読む日々

テーマばらばらの読書日記

「戦争と平和」子ども文学館16

2016-08-16 | 絵本
「戦争と平和」子ども文学館16



戦争と平和をテーマにした本の、原爆関連のお話5話を集めた1冊。

アメブロで読者登録している方のブログで、「八月がくるたびに」という本が紹介されていて、読んでみたいと思い検索したら、いくつかお話を集めたこの本を見つけ借りてみた。

松谷みよ子「ふたりのイーダ」

戦後20数年。母の仕事で母の実家に預けられた4年生の直樹と3歳間近のゆう子。祖父の家の裏には朽ちた洋館があり、生きた椅子が。
その家にゆう子は自分の家のように振る舞い、椅子と仲良く遊ぶ。
そこから直樹と、近所のりつ子という、20歳代の女性は、椅子の意匠から過去を調べ始めた。

ゆう子は「イーダ」というアダ名。椅子の思い出の女の子も「イーダ」というアダ名。
生まれ変わり?と半ば信じ込んでいた時、ある事実が判明する。

泣きました。イーダと暮らしていた祖父は、イーダと広島へ出かけていて原爆に合う。
1人フラフラ歩くイーダを、娘を亡くした夫婦が連れ帰って育てていた。それがりつこだった。

悲劇の中にも希望が伝わる素晴らしいお話でした。


「あるハンノキの話」今西祐行
広島の練兵場にたつハンノキが見てきた原爆の悲劇。自分の足元で亡くなった母の胸に抱かれた赤ん坊らしき娘は、数年後白血病で逝ってしまった。


「まっ黒なおべんとう」児玉辰春

実話なのか実話風のフィクションなのか。母を支えた中学生のしげるはその日、広島市内中心部にいた。白骨の列の中で見つかった兄のお下がりのお弁当箱。

むごすぎます


「川とノリオ」いぬいとみこ

2歳のノリオは川で遊ぶのが大好き。そんなノリオを母は抱き上げお尻を叩く。ある日用事で広島市内中心部へ出かけた母。待てど暮らせど帰ってこない。


「八月がくるたびに」おおえ ひで

普通に暮らしていたのに、布団の虫干しをして長崎市内の家にいた母ときぬえは原爆に合う。

母だけ亡くなり、そこから悲惨な現実を見つめる祖父母と兄妹。
出征した父が戻る前に黒い雨を浴びた祖父ときよしは亡くなってしまう。

娘を亡くした近所のおばさんは進駐軍で働き、後遺症も乗り越える。後年きぬえとおばさんは、平和式典ではしゃぐ、原爆を知らない学生の姿に心がざわつく。

知らないことは怖いな。

考えさせられる1冊。読んでよかったです。


祖母の味

2016-08-16 | 雑感
お盆休み最終日。朝から息子達のための、寄付集めに奔走。くたびれて午後からダラダラしつつ昼寝f^_^;

目が覚めたところで空腹を感じ、何を食べようか、と考える。
久しぶりに、お盆に祖母がお墓にお供えしていた白玉団子が食べたい!と。

私の祖母は生まれつきの聾唖者で、昔のことで手話も自己流で、私も小学生の頃くらいから意思の疎通はあまり上手くできなかったけど、幼い頃は言葉は要らないので、祖母の言いたいことはたいていわかった。

思い出の中に2つ下の妹が出てこないので、おそらく妹だけ連れて母が通院したりするのに私だけ預けられていたんだろう。
薬師堂の境内で椿の身を拾ったり、田んぼでイナゴを捕まえたり、小豆を入れたお手玉を作って一緒に遊んだり。

そしてお盆もそうだけど、それ以外でもよく作ってくれたのが白玉団子。

粉に水を混ぜてコネコネして、お湯に入れるとスーッと浮かんできて。祖母が作る姿を隣で眺めてワクワク。

サラサラっと醬油餡をつくってかけてもらって。ツルんっとしてとってもおいしかったなぁ。

ってことで今日のおやつ。


私は水ではなく豆腐を混ぜ混ぜ。懐かしい味でお盆を感じてみた。

それを愛とは呼ばず

2016-08-13 | 小説・現代
桜木紫乃「それを愛とは呼ばず」

新潟の実業家を妻に持つ男。事故で妻が意識不明になり、妻の息子に追われるように副社長の座を捨て東京へ。
北海道釧路市から女優になるため上京するも芽がでず、銀座でバイトする女。
ふたりが出会い、北海道を舞台に恋ではなく、共依存のような関係が始まる。

しかし妻が亡くなり…

再び二人が出会った時、事態は思わぬなのか必然なのかわからない方向へ。


新潟市内がたくさん出てきそうで借りてみた。うちの社の商品の宣伝まで書いてあった(笑)

内容は、相変わらずの不思議な暗さと爽やかさ。ただ今回は、男の方の望みはこれだったのか不明ですっきりしなかった。

満足度70

一人っ子同盟

2016-08-11 | 小説・現代
重松清「一人っ子同盟」


昭和40年代。小1で転校してきた公子と、その公子にハム子とあだ名をつけた信夫。
団地に住む二人は家族ぐるみの付きあいを続け、6年生になってある変化が。

信夫には6歳で亡くなった2つ上の兄が。兄という存在を改めて受け入れた1年。
公子は母が再婚し陽介という4歳の弟ができる。しかし義父と馴染めず、学校では旧姓で通し信夫以外は真実を知らない。

信夫の下の老夫婦の部屋に引き取られてきた遠縁の子どもオサム、4年生。赤ん坊の時に両親が自殺し親戚をたらい回しにされながら育つうちに身につけた嘘つき病と泥棒病。

この4人の一人っ子が絡んで進む家族の物語。

相変わらずうまいなぁ。

6年が終わるとき。
公子の家がたった1年で離婚してしまい、公子は中学では別な団地に引っ越すことになってしまう。
陽介は父の実家の新潟へ引き取られる。
オサムは施設へ。

子どもの、自由にならない人生への苛立ちがよく伝わってくるし、大人の感情のもつれもよく見てる。見える。

世代が似てるので余計グッと来た。4歳まで団地住まいだったし、空気感はなんとなくわかるなぁ。

東京大空襲で4人の子どもを亡くした老夫婦の、問題児のオサムへかける愛情に涙。

満足度85




酒天童子

2016-08-08 | 絵本
「酒天童子」竹下文子=著 平沢下戸=絵



江戸時代の平安ファンタジーを元に、平安期の武に優れた貴族、源頼光と四天王を描いた連作。

有名な、鬼・茨木との戦いや、土蜘蛛等のお話や、酒呑童子との戦いの様子。

酒呑童子(この本では酒呑童子の呑が天になってる)は、越後の蒲原出身説もあり、詳しく知りたかったので、つい借りてしまった。

子供向けではあるけれど、ワクワクどきどき楽しく読めました。

アニメにしても良さそう。子供が平安時代に、興味もってくれたり、古典に親しみ感じてくれたりしていいかも?