アメリカ合衆国は、コロナウイルス感染感染者が300万人を越え、死者は13万人を越えている。医療技術の進歩しているアメリカ合衆国では異例な事態で、ICUも収容定員に達していて、医療崩壊の危機は一層高まっている。なぜ、このような悲惨な事態に陥ってしまったのだろうか?
州政府は、コロナウイルス感染に躍起になっているのはもちろんのことだが、トランプ大統領の言動が大きく影響しているように思われてならない。医療関係者がマスク着用の必要性を繰り返し訴えているが、その一方で、トランプ大統領は、マスクを着用せず、公衆の面前に現れ、マスク着用を求められても、拒否し続けている。もともと西洋人は、マスク着用に消極的で、日本がインフルエンザ流行期や花粉症流行期に、マスクを着用した人が溢れていることを「奇妙」に感じていたようだ。私のドイツ語教室の先生も、ほぼ同様な反応を示していたことから、この「マスクをすることへの抵抗感」の強さがうかがえる。それに加えて、アメリカでは大統領自らマスク拒否を公然と表明しているのだから、マスクをしたくない人にとって、マスクを着用しない有力な言い訳になっていても、納得がいくことだ。
トランプ大統領も、これだけ世界がマスク着用に傾いているのだから、心の片隅には、「マスクした方が良いのでは」という迷いはあるに違いない。しかし、誰にとっても、前言を覆すこと、自己の誤りを認めることは、大変なことだ。加えて、大統領選挙を間近に控え、自己のイメージダウン繋がり避けたいという思いは強く、冷静さを失っているのだろうと思う。そんなトランプ大統領の内心を忖度して、側近が耳にやさしい言葉を掛けたりするものだから、自己の行動変容の機会を逸し、一層頑なになり、引っ込みが付かなくなっているのだろうと思う。
アメリカ合衆国は間もなく医療崩壊に至り、取り返しの付かない事態に陥ることは必至だ。トランプ大統領の目を醒ますことができる人はいないものだろうか?アメリカ合衆国民はこの悲劇を甘んじて受け入れるしかないのだろうか?悲しい限りだ。