読む日々

テーマばらばらの読書日記

四度目の氷河期

2016-05-07 | 小説・現代
荻原浩「四度目の氷河期」




母一人子一人で田舎町で暮らすワタルがアイデンティティを求め生きる姿。

田舎町の研究所に勤める科学者の母。ワタルは小さい頃から変わった感じの子で、さらに余所者という事で世間から疎外され、母と密接に生きている。

自分の外見や身体能力から、自分は母が若い頃いたソビエトで発見されたクロマニョン人のミイラ、アイスマンから採取され、顕微授精で産まれた子供なのでは、と思い至る。(小学生のうちは、ただ単に自分はクロマニョン人だと思っていただけ)
正しいクロマニョン人になろうと身体を鍛え、石器を作り狩りの練習をするワタル。そんな彼の前に都会から来た、複雑な家庭環境のサチと、山に取り残された猟犬クロが現れ寄り添う。

中学で良い教師と出会い、陸上に目覚め、どんどん人として成長して行くワタル。なのに母に病魔が襲いかかり。

母との最後の日々に告げられた真実の父親。だけど父親が誰でも自分の心を支え育ててくれた父親はアイスマン。実の父親に会って落胆したあと彼はアイスマンが展示されている博物館へ。

この博物館の場面がエピローグになっている。

てっきり本当に、クローンか細胞採取で作られたクロマニョン人の話かと思って読んでたf^_^;

ワタルが成長して行く様子、母の思い、ところどころ涙しつつ読み終えた。

自分と息子にオーバーラップしちゃって。なかなか切なかった。
最後、サチと幸せになれるのかな?

満足度90

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