読む日々

テーマばらばらの読書日記

七月のクリスマスカード

2010-07-30 | 
伊岡瞬「七月のクリスマスカード」

泣きました すごく泣きました

アル中の母親と精神的に幼い弟と三人で暮らす小6の美緒。母親の従妹である薫に面倒を見てもらううちに元検事で30年前に長野で娘を誘拐された永瀬と知り合います。

小6の美緒が、永瀬に心を開いていく様子に、じーん。
30年前の、永瀬の娘の瑠璃が誘拐される頃の永瀬の様子にじーん。
高校卒業した美緒が、瑠璃の事件と現代の事件のつながりを調べて、自分と両親の間にある重たい物を乗り越えようとする様子にじーん。
最後に、美緒が中1の7月の一場面が描かれ、そこで題名の意味がわかります。
そして、そこでまたまたじーーーん

とにかくいろいろな伏線が最後バッチリ決まって、哀しいお話だけど読後感は爽やかな感じで、これは読んで大正解でした

満足度90

シングル・パパ

2010-07-29 | 
マイクル・グラント・ジャッフェ著 青木久惠訳「シングル・パパ」

を、最後まで読めませんでした・・・。

妻が家出して一人で息子を育てるパパのお話。「子育てのきらめく一瞬を甘美に祝福してくれる、素敵な贈り物のよう」と全米の各書評誌に絶賛され、ハリウッドでの映画化も決定したデビュー作」って書いてあったんです。すっごく面白そうじゃないですか?!

なのになのに。内容というより訳の問題なのかな、とにかく、全く描写が頭に入ってこないです。あと、たとえば息子を風呂に入れる様子が延々と細かく描写されたりしてて、ストーリーが進まないし。半分も読まずに挫折。たいていなんでも最後まで読めるんだけど、、、。

表紙の男の子が可愛かったので、その分で 満足度15。

花狂い

2010-07-27 | 
広谷鏡子「花狂い」。

老夫婦の性にまつわるお話。

若い頃はとっても知的で背も高く顔もよく、教え子だった妻にとっては憧れを抱く対象で、卒業後縁あって結婚したものの、夫は60過ぎても浮気三昧の日々を送る夫婦。妻の老父が倒れ、介護のために週末は東京の自宅から北海道へ通う妻が同窓会で結婚前に付き合っていた彼と再会し・・・。

作者の方は1960年生まれ。この本は2002年の出版だから40才頃に書かれた作品。
でも還暦を迎える妻の気持ちが「なるほどなぁ」と思える不思議。でもそれは私が今その位の年齢だから??本当の還暦頃の方達が読んだらどう思うのか、ちょっと興味あるかも。

夫に対する表現がなんだかとっても汚らしくって、想像すると「気持ち悪い」、とか思っちゃいましたが、若い頃の夫を妻が回想するシーンでの「イケメン」っぽさが却って際立ってきますね。

人は誰でも年をとりますが、20年後、我が家はどんな家庭になっているのかなあ。

満足度65

かってまま

2010-07-24 | 
諸田玲子「かってまま」。

図書館へ行くヒマがなく、本屋さんを夜11時頃からプラプラして発見。今月の文春文庫最新刊でした。

婚約の決まった旗本の娘と、有名な寺の僧侶の不義から生まれた さい 。
旗本家で暮らしていた丈吉と伊夜が夫婦となり、さいを育て始めます。物語は数年置きに語られ、さいがその都度関わる人たちの人生に焦点が当てられていくのですが、その中に最初はわからなかった実の親のその後が明かされていきます。

伊夜と丈吉が早々に亡くなってしまったのが残念ですが、ストーリーといい登場人物の描き方といい、本当におもしろくて大満足でした。一気読みしちゃいました。

たいてい本は一気読みなんですけどね

満足度90

いちげんさん

2010-07-22 | 
デビット・ゾペティ「いちげんさん」。

スイス出身の作家さんで、日本語で小説を書いているとのこと。

自分自身が「僕」のモデルかな?京都の大学に留学して日本文学を学ぶ主人公。そして盲目の「京子」の家へ対面朗読をしに通ううちに二人は恋に落ちますが、京都というあまりにも人も環境も日本的な閉塞感に耐え切れず、僕はどこかへ行こうと決意、京子も東京で就職が決まって別れる物語。

いやー、何が良かったかって言ったら、この「僕」が私と同じ性質なこと。その部分を引用してみます(いいのかな)

昔から本を読むのが好きだった・・略・・読書が純粋に好きだった。子供の頃から本ばかり読んでいた。手当たり次第に新しい本をいろいろと見つけてきて、片っ端から次々と読んでいった。いくら読んでも、いつも本に飢えていた。・・・略・・・しかし、その過剰消費的な読書は決して勉強になるようなものではなかった。本を読み終えた途端に具体的な内容は記憶から消え失せ、僕の心には作品の感動と雰囲気といった漠然としたものしか残らなかった。

私と同じだ~、と、ここで一番感動しました

ストーリー自体も読みやすく、感情移入もできておもしろかったです。10年以上前に映画化された作品なんですね。鈴木保奈美が京子役で。

満足度80