300年前の富士山宝永大噴火が、今再来した場合の被害想定結果について内閣府から公表されている。
平成14年6月に富士山ハザードマップ検討委員会中間報告で公表され、平成16年6月に報告書としてまとめた内容では、最悪のケースで2兆5,273億円の被害額となる。この中には経済活動等への影響額がすべて含まれているわけではないことから、宝永噴火時の江戸では昼でも行燈を照らす生活していたことを考えると、首都圏での生活支障は計り知れないものとなるであろう。
国は平成18年2月に「富士山火山広域防災対策基本方針」を決定し、300年沈黙している活火山の噴火に備えている。
<内閣府 富士山ハザードマップ検討委員会資料(報告書)>
以前に取り上げた徳島県、徳島市、鳴門市が共同で発行する住民参加型市場公募債「しっかり!ぼう債」が12日完売した。
この債券は、南海地震の防災対策として発行されたもので満期は5年、利回りは1.16%と国債より0.1%下回る内容であったが完売と地域住民の関心の高さが伺える。この債券を買うと美術館、博物館、動物園等の公共施設の招待状が贈呈される。
先月も川崎市で発行され同様に完売した。この流れが全国に広がり、特に住民に限らず、全国で買える仕組みや、企業向けにCSRの一環として購入できるような仕組みを工夫することも考えられる。
<徳島県ホームページ 完売御礼>
1707年12月16日午前10時ごろ、富士山が大噴火した。この大噴火が「宝永の大噴火」といわれ、わが国の歴史上に残る大噴火となった。
「宝永の大噴火」から今年で300年が経過した。富士山はこれまで沈黙を守り続けているが、過去の歴史では噴火を繰り返す活火山だ。「宝永の大噴火」では江戸に約4センチの火山灰が降り積もったとされる。
今後の噴火の心配はもちろん、地震学者は東海地震、東南海・南海地震に連動しているのではないかとされる。「宝永の大噴火」の2ヶ月前の10月に南海トラフ沿いでは、東海地震、東南海地震、南海地震が同時に起こる巨大地震が発生した。これが「宝永地震」である。この巨大地震からも300年が経過した。
この「宝永地震」のマグニチュードは8.6と日本最大級の巨大地震であった。その後の安政東海地震から東海地震が起こらない状況が長く続いている今、次期南海トラフ沿いの地震は3つの地震が同時に起きる確率が高くなっていることのあらわれといわれる。
国立科学博物館では創立130周年を記念して、「富士山展 宝永噴火300年」を今日15日から開催した。
<国立科学博物館 富士山展 宝永噴火300年>
http://www.kahaku.go.jp/event/2007/12fujiyama/index.html
文部科学省、大阪府、NHK主催の地震防災に関するフォーラムが、来年1月20日に大阪のNHK大阪ホールで行われる。
京都大学河田教授の基調講演「大阪に迫る巨大地震~上町断層地震・南海地震 被害の違いと事前準備~」やパネルディスカッション「大地震から身を守るには?」等がプログラムとなっている。
<地震調査研究推進本部ホームページ新着情報>
http://www.jishin.go.jp/main/seminar/071130forum.pdf
上町断層地震は先日、中央防災会議が被害想定結果を発表し、最大のケースで、冬の昼12時、風速15m/sの場合には全壊棟数97万棟、冬の朝5時、風速15m/sの場合には死者数が4万2千人と甚大な被害となる。
上町断層は、大阪市の中心部を走る日本の主要断層で、地震調査研究推進本部によると「大阪府豊中市から大阪市を経て岸和田市に至る断層帯で、全体として長さは約42km、ほぼ南北方向に延びており、断層帯の東側が西側に乗り上げる逆断層である」とされている。
この断層の過去の活動は、約2万8千年前以後、約9千年前以前であったとされており、平均発生間隔は8千年とされ、今後30年以内に発生する可能性が、主要活断層の中では高いグループに属している。現実に近畿地方では注意すべき地震である。
<地震調査研究推進本部 長期評価>