大地震に遭遇するのは一生に何度あるだろう。大地震は数百年に一度、数千年に一度発生するといわれる。
幸にも東京では震度6弱以上の揺れに見舞われるマグニチュード7クラスの地震は関東大地震以来88年間発生していない。
忘れたころにやってくる大地震ではあるが、今は地震研究が高度化し、地震の発生の仕組みや次に来る地震タイプ、規模がある程度予測できる。いつ発生するかが明確でないだけである。東京では次の関東大地震も後100年先といわれ、その前後に発生する首都直下地震に要注意の状況である。
百年に一度しか経験できない大地震に対し、次世代に語り継ぐには地震の体験談がもっとも有効であるが、現世代にこれまで大きな地震を経験していない東京では、語り継ぐ世代がいない。阪神・淡路大震災などの他の地域での地震教訓の教育が必要だ。
特に、職場、学校での地震の防災教育が必要である。指導者の経験不足か最近、間違った防災訓練、防災準備を行っているところが多い。年1回の防災訓練を行う職場、学校が多い中、貴重な時間を避難訓練とか安否確認を毎年繰り返し行っているところが多い。全く意味がない。
東京では大概のビジネス街は耐震化された事務所から避難ではなく事務所内に待機であり、一日の大半を通勤・通学、事務所、学校内で過ごす人々にとっては勤め先への安否確認訓練は無駄。
自宅で被災した場合、勤め先への安否確認にコスト、時間を費やすのは無駄であり、家族の無事を確認してすぐ勤め先に向うのが勤め人の責務。安否メールを送ったから、安否システムに入力したからといって、勤め先に向かわない無責任な人はいないだろう。
システム社会の落とし穴。格段に連絡手段の選択肢が多くなった分、大地震時に確実に使えると錯覚している人が多いのが残念だ。