新型コロナウイルス感染症が大流行を繰り返し、医療のひっ迫が指摘されるようになったこともあり、オンライン診療を行う医療機関が増えているようです。
いちいち医療機関に受診しなくても投薬が受けられるということで希望する方も多いのかもしれませんが、本当にそうなのでしょうか?
そう思っていたら厚労省が「コロナとインフルエンザが同時流行している場合、発熱して自宅でのコロナ検査が陰性ならオンラインで診療でインフルエンザの診断と投薬ができる」と言い出しました。
もしコロナとインフルエンザ以外に発熱する疾患がないのならば「コロナ陰性=インフルエンザ」と言うことになりますが、それ以外の発熱疾患は沢山あるので、話だけ聞いて身体診察は画面を通してのみで診断しようというのはとても乱暴な話です。
もし発熱の原因が細菌感染症(小児だと溶連菌など)だったとしたら抗菌剤治療が遅れて重症化する可能性がありますし、ほかのウイルス感染症(小児だとアデノウイルス他多数)だとしたら抗インフルエンザ薬は全く効果がなく副作用のみが心配されることになります。
そしてこうした問題については、オンライン診療だから仕方ないではなく「誤診」として医師が責任を負うことになります。
オンライン診療をすべて否定するわけではありませんが、あくまで原則は対面診察で、医師と患者の両者の合意(誤診の生ずる可能性なども含め)があって電話診療やオンライン診療が行われるシステムが必要だと思います。
どんぐりでは現在でも、周囲に新型コロナ感染者がいたり流行地との往来があったなどの場合かつコロナ検査を受けていないケースを除いては、小児の発熱患者さんの診療を行っています。
インフルエンザの流行が始まったとしても、同じようにリスク管理をしながら発熱患者さんの診療を継続していく予定です。