連日のブログ話題となるが、被災者生活再建支援法の改正に前向きな意見書が今年6月に日本弁護士連合会から出されていることに気づいた。恐れながら意見書に対し反論したい。
日本弁護士連合会の意見として①住宅本体の補修費、建設費、購入費も支出の対象として認めるべきである。②支出要件の緩和をすべきである。の二点をあげている。理由はすべて「明文上の根拠があるわけでなく・・」、「財政的懸念について、確かに現実的課題として無視できない。しかし、十分対応可能である。」等の反論に終始し、本来の被災者生活再建支援制度の欠陥・欠点を指摘していない。
被災者を生まない、出さない施策が先決であり、最初から住宅再建資金をあてにする支援制度は我々国民の耐震化のインセンティブを阻害し、結果として国民我々に負担(倒壊建物の下敷きによる死傷、支援金への税負担等)となって返ってくる。
あまりに反論したいところが多くて書く気にならなくなったが、気になる部分で意見書に述べられていた、「住まいの公共性を前提としてきた・・・住宅は建築基準法の諸規制下におかれて・・・」といった部分は首を傾げる。これまでの多くの倒壊、地震火災建物は旧耐震基準、住宅密集市街地の建物だ。本来、耐震化、建替えられていたら被災しなかったであろう。
建築基準法は「最低基準」であり、耐震性能は建築基準法以上に設計せず油断すると倒壊の恐れがある。法律的な要件を満たせば住宅の安全性が確かなものになるということではない。この論理は建築の専門家も一般的に言っている。地震に備えより耐震性能を高めることが求められている。
旧耐震(昭和56年以前)の建物は阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、能登半島沖地震等で倒壊した。これらの倒壊した建物が耐震化されていたら、建替えられていたら・・・耐震化が進んでいないことが、被害を大きくし、その建物の所有者でもない老人が下敷きになり死亡したケースがあるように、国民にとっては危険な建物が世に存在していることが大問題なのだ。
「住宅再建資金出せ!」と言う前に「安全な住宅の確保を!」の意見書を出してほしい。確かに、資金的に耐震化できない、建替えできない人がいる。その方々が被災する前に救済する制度の創設を切望しているのに、弁護士連合は一国民の考えと違っているのが残念である。
事後的な住宅再建目的の支援金をあてにすることは、耐震化が進まず、危険な建物は地震時に凶器となり多くの死者を出し、被災者を生み、避難所の確保、仮設住宅の確保、支援資金等の財政的にも多くの支出を強いられることになるのは過去からの災害の教訓である。