にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

新型コロナを感染症法5類にすれば現場は楽になるか?

2020-12-22 22:37:54 | つれづれ

新型コロナを感染症法5類にすれば現場が楽になるという提案をする人がいるけれど、ほんとうにそうかな??

5類の定義は「国が感染症発生動向調査を行い、その結果等に基づいて必要な情報を国民一般や医療関係者に提供・公開していくことによって、発生・まん延を防止すべき感染症」となっていて、本来は「調査はできるけれど措置(入院などの治療や就業制限など)はできない疾患」なんだよね。
具体的に言えば、季節性(普通の)インフルエンザは5類だから、一般の人には法的な行動制限はなく、学校に通う子どもだけが学校保健安全法によって「登校」だけ制限可能とされている。

因みに新型コロナは軽症でも入院させなくてはならいから負担なんだという話も、誤解が多分に含まれていると思う。
新型コロナは指定感染症で1・2類扱いとなっているけれど、運用上は「事務連絡に基づき、軽症者・無症状者は宿泊および自宅療養が認められている」わけで、あえて5類にする必要はないどころか、5類になって感染者の行動が個人の責任で自由になってしまったら、今以上に感染は拡大して、重症者が増えるんじゃないだろうか。

関東地方のコロナ対応医療機関で奮闘している大学の同級生は、「一つの感染症で同時発生的にこれだけ多数の重症者(ECMOや人工呼吸器を使っている患者)がいるのは尋常ではない。今指定を外せば医療者も多数感染して医療崩壊してしまう」という危機感をもったコメントをくれました。

厚労省が9/24に出した「新型コロナウイルス感染症の感染症法の運用の見直しについて」の資料は以下の通りです。
皆さんも是非クリックして読んでみてください。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000675228.pdf?fbclid=IwAR03WYOJRLbBcj2FQB55zrXTW78rL4m2W-IXBmW7MR5dFzd7sC9Ku57YEMQ