小池真理子「Kiss」
接吻、をテーマにした短編9つ。
それぞけ物悲しい背景に彩られた、たまり楽しくないお話。
この方の短編とか掌編とか、好きなんですが、今回はうーん、って感じ。
忘れないように、一言あらすじだけ。
・翼 死んだ恋人の夢を見、彼の背に乗って落ちて行く話。死んだのか?
・歳月 この中では一番よかった。大学時代の男女3人、2人は夫婦。息子を自殺で亡くし離婚。もう一人の女は彼を好きだった。
10数年たって、息子の写真を見つけた女が彼に届ける。
・白い花のような月 離婚し、一人で一軒家に暮らす女と、訪ねて来る男。いずれこの関係も終わる、と終わりを見る物語。
立原正秋っぽいかも。
・猫壺 自分を捨て他の男と暮らす元彼女に頼まれ、二人で飼ってた猫の骨を預かったことで、今の彼女が不安定に。
・夜噺 綺麗な母と離婚した父は、綺麗でなく小うるさい女と再婚。父の死を知らせると母が飛んできて、遺体にキスをする。
・廃墟 同居する夫の従兄と関係を持ったことで、夫が従兄を刺し殺した。27年後、かつて住んだその廃墟を訪ねる。
・蒼いトマト 欲しくて手に入れた別荘。おなおしの際知り合った若い大工と重ねた逢瀬の終わり。
・ラプソディ 上司の歯に惚れた女性。ある一夜、夢のように関係を持つ。その後結婚退職し幸せに暮らす女。二番目にはこれがいいかも。
・オンブラ・マイ・フ 数十年前に自殺した女性。苦い思い出の場面を繰り返しさまよう。これが無間地獄かと。いや、そんなもんじゃないでしょう、という感想。
満足度70
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