1703年12月31日、関東地方を襲った元禄地震は房総沖を震源とする超巨大地震であった。相模トラフで発生するこの地震は200年周期で再来するという説(後の1923年9月1日関東地震(M7.9))と400年周期で再来するという説があり、どちらにしても次の関東を襲う超巨大地震は2100年代の未来であることに違いはない。
政府の防災対策は次世代のこれら超巨大地震を想定した対策ではなく、その超巨大地震の前後数十年間に発生する直下地震対策に重点を置いている。首都直下地震、南海トラフ沿いの巨大地震をはじめゲリラ的な大地震が今世紀前半にも発生するとされ、現世代の我々が直面する危機となっている。
直接被害となる建造物は、耐震化をはじめ免震、制震の最新技術の導入が進むことが必要であるが、現状では耐震化が進まず不十分であることは残念であり、また、政府が進める200年住宅等の長持ちさせる住宅が今後100年後には起きる超巨大地震に耐えうるのか疑問である。
既に都市化しつくした首都圏は、防災面では、反面、脆弱な都市化となってしまい、人口の集中化、都市住宅の狭小化・密集化、長周期地震動や避難生活に不安が生じる超高層ビル、高層マンションの乱立により、近代都市が防災面では被害を増大させる新たな深刻な問題を生じさせた。
政治・行政・経済・金融面でも官庁、企業、市場等の東京への一極集中化が、首都直下地震クラスでさえも112兆円もの経済被害を生じさせ、脆弱な首都機能であることを露呈している。元禄地震・関東地震クラスの超巨大地震が発生した場合には112兆円をはるかに超える未曾有の経済被害が生じかねない。
2010年の節目の年を明日に控え、次の世代に確実に引き継げる地震対策を実行していけるスタート年としたいものだ。
<産総研 活断層研究センター 第197回セミナー>
http://unit.aist.go.jp/actfault/katsudo/seminar/h19/070927.html