地震リスク delphis manta blue

身近な地震リスク 減災を目指して

<復興を願い 2011.3.11東日本大震災>
<未曾有の巨大災害 記録>

個人PCに緊急地震速報配信が現実に!

2006-11-29 | 地震リスク
個人のパソコンに地震速報 NTTコム、12月から実験(共同通信) - goo ニュース

NTTコミュニケーションズが気象庁の緊急地震速報を、インターネットで個人向けに提供する実験を12月4日から来年3月末までの期間始めるとのこと。

すでに鉄道会社等へは本格運用されているが、一般国民向けに速報する本格運用は来年とされており、新築マンションへの導入を筆頭に商品化され火災発生の抑制、エレベーターの閉じ込め回避が期待されている。

実験に参加してみたい


阪神・淡路大震災の教訓 

2006-11-28 | 地震リスク
建て替え方針決議 宝塚のマンション 震災被災地最後(神戸新聞) - goo ニュース

すでに11年の歳月が流れた中で、未だに解決されていない深刻な問題である。今後、首都圏で巨大地震が起こったら、同様なケースが首都東京で多発する可能性がある。

自分のマンションが全壊したら、例え二重ローン、地震保険、貯蓄により建替えをしようとしても5分の4以上の所有者の同意が必要だ。所有者全員の経済状況が良好でないとなかなかうまく進まない。

そのためにも、日頃から管理組合全員での真剣な地震対策が必要であり、耐震診断、耐震補強、所有者・居住者の地震保険加入、管理組合(所有者全員)の共用部分の地震保険加入、地震修繕費の積立により、マンションの被害軽減と万一被害が生じた場合にも保険金による填補により地震リスクを回避する必要がある。


中小企業向けの経済的地震対策(2)

2006-11-25 | 地震リスク
前回の(1)では、政策金融機関の事後的金融対策を中心に述べたが、今回は事前の被害軽減、資金調達について考えてみたい。

資金調達は企業にとって日常の経済活動であり、その企業の財務力、経営力、人材力によって資金調達のよしあしが違ってくる。資金借入を例にとれば、その企業の財務状態(返済能力含む)、借入期間、資金使途(運転資金、設備投資資金、新規事業資金等)、返済計画を含む事業計画等により貸出金利、借入額、差入担保等の貸出条件に当然差が生じ、最悪借入を受けられない場合もある。また、いくら財務諸表、経営力が優秀でもその資金調達のノウハウを持たない人材を財務・経理・リスク管理部門に抱える企業は思い通りの資金調達ができなく資金計画に狂いが生じたり、最悪の場合には資金調達の機会を失い企業倒産に追い込まれてしまう場合もある。そのような場合に備え、資金調達のノウハウを持つ銀行等の金融機関経験者を財務・経理・リスク管理部門に配置する企業は依然として多い。

このような状況のなかで、もし巨大地震が発生した場合には、当然、個々の企業の財務力、経営力、人材力が試される。多くの場合、巨大地震発生による自社の影響の分析をしていなく、そのときになってみないとわからないと答える企業が未だに多い。しかし、投資家、金融機関からみた場合にはその企業の脆弱さがわかる。投資・融資対象としてのリスクが高くなるはずだ。リスクを十分に検討していない計画性のない企業にデフォルトリスクを無視してまで投資・融資することはない。日本政策投資銀行が導入した防災格付による融資制度はその地震リスクに着目した典型的な例である。

迫り来る巨大地震の対応については、中小企業にとって今後の重大な課題として挙げられる。特に事前の資金調達手段を考え、いざ地震のときには円滑に資金が準備できている状態が必要だ。地震が発生してからでは十分な蓄え、事業の将来性がないかぎり、資金の借入は容易ではなく、今からの準備、対策が必要である。企業向け地震保険等は保険会社自体が積極的でなく、割高な保険料を要求される。保険金が短時間にきちんと払われるかの心配もある。その間の運転資金を銀行で借りられるかも定かではない。一企業での解決は困難であっても取引先、グループを形成し巨大地震に備えた資金準備制度の構築を考えることが必要だ。

11月に東京商工会議所、大阪商工会議所等の東京、静岡、大阪、兵庫の各中小企業団体が、経済産業省の協力を得て中小企業における地震対応リスクファイナンスの実態、新たなリスクファイナンス商品のニーズを把握することを目的としたアンケート調査の結果を公表した。

アンケート結果、その分析結果によると、中小企業の約90%が巨大地震が企業経営上の重大なリスクと認識しているものの、巨大地震対応のリスクファイナンスについて約半数が特に手当てをしていないのが現状とのこと。手当てしていると答えた企業でも「十分に手当てしている」と答えた企業は20%程度であった。また、企業向け地震保険について、実際に保険金が支払われるまで1年程度の相応の期間を要する可能性があり、約70%の企業が地震保険金により、被災直後から半年の間に必要となる資金を調達しようとしていることから、保険商品上の性質と企業の求める期待の間に開きがある。さらに政策金融機関、自治体等からの緊急融資については、企業では被災直後から半年の間の必要資金を調達したいとするニーズが多く、緊急時における迅速な融資実行への期待が大きいことがわかる。最後に商品ニーズとして新たな地震対応リスクファイナンスとしては、①大地震発生時に一定期間返済が猶予される融資商品、②災害時対応型コミットメントライン等へのニーズが多い結果となった。なお、現状こうした融資商品については、法制度上の制約や金融機関の取引慣行上の課題もあり、実際には商品化されていない。中小企業のリスクファイナンス手法の多様化の観点から、今後の環境整備が望まれるとの分析結果内容である。



超高層建物の恐怖

2006-11-21 | 地震リスク
今日の日本経済新聞朝刊社会面に注目する記事が載った。

11月20日に土木学会と日本建築学会が共同提言をした記事であるが、早速、土木学会と日本建築学会のホームページをのぞいてみた。

「海溝型巨大地震による長周期地震動と土木・建築構造物の耐震性向上に関する共同提言」と題する53ページに亘る報告書が掲載されている。

「長周期地震動により超高層建物に入力するエネルギーは、これまでの設計で想定したエネルギーを大幅に上回る可能性があり・・・・過大な損傷を生じる可能性がある。」

新聞記事によると倒壊はないが、一部の階がつぶれる?・・・全壊と同じではないか。

以前にも書いた長周期地震動と高層マンションの関係と同じく対策を検討する必要があると感じた。

ゆっくりと読んでみたい。

関東大震災記録必見 「復元された震災の記録」

2006-11-19 | 地震リスク
首都圏に住む人たちは見ただろうか。

この夏に東京都中央区役所から公表された関東大震災の貴重なフィルム。このフィルムは築地本願寺が撮影したフィルムであるが、貴重な映像で当時の様子が鮮明に収められている。被災直後の建物が崩壊している映像、大勢の人が荷車を牽いて避難している様子、火災旋風により住宅が延焼している様子、落ち着いた後の皇居、上野公園での被災者の避難生活、西本願寺のある京都等からの応援隊出発の様子、募金活動の様子、大正天皇の皇后が慰問に訪れている様子等々が鮮明に映し出されていた。神田、銀座、上野の様子から東京は完全に崩壊、延焼していた。

映像の中で紹介された銀座にある記念碑には「不意の地震に不断の用意」と先人たちの教訓が刻まれている。

東京には昨年夏に震度5強の地震が久しぶりに起こったが、これから来るであろう首都直下地震に備えるためにも、大人、子供皆が一度見ておく必要があると感じた。

東京都中央区
郷土天文館(タイムドーム明石)6階
地下鉄日比谷線築地駅徒歩7分(聖路加国際病院の前です)
上映作品「復元された震災の記録~関東大震災映画フィルム~」(上映時間 約25分)
上映時間 午前10時30分から随時上映 ※最終上映は閉館時間の30分前
(観覧料は100円で自動券売機で購入)
確か上映は1月末までだったと思います。

【問合せ先】
タイムドーム明石(中央区立郷土天文館)
電話 03-3546-5537  ファクス 03-3546-8258 

月曜は休館日だった。




津波の恐怖

2006-11-16 | 地震リスク
宮城で漁船5隻が転覆 津波注意報解除後に最大波(朝日新聞) - goo ニュース

昨日のちょうどこの時間は津波警報発令中だった。

予想外の突然の津波警報にパニックになった。NHKテレビでためしてガッテンをみていた小生は突然の画面切り替わりで登場した津波警報に家内と「誤報か?」、「海外での地震の津波か?」と状況がわかるまで混乱していた。この状況は同じくNHKテレビのニュースで9.11WTCテロ事件の第一報をみている最中に画面でもう一機が突っ込んでいった瞬間をみて何が起こったのかパニックになった状況に似ている。

大きな被害がなかったのは幸いなことであったが、津波警報が出ていても避難しなかった対象地域の人たちの心理がわからない。大丈夫と思う心の判断はどこからくるのだろうか。今回は遠く離れたカリフォルニアまで1m70cm以上の津波が到達している。日本国内でも漁船の転覆等もあった。津波をなめてはいけない。

以前書いた東南海地震の津波は伊豆諸島へ10分、三浦半島へ20分とものすごい速さで襲ってくることになる。過去のチリ地震津波、北海道南西沖地震による奥尻島の津波、スマトラ島沖大津波を見る限り津波は恐怖だ。海溝型地震は津波を伴う。

気象庁の津波情報は3段階。今回は津波警報だが最高危険度の警報は大津波警報である。次回は迷うことなく逃げる行動をとるべきだ。そのためにも自治体は自主避難ではなく迷うことなく避難勧告を発令すべき。

突然の津波警報発令

2006-11-15 | 地震リスク
びっくりした。

NHKテレビを見ていたら突然画面が変わり津波警報発令。北海道オホーツク太平洋沿岸に津波警報(予想津波高さ1m)、本州太平洋沿岸に津波注意報(0.5m)。 千島列島でM8.1の地震があったとのこと。

北海道の人たちが心配だ。早く避難してほしい。
被害のないことを祈るのみ。

到達まであと25分。

米国地質調査研究所速報によると
M7.8
深さ27.7km
http://earthquake.usgs.gov/eqcenter/recenteqsww/Quakes/usvcam.php

中小企業向けの経済的地震対策(1)

2006-11-12 | 地震リスク
10日の日本経済新聞に「大震災時に補償金・りそな銀など新型ローン」との記事が掲載されていた。りそな銀行、損保ジャパン、野村證券の3社と経済産業省との共同でM7以上の巨大地震をトリガーとして一時金を支払う中小企業向けの新型ローンが誕生した。仕組みの詳細は開示されていないが、貸出金利に地震デリバティブ料が加算されており、トリガーの地震が発生すると一時金として融資額の半分が支払われるとのこと。地震デリバティブについては損保ジャパンのホームページにわかりやすく掲載されているので参照することをお勧めする(http://www.sompo-japan.co.jp/hinsurance/newrm/newr022.html)。

現在、事後的対応として各種災害融資制度があるが、先日述べた政策金融機関である国民生活金融公庫の場合、災害貸付は各種融資制度の限度額に3,000万円上乗せての融資額設定となる。金利は明らかではないが、通常の基準金利が現行2.3%程度。期間は10年以内と短い。

新潟県中越地震では中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、商工組合中央金庫の災害復旧貸付等の各種支援策が提供された。以下に記すと
<中小企業金融公庫の場合>
新潟支店内に平成16年10月25日付で「平成16年新潟県中越地震特別相談窓口」を開設
平成16年10月25日付で「災害復旧貸付」の取扱いを開始
対象者:新潟県中越地震により被害を被った中小企業者
資金使途:災害復旧のための設備資金及び長期運転資金
融資条件  
融資限度:直接貸付 別枠1億5千万円
代理貸付 直接貸付の範囲内で別枠7千5百万円
融資利率:基準利率 5年以内1.65%
(閣議決定により、特別利率0.75%が適用された)
融資期間:設備資金 10年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金 10年以内(うち据置期間2年以内)
担保条件:担保、保証人が必要、ただし、担保の一部免除の特例有り

※平成16年12月13日から、平成16年新潟県中越地震により被害を受けた中小企業者に対する「災害復旧貸付」及び既往貸付について、元金据置期間中の利息の支払いを最長1年間猶予する措置が講じられた。

<国民生活金融公庫の場合>
平成16年10月25日付で新潟県内の全支店に「平成16年新潟県中越地震特別相談窓口」を設置
平成16年10月25日付けで「災害貸付」の取り扱いを開始
対象者:新潟県中越地震により被害を受けた中小企業者
融資限度:3,000万円(上乗せ)
融資利率:基準利率 5年以内1.65%(特別措置により0.75%が適用された)
融資期間:10年以内(うち据置期間2年以内)

<商工組合中央金庫の場合>
平成16年10月25日付で新潟支店、長岡支店に「平成16年新潟県中越地震特別相談窓口」を開設
平成16年10月25日付で「災害復旧資金」の取扱いを開始
対象者:新潟県中越地震により被害を受けた中小企業者
資金使途:新潟県内で事業を行う方が災害の復旧に伴い必要となる設備資金・運転資金
貸出期間:運転資金 10年(据置期間3年)以内
設備資金 20年(据置期間3年)以内
貸出利率:年1.65%(当初3年間0.75%)
なお、既往貸付金の返済猶予についても、個々の被災事業者の実情に応じて弾力的な取扱いを行った。

民間では地元地銀の第四銀行が法人被災者向け融資制度「だいし事業安定化資金」を創設し、地震により事業用設備や商品に被害を受けた法人および個人事業主を対象に融資額50百万円以内、設備資金、運転資金を使途に通常金利より0.75%ダウンで貸出を行った。

現行では金融機関による災害貸付制度が中心であり、中小企業は事後的な制度に頼らざるを得ない状況であり、事前対策による災害の軽減と事後的な融資制度だけでない制度づくりが必要であろう。


  






地震の発生頻度と切迫性

2006-11-11 | 地震リスク

国の地震調査研究推進本部の「日本における被害地震の発生頻度に関する統計分析」によると、過去200年間に発生した内陸被害地震(死者50人以上)は23回、そのうち11回が主要断層帯に関連する地震とのこと。また、過去200年間に発生した海溝型被害地震(死者50人以上)は11回とのこと。これらから、内陸被害地震は約10年に1回、主要断層被害地震は約20年に1回、海溝型被害地震は20年に1回となる。

 しかし、観察期間が200年と短く一概に発生頻度が正しいとは言えない。観察期間をさらに遡るための地震データがあっても記録が正しいかどうかの問題も生じる。また、日本を点とした発生頻度であり、全国都道府県別、市区町村別、1kmメッシュ等の点でみた場合にはそれぞれの発生頻度のイメージは異なるはずだ。まして被害が予想される地震単位でみた場合の発生頻度のイメージも異なる。

地震単位でみた発生頻度であるが、地震調査研究推進本部での今後30年以内に発生する確率として公表している。2006年1月1日基準での発生確率は以下のとおり(30年確率の高い順)。

  1. 宮城県沖地震 (M7.5前後) 確率99% 平均発生間隔37.1年
  2. 三陸沖北部固有地震以外のプレート間地震 (M7.1~7.6) 確率90%程度
  3. 茨城県沖 (M6.8程度) 確率90%程度
  4. 色丹島沖・択捉島沖 (M7.1程度) 確率90%程度
  5. 三陸沖南部海溝寄り (M7.7前後) 確率80%~90%
  6. 十勝沖・根室沖 (M7.1前後) 確率80%程度
  7. 日向灘のひとまわり小さいプレート間地震 (7.1前後) 確率70%~80%
  8. その他の南関東のM7程度の地震 (6.7~7.2程度) 確率70%程度
  9. 千島海溝沿いの地震沈み込んだプレート内のやや深い地震 (M7.5程度) 確率70%程度
  10. 東南海地震 (M8.1前後) 確率60%程度
  11. 南海地震 (M8.4前後) 確率50%程度

    ※東海地震 (M8程度) 確率87%(参考値)

 

 2006年1月を基準としていることから、これからの地震発生カレンダーをみたいところであるが、どの地震の順番で発生していくのかは一切公表されていない。素人考えで確率の高い順番で起こっていくことを考えると、宮城県沖地震が筆頭になるのは明白だ。しかし、向こう30年での日本における最大の被害地震は確率順位8番目となる「その他の南関東のM7程度の地震」すなわち「首都直下地震」となる。国の試算でも経済被害は112兆円、金融・証券市場、企業の倒産等の混乱等は被害額に見込んでいないことからさらに経済被害額は大きなものとなることが予想される。

今後の地震学等の科学技術がさらに進歩すれば、過去不可能であった地震予知が少しでも前進し天気予報ならぬ地震予報が毎日発表されるかもしれない。

(画像は地震調査研究推進本部公表資料より「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布図)


 

 

 

 

 


地震時の政策金融機関等融資支援

2006-11-06 | 地震リスク
国の財政再建による政策金融改革が始まり、平成20年度には日本政策投資銀行、商工組合中央金庫が完全民営化され、公営企業金融公庫の廃止、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、国際協力銀行がひとつの新機関に再編され新体制に移行される。

国の「簡素で効率的な政府」への取り組みの方針のもと平成1 8 年6 月に政策金融改革推進本部が決定した「政策金融改革に係る制度設計」によると、「官から民へ」の観点から、民業補完に徹し、① 政策金融として必要な機能に限定し、これを残した上で、政策金融機関を再編し、政策金融の貸付残高の対GDP比を半減するとともに、② 民間金融機関も活用した危機対応体制を整備し、③ 効率的な政策金融機関経営を追求する、との基本原則に基づき取りまとめられた。

先の特殊法人改革により平成19年4月から独立行政法人住宅金融支援機構となる住宅金融公庫は、民間金融機関による長期固定金利型住宅ローンの供給を支援する証券化支援業務が主な業務となる。直接融資業務としては住宅資金の直接融資は原則として廃止し、災害関連、都市居住再生等の民間金融機関による融通が困難な分野に限り行うことになる。これまでの地震時における災害復興住宅融資の実績は平成16年の新潟県中越地震では310件、3,566百万円の申込を受理し、平成17年の福岡県西方沖地震では166件、1,031百万円の申込受理を行っている。

完全民営化される日本政策投資銀行は、世界初の防災格付融資制度を導入し、また非常時の資金調達手段として地震災害時発動型のファイナンスの組成と震災対策に積極的に取り組んでいるが、民営化後も引き続き震災時における社会のセーフティーネットとしての役割を果たすと宣言している。これまでの関連投融資額は平成15年度で約3,000億円、昭和30年代後半からの累計では10兆円を超えており、平成18年度では防災関連分野における投融資活動の強化を重点課題の一つと捉え、各種制度(防災格付融資の創設、危機管理対応金融普及促進融資の創設、防災新技術開発融資の創設、都市防災不燃化促進融資の継続、港湾地区の地震津波対策促進融資の拡充)の創設等に努めている。


統合される農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、国際協力銀行の5つの金融機関のうち国民生活金融公庫は、個人事業者、中小企業中心の融資業務を行い、地震時では直ちに特別相談窓口を設置し、影響を受けた小企業の融資や返済条件の緩和などの相談に迅速に対応してきた。阪神淡路大震災のときは件数2万7,522件、2,176億円の災害融資を行った。平成17年3月の福岡県西方沖地震では213件、11億円の災害融資を行っている。

今後の制度設計において、ひとつに統合される新政策金融機関に掲げた「民間金融機関も活用した危機対応体制を整備」の具体的方策を検討する上で、民間のリスクファイナンスを活用した制度づくりに期待したい。



「地震保険」と「新地震費用保険リスタ」

2006-11-05 | 地震リスク
先日の日本経済新聞で紹介されたミニ保険会社第1号である日本震災パートナーズ株式会社の日本初(世界初?)新保険商品の全容が明らかになった。同社のホームページが開設された。

新商品は現行の地震保険とは違い、火災保険の加入が不要な地震保険である。いわゆる単独でこの新地震保険に入れるわけである。新地震保険の名称はResta(リスタ)で震災後の「新たな生活をスタートする」を意味するとのこと

損保が販売する地震保険は、政府と民間損保の共同により運営され、地震保険に関する法律に基づき主契約(火災保険契約)の30~50%の範囲内でしか契約ができないという条件があるが、このResta(リスタ)は火災保険の契約を一切条件とせず、しかも保険金額(補償額)は建物の時価額と関係なく、補償額は世帯人数に応じて選択することが可能とのこと。補償額は300万円から900万円の範囲内と少ないが、保険金支払い基準は国の認定基準である罹災証明により全壊、大規模半壊、半壊の3区分で支払われ、損保のように損保自身が認定する方法により支払われることはなく、公的な機関によって認定される。加入条件としては個人、持ち家の人、建物が昭和56以降の新耐震基準のものと限定されている

このリスタは『震災後の生活再建費用をカバー』するもので現行の地震保険の建物・家財を補償するものとは違うとあるが、地震保険も確か「被災者生活安定支援」であり「建物の再建資金」ではないと「地震保険に関する法律」に書かれていたはず。だから地震保険は火災保険の50%までしか入れないとされていると地震保険契約のときに説明を受けた。どちらも住宅再建資金ではなく、生活再建支援費用であることに変わりはない。

保険料の算出は全国1300の市区町村、4区分構造と地震保険より細分化されている。応用RMS社の協力により算出されたとしている。計算例では1人世帯300万円では1ヶ月900円から3,400円と年間では10,800円から40,800円となり、地震保険よりは3倍から7倍高い計算になる

地震保険は巨大地震により甚大な被害が生じれば民間損保だけでは保険金が支払いきれず破綻して運営できないため、政府の再保険により安定した運営ができている。この日本震災パートナーズではこのリスクを海外の再保険市場へ再保険しているらしい(同社を紹介するブログに書かれていた。)

このリスタについて保険料が高いとだけ思うのは早合点。海外再保険に出してこの保険料の高さ。海外の日本に対する地震リスクの評価と思えば、日本には巨大地震は確実に迫っていることになる。30年以内に40%から99%の確率で巨大地震が起こることを考えれば、30年払い続けて120万円の保険料に対し最高(全壊認定)で300万円の保険金がでる。大規模半壊で150万円、半壊で50万円の保険金と地震保険よりは少なそう。しかし、地震保険に入るだけでなくこの保険にも入る価値はありそう。早速、資料の請求をしてみたい

日本震災パートナーズのロゴは「ひまわり」とのことで、その由来を読んだら泣けてきた

密集市街地の恐怖

2006-11-04 | 地震リスク
地震により火災が発生すれば、あっという間に燃え広がる可能性がある。燃え広がるかどうかは火災発生時の気象条件(風速、湿度等)も大きく左右するが、周辺地域の状況が大切だ。

昔の体験で、真冬の朝4時ごろけたたましいサイレンの音で飛び起き、外を見たら自分の家の近所が炎に包まれていた。まだあたりは暗く炎だけが屋根から吹き出ていて二軒つながる家に延焼するのではないかと思った。つぎつぎに集まる消防車が放水を開始した時点でふと気がついた。その朝は幸いまったくの無風状態だったのだ。放水により大量の白黒煙がまっすぐ天に向かって立ち昇っていたのが印象的だった。これが冬の寒風が吹いていたら燃え広がった可能性があった。残念ながらその家だけは全焼し死者がでた。これが地震時に発生し密集地で風が吹いていたらと思うとぞっとする

日本全国には、地震時に大火の可能性の高い危険な密集市街地が8,000ヘクタールある。圧倒的に多いのが東京都の2,339ヘクタールと大阪府の2,295ヘクタールである。市区町村別では全国ワースト1位の大阪市1,360ha(22地区)、2位は横浜市660ha(23地区)、3位は京都市364ha(59地区)、4位は長崎市297ha(5地区)、5位は豊中市255ha(2地区)という結果だ。東京都では品川区252ha(1地区)、世田谷区230ha(3地区)、北区188ha(3地区)の順番だ

国は「社会資本整備重点計画」において、都市再生プロジェクト第3次決定を踏まえ、今後、平成19年度までに「重点密集市街地」全国約8,000haのうち約3割について最低限の安全性を確保することを重点目標として掲げている

全国ワースト2位となった横浜市では、2003年10月の住民・NPO・行政の三者協働によるまちづくりを開始、密集住宅地における防災まちづくりを公募によるNPOが支援する日本初のユニークな仕組みを導入した。密集住宅市街地は1haあたり80戸以上、s55年以前の木造住宅が50%以上、地震マップで震度6弱以上、木造建物棟数3/4以上、木造建物の建ぺい率30%以上、道路、公園の公共施設の未整備地区の地域で、密集度合い、倒壊危険、延焼危険、基盤条件により選定された地区である。横浜市の場合は鶴見区、神奈川区、西区、中区、南区、保土ヶ谷区、磯子区、金沢区の8区の660ヘクタールが対象となる。進捗状況は横浜市監査委員評価としてC70点との状況。早くしなければ先に地震が来てしまう




冬の夕方18時の地震

2006-11-03 | 地震リスク
首都直下地震の被害想定では、冬の夕方18時、風速15mの場合に最悪の被害となる。これから冬に向かっていくが起こらないことを祈るしかない。建物被害85万棟のうち火災による被害が全体の77%を占め65万棟が焼失する。死者も同様に1万1千人のうち57%の6千2百人が焼死する。

東京消防庁では平成18年3月に地震時の地域別出火危険度測定を公表し、町丁目単位、250m単位での危険度マップを公開している。ランクは1から6までで数字が大きいほど危険度が高い。東京に住んでいる、働きにでている人は必見だ。新宿区、豊島区、台東区などで出火危険度が高く、木造住宅が密集地の品川区、大田区、また共同住宅の多い板橋区、練馬区などで出火危険度が高くなっている。

(出所:画像は東京消防庁「東京都の地震時における地域別出火危険度測定(第7回)」資料より)




日経新聞記事に注目

2006-11-02 | 地震リスク
ここのところ地震に関する記事を多く扱っているのが日本経済新聞である。

今日も夕刊に、今日まで名古屋で開催された日本地震学会での発表内容につき「東南海地震、首都圏の超高層ビル30分超揺れも 」の見出しで大きく扱っていたり、昨日も夕刊に「首都直下地震、深い震源も・「安政江戸」は60キロ」、一昨日は朝刊に「大阪直下地震、被害額19.6兆円・府内分試算」、「気象庁の緊急地震速報、実際の震度と44%が一致」 と大変重要な、大変興味深い記事が掲載されていた。また、今朝の朝刊の金融面には「ミニ保険第1号、地震費用保険発売・日本震災パートナーズ」と小額短期保険事業者(いわゆるミニ保険会社)が誕生したことも記事になっていた。損保が販売している地震保険とは関係していない様子。地震の話題が豊富だ。

記事の中で衝撃的なのが、首都での高層ビルや高層マンションが東南海地震の長周期地震動による揺れが30分!以上続くということ。30分とは予想もしていなかった。揺れも連動が予想される東海地震と一緒に起こったら揺れの強さが4倍になるということらしい。

以前に述べた、2006年3月に東京都中央区が報告書にした高さ60m以上の高層住宅の棟数は44棟(計画中、建築中含む)ある。戸数は16,708戸(1世帯3人として5万人が生活していることになる。)程度である。東京都、首都圏全体のデータの最新版がないが、不動産情報データバンク最大手の東京カンテイが公表した3年前の2003年9月末時点(20階建以上のマンション調査)では東京都には128棟、9,747戸あり、神奈川、千葉、埼玉を入れた首都圏全体では238棟、16,917戸との調査結果である。港区、中央区、江東区の湾岸3区に集中しているとのことで、東京都中央区の調査結果が2005年7月アンケート回収であることから急激に戸数が増加していることがわかる。

高層マンション(タワーマンション)がすぐに危ないとは思っていない。地震動を軽減する最先端技術が導入され、免震、制震技術が使われていると聞く。しかし、学者、建築家はその免震も長周期地震動の影響を受けると指摘している。

首都圏ではこれから30年以内に70%の確率でくるであろう首都直下地震と同じく30年確率87%の東海地震、60%~40%の東南海地震、南海地震による長周期地震動による甚大な被害を軽減する対策が急務といえるのではないか。

(出所:画像は内閣府「東南海地震・南海地震対策の概要」より)