CIAの黒い糸(PART 1 OF 3)
アメリカ政府の拷問技術開発
1950年代に米国陸軍の研究所は2本のフィルムを製作した。 「静かなる暴行(In Silence The Atack)」と「魂に鎧を(Armor for the Inner Man)」である。 この2本をはじめとする同研究所のフィルムには、LSDを投与された兵士が混乱したり、怒ったり、興奮したり、おびえたりする様子が収められている。 こうした実験では1000人以上の兵士がモルモットにされ、その多くが長期的な影響を訴え、少なくとも2人の死亡が報告されている。
(中略)
資金提供を受けた総合大学、医大、研究所で、185人の人体実験プロジェクトが行われた。 皮肉なことに、当時はロシアも中国も、尋問の際に身体能力を奪う薬物を利用していなかった。 思い上がった(アメリカ)政府の犠牲者となった米国民が最大の被害者だった。
(中略)
米国の政府や科学者が、拷問技術の開発に貢献してしまったことはきわめて遺憾である。 その過程で国民の命が失われたのだ。 人間の記憶力などあてにならない。 米国は拷問を加える人間を支援し、要請さえした---無法行為としか言いようがない。 断じて認められるものではない。 米国は、外国でこのような拷問技術が利用されるのを容認しない。 ならば、わが国が自らこのような残虐行為を行うことも許してはならない---絶対に。 だからこそ、われわれは過去を振り返らなければならないのである。
(注: 赤字はデンマンが強調。
写真はデンマン・ライブラリーより)
344 - 345ページ 『CIA洗脳実験室』
著者:ハービー・M・ワインスタイン 訳者: 苫米地英人
2010年5月4日 初版第1刷発行
発行所: WAVE出版
『ブッシュの戦争』に掲載
(2011年7月7日)
ケイトー、今日はCIAの洗脳実験室の話をするのォ~?
いや。。。僕は特に洗脳実験に興味があるわけじゃない。 僕が問題にしたいのは、かつてアメリカは自国民を対象にして人体実験までやっていた。 もちろん、その当時国民にはこの事実は知らされてなかった。
当然でしょう! 知っていたらアメリカ国民が大問題にしていたでしょうからねぇ。。。
でもねぇ、アメリカ政府が拷問技術開発にかかわっていたのは、ずいぶん前からなのですよ。 ケネディさんが大統領になる前から行われていた。 しかも、この件についてはアメリカ政府は誤りを認めて被害者に謝ったのですよ。
ところが、その誤りを認めたのはその時だけで、誤りから学ぼうとする真面目な気持ちになってない。 ケイトーは、そう言いたいのォ~?
その通りですよ。
歴史に学ばない者は失敗を繰り返す
つまり、過去に洗脳実験、拷問実験があったという事実にもかかわらずアメリカの政治家が過去の忌まわしい歴史的事実から学んでいないとケイトーは主張するのね?
マジで、その通りですよ。
その根拠でもあるのォ?
ありますよ。 あのねぇ、ブッシュ政権のトップスタッフの一人のスーザン・クロフォード(Susan J. Crawford)さんがワシントンポストの記者に事情を漏らしたのですよ。
なんて。。。?
9.11アタックに参加したと疑われてキューバのガンタナモ・ベー(Guantanamo Bay)の収容所に収監されたイラク人が拷問にあっていると。。。
マジで。。。?
実際、この拷問が上院で問題になって当時、国防総省の長官だったラムズフェルド氏が査問委員会に呼ばれて、かつて北ベトナムで捕虜になったことがある上院議員のマッケイン氏から質問を受けたのですよ。
つまり、上院議員のマッケイン氏が、「ガンタナモ・ベー(Guantanamo Bay)の収容所に収監されていたイラク人に拷問した事実があるかどうか?」尋ねたわけなのね?
そうですよ。
それでラムズフェルドさんは、なんて答えたの?
ラムズフェルド長官は否定したのですよ。 その時の模様を次のYouTubeで見ることができます。
Rumsfeld rejects allegations
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当時のラムズフェルド長官もブッシュ大統領も拷問をしていないと言っているのだから、そのような事実はなかったのでしょう!?
ところが拷問している写真をラムズフェルド長官は見ているし、それを隠していた。 ブッシュ大統領にも見せていなかった。
ケイトーはどうしてそのような事まで知ってるの?
世界のネット市民の知る権利があるからですよ。 (微笑)
その証拠でもあるの?
ちゃんと、その事実が報道されたのですよ。 その一部がYouTubeで流れていますよ。 見てください。
Bush's War part 1 (Preview)
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あのねぇ~、ラムズフェルド長官はアメリカ史上最も過酷な拷問を許す書類にサインまでしている。 その書類を証拠として“Bush's War” (DVD版)では、はっきりと見せているのですよ。
つまり、ラムズフェルドさんはウソをついていたのね!
そう言う事になりますよ。
ラムズフェルドさんは拷問の証拠写真をブッシュ大統領に見せてなかったのねぇ。。。
隠していたのですよ。
それが分かった時にブッシュ大統領は何と言ったの?
ムカついたらしい。
そうでしょうね!? 。。。でブッシュ大統領はラムズフェルドさんをクビにしたの?
いや。。。クビにしなかった。。。と言うよりもクビにできなかった。
どうして。。。?
ラムズフェルドさんは、言わばブッシュ政権の要(かなめ)なのですよ。 ラムズフェルドさんの居ないブッシュ政権はクリープが入らないコーヒーのようなもので。。。コーヒーとは言えないのですよ。 (微笑)
マジで。。。?
あのねぇ~、ラムズフェルドさんはフォード大統領時代の首席補佐官でした。 左の人がラムズフェルドさんですよ。
右の人は。。。?
ブッシュ政権の副大統領のチェイニーさんです。 フォード時代には首席補佐官補でした。
つまり、ラムズフェルドさんとチェイニーさんは良かれ悪しかれ共和党の重鎮(じゅうちん)なのですよ。 要するに、エスタブリッシュメントの代表です。 クビにするわけにはゆかないのですよ。
ブッシュ大統領(第43代)のお父さん、第41代のブッシュ大統領時代から上の二人はブッシュ・ファミリーとも深い繋(つな)がりがあるとケイトーは主張するのね?
当然のことですよ。
ラムズフェルドさんとチェイニーさんもブッシュ家の友人だった。 つまり、「軍産複合体」とも関わりがある人たちですよ。
だから、ブッシュ大統領はラムズフェルドさんをクビにしなかったの?
そうなのですよ。 この時にはラムズフェルドさんをクビにする代わりにパウエル国務長官をクビにしたのですよ。。。と言うよりも、パウエル国務長官は、ラムズフェルドさんやチェイニーさんのやり方では一緒に仕事ができないと自ら辞任したのが真相だと僕は信じているのですよ。 それまでに、パウエル国務長官はイラク人の捕虜の拷問に関してはツンボ桟敷に置かれていた。
つまり、「ブッシュの戦争」は、実は「ラムズフェルドの戦争」だったのね?
その通りですよ。
。。。で、CIA がどのように関係しているの?
だから、『CIA 洗脳実験室』という本のタイトルからも判るように「軍産複合体」の意向を受けて CIA が洗脳技術や拷問技術を開発していたのですよ。
つまり、「CIAの黒い糸」というのは「軍産複合体」と CIA を結ぶ「黒い糸」だとケイトーは言いたいの?
その通りですよ。 その「黒い糸」は戦争ばかりじゃなくて経済政策まで伸びるようになった。
どういうこと。。。?
以前にも『チョコレートと世界銀行』でも取り上げたけれど、アメリカがベリーズのカカオを強力に後押ししていたのも、アメリカの大手チョコレート・メーカーのハーシー社と組んで、アメリカが世界に影響と支配を及ぼす地位を維持するための政策だった。
(すぐ下のページへ続く)