が発生している。今日はニュージーランド、グアム付近でM(マグニチュード)6.8、7.3の巨大地震が発生した。26日はM6.7、28日はM6.8、M7.4と相次いでいるのが心配だ。

 

日本への影響は津波であるが、一時的に海面が上がるくらいの変動との気象庁発表であった。

 

今後の推移を見守りたい。

<GeoNet:ニュージーランドの地震、火山、津波情報>

http://www.geonet.org.nz/earthquake/quakes/recent_quakes.html

<EQC:ニュージーランド地震保険情報>

http://www.eqc.govt.nz/home.aspx

<Quake Trackers>

http://www.quaketrackers.org.nz/index.html

 


被災者生活再建支援法の問題点

2007-09-29 | 地震リスク

連日のブログ話題となるが、被災者生活再建支援法の改正に前向きな意見書が今年6月に日本弁護士連合会から出されていることに気づいた。恐れながら意見書に対し反論したい。

 

日本弁護士連合会の意見として①住宅本体の補修費、建設費、購入費も支出の対象として認めるべきである。②支出要件の緩和をすべきである。の二点をあげている。理由はすべて「明文上の根拠があるわけでなく・・」、「財政的懸念について、確かに現実的課題として無視できない。しかし、十分対応可能である。」等の反論に終始し、本来の被災者生活再建支援制度の欠陥・欠点を指摘していない。

 

被災者を生まない、出さない施策が先決であり、最初から住宅再建資金をあてにする支援制度は我々国民の耐震化のインセンティブを阻害し、結果として国民我々に負担(倒壊建物の下敷きによる死傷、支援金への税負担等)となって返ってくる。

 

あまりに反論したいところが多くて書く気にならなくなったが、気になる部分で意見書に述べられていた、「住まいの公共性を前提としてきた・・・住宅は建築基準法の諸規制下におかれて・・・」といった部分は首を傾げる。これまでの多くの倒壊、地震火災建物は旧耐震基準、住宅密集市街地の建物だ。本来、耐震化、建替えられていたら被災しなかったであろう。

 

建築基準法は「最低基準」であり、耐震性能は建築基準法以上に設計せず油断すると倒壊の恐れがある。法律的な要件を満たせば住宅の安全性が確かなものになるということではない。この論理は建築の専門家も一般的に言っている。地震に備えより耐震性能を高めることが求められている。

 

旧耐震(昭和56年以前)の建物は阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、能登半島沖地震等で倒壊した。これらの倒壊した建物が耐震化されていたら、建替えられていたら・・・耐震化が進んでいないことが、被害を大きくし、その建物の所有者でもない老人が下敷きになり死亡したケースがあるように、国民にとっては危険な建物が世に存在していることが大問題なのだ。

 

「住宅再建資金出せ!」と言う前に「安全な住宅の確保を!」の意見書を出してほしい。確かに、資金的に耐震化できない、建替えできない人がいる。その方々が被災する前に救済する制度の創設を切望しているのに、弁護士連合は一国民の考えと違っているのが残念である。

 

事後的な住宅再建目的の支援金をあてにすることは、耐震化が進まず、危険な建物は地震時に凶器となり多くの死者を出し、被災者を生み、避難所の確保、仮設住宅の確保、支援資金等の財政的にも多くの支出を強いられることになるのは過去からの災害の教訓である。


被災者生活再建支援法改正案(与党了承)

2007-09-29 | 地震リスク
毎日新聞が報じたところによれば、自民、公明両党は28日の政策責任者会議で、自然災害で住宅を失った被災者を支援する「被災者生活再建支援法」の改正案を了承した。

民主党も改正案を参議院に提出しており、被災者再建支援法改正は今回の臨時国会で成立する可能性がでてきた。

住宅本体への再建資金投入が大きな改正ポイントであるが、国民への財政不足のツケが回ってくることは確実だ。被災者支援は全国民が享受することが前提であるのに、一部の国民しか受けられない制度であることが不公平であり、また、基金の財源が国民の税金から投入されていることが問題だ。

財源を国会議員、各省庁・各地方公共団体職員の給与30%削減にて捻出する等のアイデアがないと被災者再建支援制度は破綻することになるであろう。

各地方自治体の長が要求してきた被災者再建支援制度の拡充により、これまでの国が財源の半分を税金で賄うことを取りやめ、各自治体で財源を確保することにより、国の財政負担を軽減すべきでないと成り立たないことも事実である。その場合でも自治体によっては財政が破綻してしまう。結局は財政の問題は解決されていない。

建築基準法満たすビル倒壊!

2007-09-28 | 地震リスク

阪神大震災の揺れ実験でビル倒壊、防災科学技術研で初(読売新聞) - goo ニュース

 

注目すべき衝撃的なニュースが届いた。

 

現行の建築基準法を満たす耐震性能を有したビルの実物揺れ実験で、揺れに耐え切れずビルが倒壊してしまった。以前から現行の建築基準法を満たす木造住宅でも倒壊する可能性があると指摘されていたが、同様に鉄筋・鉄骨の建物でも倒壊することが実物実験ではっきりとした。

<E-ディフェンス ライブ中継>

http://www.bosai.go.jp/hyogo/live1.html

(9月27日実験映像の約50秒後から揺れが開始し、4階建てビルの1階部分が大きく傾く姿が映し出されている。倒壊防止のため補強されており、ビル自体が倒壊する様子はみられないが、補強がなければ完全に倒壊するのであろう。)

 

地震リスクを考える上で、個人住宅、マンション、ビル等の耐震化はより等級の高い建物の建築を目指すということと、その耐震性能を上回る地震に備え経済的な手当てを考えておくことが必要ということが理解できた。

 

企業、投資家は自社ビル、賃貸ビル、不動産ファンドの投資物件に対し地震リスク対策がひとつの重要なテーマになっているが、地震リスク評価モデルの信頼、分析がキーポイントとなりそうだ。


マンホールの液状化

2007-09-27 | 地震リスク

浮上防止へマンホール1000カ所以上改修=震災対策で新技術開発-東京都 (時事通信) - goo ニュース

地震時の液状化により、身近にあるマンホールが地面から突出した状態になる。2003年十勝沖地震でも新興住宅街でこの現象がおこった。東京に本社がある基礎地盤コンサルタンツ株式会社のホームページに当時の被害状況が写真つきで掲載されている。人間の背丈くらいに突出したマンホールにびっくりした。

<基礎地盤コンサルタンツ株式会社ホームページ>

※同社のホームページには最近の地震被害調査結果がダウンロードでき参考になる。

http://www.kiso.co.jp/tec/sokuho/eq/tokachi03926/pdf/Jphoto.PDF

 


オペレーショナルリスクの記事

2007-09-25 | 地震リスク
金融財政事情の9月24日号にオペレーショナルリスクが特集されている。

市場リスク、信用リスクは平時のなかで過去のデータは蓄積されているが、オペレーショナルリスクは平時のデータでは使えない。この点を理解していない経営者は多く、地震リスクのリスク計量にVaRを導入しているところもあり首を傾げる。


地震リスクは有形資産のいわゆる直接被害だけではなく、金融市場も含めた経済活動での間接被害も大きい。巨大地震が発生しBCPにより事業継続する企業の手許流動性は各企業により大きな差がある。資金需要の大きい企業は平時から社債、株式等の流動性、価格変動の大きいものへの投資はご法度だ。しかし、巨大地震が明日来るかもしれないから短期運用しかできないと偏るのは一昔の考え方と思う。もし、この10年間をこのように短期運用していた企業にとっては大きな損失を被ったはず。この10年間は巨大地震は来なかった。長期運用していたなら・・・。地震リスクをよく知ることがポイント。

歴史巨大地震に学ぶ(元禄地震)

2007-09-24 | 地震リスク

東京では1923年大正関東大地震以来、大きな地震を経験していない。正確には1923年には関東大地震後に余震とみられる丹沢の巨大地震以来、大きな揺れを感じていない。

 

関東大地震を実際に経験した人々も少なくなり、東京に住むほとんどの人々は東京地震での災害の経験を持たない。関東大地震の発生した1923年からさらに220年さかのぼること関東では巨大地震が発生した。それが1703年の元禄地震である。この元禄地震、関東大地震が次期関東巨大地震の発生周期の根拠であり、1923年+220年=2143年頃のあと133年は関東に甚大な地震は起こらないという根拠になっている。次期関東大地震までに首都直下地震等のマグニチュード7程度の巨大地震は数回、関東を襲うとされており、今後30年以内の発生確率は70%とされている。

 

ここまでは多くの地震学者、防災関係者の定説となっており、国も東京での防災計画を関東大地震ではなく首都直下地震に焦点をあてた政策を作成しており、我々の認識も今から関東大地震に備えるよりも、その前の首都直下地震に備える方を考えて行動すべきである。

 

しかし、220年周期が正しいという前提の上で成り立つことに注意が必要だ。最近の学説に「元禄地震」と「関東大地震」は異なるという説もあると聞く。元禄地震についてよくわからないとされていることも原因だ。歴史地震をよく研究・調査する必要がありそうだ。

 

歴史地震の研究情報交換を目的に1984年に結成された歴史地震研究会の会誌は読み応えがあり参考となる。

<歴史地震研究会:第21号 >

http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/rzisin/kaishi_21/P001-018.pdf


日本活断層学会の設立

2007-09-23 | 地震リスク

活断層でおきる内陸部の直下地震について、あらゆる分野の専門家、企業、大学等が集まり地震被害軽減を目的に調査・研究する日本活断層学会が設立された。朝日新聞、日本経済新聞が報じている。

 

2003年の宮城県北部地震、2004年新潟県中越地震、2005年の福岡県西方沖地震、2007年の能登半島地震、2007年新潟県中越沖地震は、いずれも断層で起きた地震であり、地震予測がはっきりと行われていなかった。全国にはまだ解明、発見されていない断層が多数あるといわれおり、地震が起こってからでは遅い現状だ。調査・研究に全力をあげてほしい。

 

国土交通省国土地理院が公表している都市圏活断層図は必見だ。大都市圏に住む人たち、家族がいる人たちの安全、安心を確かめる資料でもある。

<国土地理院 都市圏活断層図>

http://www1.gsi.go.jp/geowww/bousai/published.html

http://www1.gsi.go.jp/geowww/bousai/legend.html

<国土地理院 土地条件図>

http://www1.gsi.go.jp/geowww/themap/lcm/


被災者再建支援制度の欠陥

2007-09-22 | 地震リスク

住宅建設に200万円 被災者再建支援法改正案 自民が了承 (神戸新聞) - goo ニュース

与野党ともに今国会への支援法改正案提出の構えであるが、国民の声をよく聞いたほうがいい。年金、医療保険と同様に制度設計が国の財政悪化、被災者救済の名の下、国民への過剰な負担要求となる可能性がある。

 

内閣府が設置した検討委員会での中間報告では、現行の支給額でもはっきりと制度破綻の可能性を指摘している。現行の税金から支出された基金500億円で運用しているが、過去幸いにも大都市での被害がなかったため収支が償っている。発生確率70%の首都直下地震、84%の東海地震が起こったら、少なくとも100万世帯が家を失う。半壊、一部損壊も含めれば新潟中越沖地震等の被害規模ではない。内閣府試算では現行制度の上限で100万世帯に支給される支援金は「国民ひとり」あたり1万300円を負担して賄うとされる。1万円程度と思ってはいけない。「ひとり」は赤ちゃんから老人までで、例えば家族4人では4万1,200円である。それもその額は一回の災害に対しての試算だ。

<内閣府 中間報告P29>

http://www.bousai.go.jp/hou/kentou/tyukan/sankou.pdf

 

今回の改正案は支給される側には朗報であるが、年収800万円以下の世帯に拡大され、支給額が定額化されたことで支給金額が増大するイコール国民ひとりあたりの負担が増大することが確実だ。内閣府試算は一災害での負担額であり、これから日本は毎年のように地震、台風、水害の被害に遭うことは確実であり、負担額はさらに増大していく。被害軽減が財政負担を軽減する国の防災政策に逆行する政治判断ではないだろうか。

 

国民ひとりひとりに支援金が行き渡らない限り、受益と負担の関係では不公平な制度といわざるをえない。


財源は本当に大丈夫か

2007-09-20 | 地震リスク
住宅建設に200万円 被災者再建支援法改正案 自民が了承 (神戸新聞) - goo ニュース

住宅の耐震化、地震保険・火災保険への加入の必要性がなくなった・・・と理解していいのだろうか。国と地方が財源を捻出し、古い家でも、住宅密集地でも、崖下の家でも地震等の自然災害が起こり被害が出たら住宅再建資金がもらえる・・・財源が足りないのは確実で結局は国民へツケ(増税)が回ってくる。民主党案のように500万円なら被災国民にはありがたい。モラルの低下につながる政治判断だ。

後手の民放

2007-09-20 | 地震リスク
民放連、対応策検討へ=国交省の緊急地震速報「法制化」浮上で (時事通信) - goo ニュース

緊急地震速報開始まであと10日あまり。地震被害軽減になることが確実であり、民放各社の報道体制の向上に期待するのみ。

職場、学校の導入状況はどうだろうか。先見の明がある一部企業では受信装置、システムの配置が完了したところもある。従業員、顧客の人命を守る企業経営者が多くなることを願う。

帰宅困難者

2007-09-19 | 地震リスク
災害時6千人収容、渋谷駅前に32階ビル建設へ 東急(朝日新聞) - goo ニュース

先日、この件は日経新聞も報じていたが、東急の発想はなかなかいい。巨大地震時の帰宅困難者問題はこれまで経験したことがなく、あの阪神・淡路大震災では早朝に起こったので帰宅困難の問題はなかった。帰宅困難問題は未知のことだ。

帰宅困難は単純に1日~2日間のことでもなさそう。交通インフラはストップのままだと都心で長期間野宿するか、歩いて自宅に帰るかしかない・・・。現在の電車通勤時間1時間の距離の目安は20km程度と推測できることから、通勤2時間以上の方々は歩いて帰ることになると2~3日はかかりそうな気配。帰宅練習は一度はやってほしい。