読む日々

テーマばらばらの読書日記

愛するということ

2019-07-17 | 小説・現代
小池真理子「愛するということ」



息子への愛情の掛け方がよくわからなくなったとき、知り合いがフロムの本を読んでいて、親子愛についても書いてある、みたいな事を言うので検索していたら、同名の小説発見。

最近、小池真理子さん、読んでないわぁと思い、ついでにポチっちゃった。


最近お勉強みたいな本ばかり読んでいたので新鮮。
これ以上ない、ってほど愛した男が他の女に走り捨てられ、喪失を乗り越えて成長するヒロインを描いた本。

ヒロインを側から見てると痛々しいなぁと思うけど、我が身に置き換えると胸が痛い。

あ、どっちにしても痛いのか。

恋とか愛とか、脳が作り出す魔法なんだろうな、と思いつつ、相手を好きだと思ってしまったら意思で乗り越えることはできないんだよね。

条件付きの物なら、その条件が消え去れば止められるのかもしれないけど、まさか、と思う相手に心を奪われてしまっても、奪われてしまったらもうどうしようもない。

サクサク読めるけどどこか重苦しくて、スッキリはしないけどヒロインと一緒に苦悩を味わった後はどこか清々しい。

そんな一冊でした。

満足度90

ギリギリ

2019-04-29 | 小説・現代
原田ひ香「ギリギリ」



語り手3名が順番に語る連作短編?なのか、各章まいうだけなのか、どっちだろ。

一郎太という、亡くなった商社マンの
母・静江
妻・瞳
そして、瞳の中学時代の同級生で、再婚相手の健児。

それぞれが寂しさを抱える中、関わり、そして静江は息子を亡くした傷を、瞳は夫と正直に向き合わなかった自分を、健児は両親の離婚と育ててくれた父と祖母の死以来感じていた宇宙を漂うような孤独感を癒していくかのような物語。

健児と実母の邂逅や、それを経験したことで向き合う妻との前向きな別れや、それら全てを包み込んでくれる静江との関係に後半十数ページ涙が止まらなかった。

母との関係というのは、本当に深いよなぁ。
最近、自己啓発本ばかり読んでいたけど、そこでもやはり母との関係が人生に大きかった影響するのを感じていて。
私もないと思っていた母との呪縛、発見したり。

誰がいいとか悪いとかではなく、母も子もお互いの関係性からいろんな面が出てくる。

どんなに愛しても、一郎太みたいにそれを重く感じて母になにも相談できなくなる子もいるし、健児みたいに母が出ていき捨てられた感でいっぱいな子もいるし。

難しいなぁ。

周りにも、母との愛情のやり取りに難があったのかな?と思えるケースがあったりする。

代わりにはなれないけど、母の愛を求めている子供世代の人達に、与えられるものは与えていきたいな、と思ったりも。

息子の友人なんかも、構ってあげると嬉しそうな子も結構いる笑。ウザがってる子もいるけどね。
ウザがってる子って、ソツなく返すんだよね。
嬉しそうな子はぶっきらぼうな感じ。いや勿論人によるけど。

もうね、みんな、可愛くて仕方ない今日この頃。
若い世代が幸せで暮らす未来を作ってあげたいなぁ。


満足度90

六十歳の初恋

2019-04-25 | 小説・現代
才田喜代子「六十歳の初恋」



普段行かない、出身地の図書館で見つけた本。
なんとなく題名に惹かれて借りてきちゃいました。

茨城のとある街の駅近くで小さな赤提灯を切り盛りする女性。
単身赴任で来ていた一回り下の男性客と、なんとなく心惹かれ合う様子。

その後単身赴任を終えて帰京した男性。
後任のさらに若い男の子から彼の様子を聞いたりするものの、もう会うこともないだろう、と。

その男の子から聞いたアパートの名前になにかを感じ、付近を歩くと、十歳以前の記憶がなかった女性の頭に、実の両親と暮らしていた頃の断片的な記憶が蘇る。

ある日、一回り下の元常連客が訪ねてくる。
離婚したし、地元の北海道へ戻ったから一緒にいかないか、と。

一度は喜ぶものの、やはり自分はここに居なくては、との思いにかられ断る。

というストーリー。

昔は中年以降の人の恋だ愛だ、みたいなお話は苦手だったけど、自分がこの歳になるとわかる。
人間の心って、そんなに歳をとらない。

だから私なんて、今じゃあ若い男に骨抜きにされて笑(山﨑賢人くんと米津玄師さんね)、日々癒されてるもん。
それが現実にいる若い子でも、あってもおかしくないかもねー、ともおもう。

サラサラ読めて楽しかった。
満足度80

野分けのあとに

2019-03-08 | 小説・現代
和田真希「野分けのあとに」



図書館で、パッと目に入った小説。

最初は丹沢山地で農業を営む夫婦の日常が淡々と描かれてます。

このままのテンションで続くのは、私は農業好きだし興味あるからいいけど、それ以外の人にはキツイのでは?と思いながら読んでいたら、夫婦の、奥さんの方の結構しんどい過去が語られていき・・

うわー、なんかわかる!それに、そこからこの土地へ導かれていく感じもいい。

家族の中で付いてしまった傷が、新しい家族の中で浄化されていく感じがいい。それも綺麗事ではなく、傷ついた自分がまだまだ残っていて、自覚してる傷と無自覚の傷から引き起こされる出来事も、日々の暮らしの中で癒されていく様子が素晴らしい。

同居人の、ようちゃん、の描き方も、なかなか身につまされる感じ。

私が一番感情移入できたのは、主人公の絵梨ちゃんのお姉ちゃん、かなぁ。
親の期待を背負って、心の中パンパンに色んなもの抱えて物凄く頑張ってて。そんな姉に劣等感抱いて壊れてくのが絵梨ちゃんなんだけど。

でも私はお姉ちゃん、読んでて辛かったし応援したかったなぁ。

私も妹に結構つらくあたったことあったかも。
精神丈夫な妹でよかった。あ、うちはここのお家と違って、妹の方を猫がわいがりしてたのと、途中でさらに弟が生まれたことで、妙な連帯感が姉妹間で結ばれたからか。お陰で大人になった今はメチャ仲良しです。

色々考えさせられて、何度も涙ぐみ、最後は号泣してしまった一冊。

農業脳内体験本としても優秀。あと、旬の野菜の調理法なんかもすごーく参考になる。

買っちゃおうかなぁ、ってくらいの本!

満足度150

さざなみのよる

2019-02-26 | 小説・現代
木皿泉「さざなみのよる」



本屋大賞ノミネート作。
勢いで買っちゃった。

前にNHKで放送されたドラマのスピンオフみたいな本らしい。ドラマは見てなかった、残念。

小国家の次女、ナスミが亡くなる章から始まり、ナスミと関わった家族や元同僚等を通してナスミかわ語られる。

ナスミの人柄がなんかいい。
そしてナスミとの関わりを通して癒されていく人達も素敵。

どの章も泣き所があり、一人で読まないと恥ずかしいから、電車内で読むのはオススメできない笑

ナスミの夫と結婚した愛子ちゃんが素敵だし、二人の間に生まれた光ちゃんの章は号泣必至。

人が産まれて、生きて、死ぬこと。
それはあたりまえのこと。自然なこと。

と、しみじみ思える本でした。

ドラマではナスミは小泉今日子さんとの事。
うわ!合ってる!!

超久々に小説読みました。やはりいいな♫