DJみならいのモデルガンブログ

20年近くだらだらと書いています。モデルガン、自転車などの記録。

マルシン M1910:メタルフィニッシュ

2008-02-14 20:10:00 | _ その他モデルガン
・マルシン FN M1910 メタルフィニッシュモデル

 この写真に至るまで何枚撮影を重ねたろうか。自然光を利用した照明の当たり具合で画面上の色が、少なくとも直感的なイメージは変わるので、見たままを表現することは剥き出しのABSやHW地に比べて難しい。

 2007年末、久しく絶版であったマルシン製モデルガン、ブローニングM1910が再販。飛ぶように売れる中で当方も年明けにどうにか1丁を確保した。詳細については時間を頂きたいが、それまで随分と放置することもできないので、校正したいと思っていた過去記事に手を入れることにする。初めは、再販未定のメタルフィニッシュモデルである。

 現在タナカがミッドナイトゴールドからステンレスモデル、スチールフィニッシュといったバリエーションを連発する一方、かつてハイパワーを謳い文句にしたMAXIシリーズが現行品だった時まで、マルシンからはタナカ同様に仕上げ違いのメタルフィニッシュモデルが発売されていた。正に「ガンメタル」!のような黒に近い鍍金の個体も存在したが、こちらで紹介するM1910の特にスライドは比較的ブルー寄りで珍しいのではないかと思う。黒いABSモデルと異なり、フレーム左面トリガーガード付け根のFNマークを始め、一部の刻印が省略されている意図は不明である。スライド右面の「MFG MARUSHIN」はご愛嬌。グリップスクリューを除いた金属パーツは全て黒染めされているが、本体に似合わず黒ずんでいるので腕に自信のある方へ染め直しのドレスアップを提案したい。また、バレルをシルバーに、グリップを木製に交換するお手軽カスタムもある。再販と同時に発売された木製グリップは、過去製品のBマーク入りとは異なるスムースタイプ。


 滑らかな皮膜は銃のエッジを際立たせ、手触りもまるで金属の冷たい質感である。それでいてスライド上部の複雑なセレーションは誤魔化されることなく整い丁寧で、傷や汚れを不良と認めないメーカーなどという風評とは一線を画す鍍金が美しい。経年劣化で斑になってしまったり銀色の地が出てしまったりしている物も多いが、この個体は幸い劣化が見当たらない。元からこのようであるのか、月日を経た偶然の産物かは分からないが、マズル付近のイエローと以降のブルーは素晴らしく、古式のデジタルカメラでディスプレイ越しには十分に伝えられず残念である。

 同社製メタルフィニッシュの一般的な色調はこのフレームに見られる妙な「ガンメタル」であり、どうひねくれても金属らしくなく個人的にあまり気に入っていない。本来使用することによって色に濃淡が加えられ「味わい」の出る素材が金属であり、染められたブルーは光の当たる角度で彩りを変えるし、例えば唯一無二の模様を成すケースハードゥンなど見事である。「ガンメタル」を実銃の姿に近づけるには、恐らく角のラインをなぞって地を出し変化をつけてやれば良いだろう。しかしながら樹脂の外観を軽減する鍍金をかけられたモデルガンは貴重であるし、あくまで玩具であることまで忘れてはならない。惜しいな、もう少しで本物みたいなのに、と思わせられたなら、それは既に鍍金に魅せられているのかもしれない。

 旧型エキストラクターピン、丸型グリップスクリュー受け、青色リコイルスプリング、黒色プラバレルを備えた、発売して間もない頃の製品ではないかと考えている。資料によれば、1983年当時の価格はシルバーモデル(ニッケルフィニッシュ)と同じ6,300円、1995年で6,800円、そして2004年の公式カタログにおいては8,800円と表記されている。それぞれ物価の推移を受けてはいるが、いずれにせよコストパフォーマンスの高いモデルガンであることは間違いない。



新新加工 無可動実銃

2008-02-08 19:38:00 | _ 無可動銃
 以下は、無可動実銃販売国内大手シカゴレジメンタルスの公式サイト上における、2008年1月26日の新入荷品複数に関したコメントへ掲載された一文。

ボルトは完全に削除しキャリアのみが閉鎖状態の位置で固定されております。

 実銃を装飾品へ変える加工方法の詳細はWikipediaないしシカゴのQ&Aを参考にして頂きたいが、従来の大まかな分類は「旧加工」と「新加工」であった。黎明期、法律に則り最低限で済んだ加工も、時間を経るにつれ輸入規制への対応を迫られ、パーツの残存数やボルト削除率は時期によって異なり、一般的に近年加工された物ほど原形から遠ざかると言える。

 新加工品とは、ボルト又はボルトキャリアが完全に開いた状態で溶接固定され、トリガー前方にスリットと呼ばれる内部確認用の穴が空いた無可動実銃を指す。対してこれ以前の旧加工品は、ボルト又はボルトキャリアが閉じた状態、あるいは何割か閉じた"半開き"で溶接固定されており、トリガー前のスリットは無い。旧加工品は新加工品に比べ自然な外観であるため、特にボルトアクションライフルで珍重される。この頃以降の物は新加工により国内で合法的に手にすることが可能である。また、旧加工にこだわった場合、入手困難な銃も出現するゆえ、希少かつ状態の良いデッドストックに触れることのできる機会も新加工によって与えられる。

 一部で「新新加工」とも呼ばれる今回の入荷品は、一見すると旧加工と思える説明であるが、シカゴレジメンタルスに問い合わせたところ、どちらとも異なる内容であることが分かった。第一に、書かれている通りボルトの完全削除である。銃刀法の"一部若しくは半分"という条件の倍以上をみた加工であるが、以前より同様の品物が出回っている事例と、これにより得られた果実(銃と聞き容易に想像できる不自然でない容姿)を考慮すれば新加工の代替案として悪くない。アンティークである無可動実銃の安全性とその条件を優先して確保した形であるからだ。そして機構上ボルトの完全削除が難しいボルトアクションライフルにとっては、外観の保護に有利な旧加工と事実上遜色のない処理である。第二にトリガー部のスリットが存在すること。これは新加工の現状維持と見て問題ないようだ。

 自動小銃において、ボルトキャリアを閉じて欲しいというユーザーの要望に答えた形の加工法更新である。今後、買取を除いた入荷品が全て「新新加工」となるかは定かでないが、同社輸入品に関しての適用は今後も継続されるようである。シカゴレジメンタルスの回答通り、ボルトオープンの外観を気にしていた無可動ファンにとっては朗報であると思うが、品物の性格上まずは様子見といったところかもしれない。

@2009/12/2 ちょっと訂正。