ワクチン接種が進んでも、まだコロナ感染が収まらない中で、自民党が感染防止の規制緩和策を政府のコロナ分科会に諮った。専門家から今はまだその時期にあらず、人心の気の緩みを生み、感染拡大させる恐れがあると指摘され、ニュースとなった。しかし、その箴言をも無視し、11月頃を目途に緩和策を実施するとして、その計画を発表するという。なぜ、こんなにも専門家の提言を無視してまで、緩和策を強行しようとするのだろうか?
考えられるのは、衆議院議員総選挙で、コロナ対策がうまく進んでいることを印象付けたいということだ。菅総理は、コロナ対策に全力を注ぎたいとして、総裁選に不出馬を決定した。しかし、野党が求める臨時国会の開催は頑なに拒否し続けている。矛盾だらけの菅総理、リーダーとしての統制力を完全に失ってしまい、自民党議員が暴走している状態のようだ。
ワクチン接種が進み、集団免疫が形成されたとしても、感染の危険が去ったということではない。ワクチンを接種して、重症化の危険が低くなっても、感染しないということではなく、人に移すことは十分考えられる。そういう意味で、ワクチン接種が進んだと言っても、規制を緩和には慎重であるべきだろう。ましてや、専門家が挙って、懸念を表明している現状では、愚策としか言いようがない。本当に困ったものだ。