読む日々

テーマばらばらの読書日記

待ってる

2018-12-16 | 小説・江戸時代
あさのあつこ「待ってる 橘屋草子」




江戸の裏店で暮らす人々。
生活苦から離れ離れになる家族。

親に置いていかれた女の子が、橘屋という料理屋で働きながらアイデンティティを確立し、たくましく成長するお話が中心を流れるストーリー。

連作短編集なので、その都度辛い思いをしながら、橘屋と関わり救われていくお話が数編。

女中頭のお多代が使用人の楔となり、素敵な空気を醸し出している。

凛とした女性って、本当に素敵。

満足度90

最悪の将軍

2018-09-14 | 小説・江戸時代
朝井まかて「最悪の将軍」



五代将軍綱吉の将軍時代を描いた一冊。

ドラマ等で悪印象を植え付けられている綱吉だけど、最近は評価も変わりつつあるらしい、中での、かなり真実に近いのでは?と思えた解釈。

民を思い命を大事に、武力の統治から文の統治を成し遂げた将軍。
生類憐みの令は、綱吉本人の意図したところとは違って、下々の解釈が極端すぎて民を苦しめた、みたいな感じか。現代なら通用したかも?

正室・鷹司信子との関わり方がほのぼのしていて。本当にこんな感じだったら良かったんじゃないかな?そうだったと思いたい。

最近、別な本で、側近の堀田正俊は悪いやつ、と思ってたから、ちょっと見る目が変わったかも?


面白かったです。満足度100。

いのちなりけり

2018-09-06 | 小説・江戸時代
葉室麟「いのちなりけり」



佐賀の、元は鍋島の主筋だった竜造寺家の咲耶と、入り婿・蔵人との数奇な人生。

藩の中での陰謀などに巻き込まれ、離れ離れになった2人。
蔵人は、咲耶から求められた、自分を表現する和歌を追い求めながら、敵と戦い続ける。

咲耶は水戸のご老公に拾われ、水戸藩の奥女中として働きながら夫を待つ。

17年が経ち、ある出来事をキッカケに動き始めるが。


夫婦の感情には感動するけど、もっと幸せな結末が良かったなぁ。

て事で満足度80

梅もどき

2018-05-22 | 小説・江戸時代
諸田玲子「梅もどき」





祖父が秀吉の従兄弟で、家康の再従兄弟?
両家に繋がりのある女性、お梅と、夫の本多正純との人生。

従姉妹が秀頼の乳母で、大坂城内で暮らし、関ヶ原で父が豊臣方についてしまったことで逃げて京都にきたお梅だが、家康の母、於大の縁戚と言うことで家康の側室に。

しかしその前に本多正純と出会っており、心惹かれていた。

2人の感情を感じ取った、仲良しの側室仲間お奈津の進言により、家康より正純へ下げ渡されるお梅。幸せな日々を送るも、家康の死後は秀忠に疎まれ、坂道を転がるように不幸が襲う。

横手に監禁された正純のもとを、昔お梅に助けられた踊り子キクが世話人として出入りし、昔語りをするのと、当時のお梅の物語が交互に語られる。

心のきれいなお梅夫婦に対し、於大の方に母を殺されたような感じの築山殿の娘、加納御前の謀略と、昔、跡目争いで兄、結城秀康を推した正純を快く思わない秀忠の、心の小ささ、汚さに憤りが。

いやまあ、小説なんだけど。

けど、秀忠を素晴らしいと表現する小説、あまり見ないなぁ。

結城秀康が二代将軍になっていたら、日本はどうなっていたのかな?とか空想してしまった。


ハッピーエンドではないけれど、史実は変えられないし、何となく救われるラスト。

満足度90

五弁の秋花

2017-12-22 | 小説・江戸時代
梶よう子「五弁の秋花」みとや・お瑛仕入帖



だいぶ前に読んだ「ご破算で願いましては」の続編。結構辛い思いをしながら周りに助けられて、江戸時代の100均たる三十八文屋、みとやを開店した兄妹。
今回は実の兄妹ではない疑惑を底辺に、なかなか辛い事件に巻き込まれながらもラストはめでたしめでたし。

新たに登場する辰吉くん。お瑛の、未来の婿さんになるのかしら(๑・̑◡・̑๑)まだ続くといいのだけれど。

謎解きも泣けるし凝ってるし大満足。

満足度100