Days of Dragonflies & Moths

トンボや蛾に関わる記事中心。
当ブログの写真、文章の無断使用禁止。
写真集「関東甲信越のトンボ2010plus」

トラフトンボの思い出

2011年05月16日 | トンボ
今年もトラフトンボの季節がやってきた。
水に浸かって忍者のようにしゃがみ込み、岸辺を往復するトラフを
ひたすら追い撮る。集中力と気力を必要とするので長くは持たず、
トラフとの根比べになる。



ウン十年前。昆虫少年だった自分は、休日になるとスプリングネットに
三角紙、一眼レフカメラを抱えて野山を駆け回っていた。
6月のある日、トンボ仲間のYさんといつもの池で待ち合わせた。
多分8時過ぎには池に着いたが、空は厚い雲で覆われ、トンボの姿は見あたら
なかった。
今日は収穫ナシか・・・・
しかし、9時を過ぎる頃には次第に空は晴れ渡り、トンボがあちこちで飛び始めた。
中型のトンボが二頭、池岸に沿ってハイスピードで飛び回っている。
体全体は麦わらトンボのようなはっきりしない色だが、目玉だけ鮮やかなグリーンに
輝いている。
トラフだっ!!!
スプリングネットを持つ手に力が入る。池を周回するトラフをひたすら待ちながら、
心臓の鼓動はどんどん高まっていく。。。



そこへYさんが現れた。
「トラフ飛んでますよ」
トラフは、池岸から微妙に離れたところを腰ほどの高さで飛び回る。
二人で追うが、なかなか捕まらなかった。
近くで振り損なうと逃げられてしまうので、何度も見送ったが、
何度目かに思い切り振ったら手応えがあった。
採ったか!?
しかし網にトラフは入っていなかった。
「そこにいる!」
Yさんが池面を指さすと、そこにトンボが浮いていた。

拾い上げたトンボには頭がついていなかった。
「それ、もらえるかな・・・」
夏の自由研究で使うときだけ標本を貸してもらうと言う条件で、
頭部のないトラフトンボをYさんに手渡した。

今では遠い思い出になってしまい、その数年後に自分はトンボに興味が無くなって
やめてしまった。トンボ熱が再燃したのは、社会人になってさらにだいぶたってからである。



思い出のトラフトンボを地元で再発見したい!そんな思いに駆られて
トンボ巡りをしてきたが、最近は分布調査の興味も薄れてきて、
彼らの生時の姿を写真に焼き付ける事ばかり考えている。

晴天

2011年05月14日 | トンボ


晴天のフィールドはずいぶん久しぶりのような気がする。
自分の場合、ここ数年、都合のつく日や時間帯はなぜか
曇天雨天のことが多い。曇天雨天の撮影も楽しいことは
楽しいが、太陽光を積極的に取り入れる撮影は出来ない。



気温が上がり、アオスジアゲハが草陰で休憩に入った。



天寿を全うしたと見られるムカシトンボが転がっていた。



路上や流れのそこかしこでダビドサナエが縄張りを持っているが、
それを圧倒する勢いなのがカワトンボである。



ダビド以外のサナエは人影を嫌ってなかなか姿を見せず、カワトンボ
の姿がやたらと目立つ。せっかくなので、この時期にしか得られない
ショットに専念する。







叙情系ショット

2011年05月13日 | トンボ


これは35ミリテスト撮影で2月に写したものだが、今シーズンはこんなイメージ
を追究したいと考えている。便宜上叙情系ショットと呼んでいるが・・・笑い。
これを一番試したいのが、コサナエとカワトンボだ。春の柔らかい光線と自分なり
の風景イメージを重ね合わせた世界を演出できたらと思っている。
自分がコサナエの住処に対して抱く理想のイメージは、一言で言えば春の野池だが、
陽光溢れる中、背丈の低い草むらの中にある小径を進むと、「地面と同じ高さ」に
水の澄んだ小さな池があり、その岸辺の草むらにコサナエが佇んでいるという感じだ。



コサナエのショット。まだまだ被写体に重きを置いてしまうが。。。



何パターンか試してみたが、もう少しじっくり時間をとりたいところだ。




春の水辺。



第一6半期

2011年05月12日 | トンボ
トンボシーズンはおおまかに、4月~5月前半・5月後半から6月前半・
6月後半から梅雨明け・梅雨明けから晩夏・晩夏(8月下旬)~秋分・
秋分以降という風に分けることが出来る。

なぜ分ける必要があるか?というと、そのおおよその時期によって
見られるトンボが変わってくるため、トンボに出会うための指針と
するからである。
勿論、時期を区切らずに出続けるトンボもいるし、年ごとの気候に
よって微妙にずれるし、季節を気にせずに出かけて偶然の出会いを
楽しむという味わい方も面白い。

さて、上記6半期に分けたトンボシーズン最初の6半期は今年もほぼ
終了してしまった。思えばあっという間だし、エンジンのかかりが
遅い自分が従来最もなおざりにしていた時期だが、今シーズンは幸運
にも時間がとれ自分にしては珍しく羽化シーン撮影機会に恵まれた。



シーズン山場迫る

2011年05月12日 | トンボ
自分のこれまでのパターンだと4月5月に飛ばすとシーズン中
息切れしてしまうので気をつけたいところだが、何しろ最近、
被写体の少なさに反比例してシャッターを切りたいという願望が
強くなってしまっているので、出来るだけその欲求を満たすため、
山場に備えてのテスト撮影でつなぐということになる。



90ミリで水滴と葉の緑と花の黄色、光線具合をうまく融合させた
カットを狙うが、トンボの体勢がやや半端になり、全体のバランス
がとりづらくなった。アクセントにするには花の数が少なすぎたが、
トンボが上を向いているのが一つのアクセントになっている。



空を混ぜてのカット。曇天雨天時の空はスパイスとしてはあまり頂け
ないが、水滴とのコンビネーションは雰囲気を醸し出すには良いと思う。
ブレンド加減などを更に追究すると面白いかもしれない。



35ミリに持ち替え、光源をカメラから離し、出来るだけ被写体に近づけ
て撮影し金属緑色強調に重点を置いた。使用した光源はグリーンがやや
強めに出るが、自然光とのミックスにおいてはフィールド臨場感アップ
効果を出すかもと期待している。いずれストロボにも試そうと思ってい
るが、フィルターで色温度を若干調整し白っちゃけた感じを極力抑える
ようにしている。トンボが斜めにぶら下がる形となったため、空が背景
の多くを占めてしまったが、現像時に色温度をいじって楽しむことも出
来、その気になれば「空気色」をガラッと変えることも可能で、これが
デジタルフォトの楽しみでもある。

梅雨の走り

2011年05月11日 | トンボ


あくまで自分のイメージだが、トンボの第一次ピークとなる5月下旬
にかかる前の一週間ほどは梅雨の走りのような天気になることが多い。



5月前半時点で出そろっている主なメンバーを並べてみた。
左から アオサナエ、ホンサナエ、ヤマサナエ、ダビドサナエ。



羽化するトンボにとって最大の脅威は湿度だという。
湿度の高い雨の日は、羽化失敗率が高くなる。



今年初見個体をワンショットでとらえた。(ワンショット後に飛び去ってしまった)



小さいながらも印象的なニガナ

コサナエ

2011年05月10日 | トンボ


当ブログやHPで春の普通種御三家というのが時々登場するが、
コサナエはその御三家の一角をなしている。



普通種・・・と言うと、何だ普通種か~と思われがちだが、
とんでもない!と自分は思っている。
世の中レアものレアものと騒がれがちだが、普通種が身近で
見られる日常こそ最も貴重なものであり、最も失ってはいけ
ないものなのだ。


(タンポポで吸蜜するクロハネシロヒゲナガ)

コサナエは、平地から高地の池沼および河川の停水域に現れる。
春の陽光あふれる岸辺でやや弱々しく穏やかに飛び回ったり、
岸辺の草むらに止まったりしているこの姿を見かけたとたん、
味気ない水辺が自然豊かな世界に感じられ、このコサナエ
の舞い飛ぶ風景を自分の感覚の中にどういう形でインプット
しようかとなぜかわからないが考えてしまう。



コサナエを自分のイメージとして持っている春の原風景の中に
写し込みたいと考えているが、なかなか実現できないでいる。
当HPのコサナエ写真は、20年ほど前、LXにシグマ24ミリをつけて
コダクロームで撮ったものだが、広角望遠にこだわらずにこんな
シチュエーションでのショットを今年は何とか得たいものである。



コサナエ、シオヤトンボ、カワトンボ。
この三種が見られる水辺は健在な水辺だと思っている。
しかし、この三種がそれぞれ多数飛び交っていることが
必要であり、申し訳程度に見られる昨今は身近な環境が
損なわれつつあると思われる。

カワトンボ

2011年05月09日 | トンボ


カワトンボの仲間で自分にとって最もなじみ深かったのはなんと言ってもハグロトンボだった。
小学校に上がる前は、このおはぐろトンボが怖くて怖くてたまらなかった。庭に飛んできたおはぐろ
トンボが、翅を開いたり閉じたりしていたが、このとき翅が5枚にも6枚にも見えて気味悪かったのだ。
最近はこのおはぐろトンボでさえ減ってしまったが、幸いにも実家の近くでは今日でも時々その姿を
見かけることがある。

さて、ハグロトンボはさほど好きなトンボではなかったが、羽根が黒い事への反動か、翅の透明な
仲間にあこがれた。それがカワトンボである。
カワトンボは元々身近な流れで春に見られる存在だったようだが、自分の小さい頃にもみかけた覚えは
全くなく、大きさの知識もないので、サマーランドに出かけた際に温室で捕まえたアジアイトトンボを
カワトンボだと思っていたほどだ。


(標準50ミリ開放での撮影。効果的なアングルなど、やっぱり向き不向きがあるのを改めて思い知る)

初めてカワトンボに出会ったのは、本格的にトンボにはまりだした中学生の頃。
出会ったのは遅かったが一度出会うと次々と会うので、あっという間に珍しくも何ともない存在になってしまった。



高校の40キロハイクの折に、途中の道ばたにある小さな流れでオレンジ色のカワトンボが多数群れていたことを
ホームページに書いたが、後年そのあたりを散策してみたところ、そのような流れはすでになくなっていて残念だった。
身近なようで身近でない存在になってしまったカワトンボは、自分にとっては、同じような境遇のコサナエと同列にある
貴重な存在だ。



ところでこのカワトンボには、やっかいな分類上の問題がある。
本邦産カワトンボは現在、ニホンカワトンボとアサヒナカワトンボがそれぞれ「独立種」として記載されている。

西日本の有色タイプは見分けが簡単だが、関東のは特にやっかいだ。
いくつかの代表的な生息地の個体がサンプリングされて調査されたが、
丘陵地から低山にはアサヒナ、平野部にはニホンが主に分布するようだ。



栃木、茨城(ニホンのみ分布ということになっている)群馬(アサヒナのみ分布と言うことになっている)
以外の関東のニホンとアサヒナの成虫は見かけ上の違いがほとんど無い。
成虫を目視で見分けるのはほとんど無理だろう。

春の草花

2011年05月08日 | トンボ


微小な薄紫の花をつけるスズメノエンドウは、キュウリグサと並ぶ
隠れた美麗花だ。




ケマンの類は昔から好きな花で色は紫が好きだが、キケマンには
渓谷の深い緑との対比に奥ゆかしさを感じる。
(ムラサキケマンのカットは、50ミリを2.8まで絞り込んでいるため
大きめの反射ボケが出てやや目障りな感じがする。また、クローズ
アップレンズのためか、それとも50ミリ本体のためか、パープリン
がかなり目立つのはちょっと気になるところだ)



素朴ながらも美しい草花を印象的に写し取りたいが、なかなか難しいものだ。



それにしても残念無念(笑い)


キツネノボタン

2011年05月07日 | トンボ


子供の頃あぜ道でよく見かけた印象深い花だ。
どちらかというと嫌いな部類だったが、
懐かしく親しみを覚える存在である。



季節は四月末あたりでいったん止まってしまったかに見える。



100メートルほど歩き、ホンサ、アオサ、ダビド
をそれぞれ10個体強見かけたが、他は全く見あたらない。



バックがうまく選択できず。アオサはよく見ると羽化不全のようだった。
湿度の高い日には失敗が多く残念である。



ひなげしやヤグルマソウには野草のイメージはないが、野で見かけるとハッとさせるものがある。
特に赤紫の花が好きなので思わず撮ったが、色に浮かれて他がおざなりになった。

豹変

2011年05月06日 | トンボ


春の野に舞う虫は実に楽しそうに見える。
蝶は器用に歩くことはできないが、野を
飛び回る際には、花を確かめるように
歩くように飛んでいる。



50ミリ標準レンズ開放の世界。



二段ほど絞り込むと描写具合が豹変、
俗に言うカリッとした写りになる。




200マクロ(上)と90アポランター。
200は前ボケが選べる。アポランはちょっと欧風?
最近200の稼働が落ち、ピント合わせが大変な
ことを改めて思い知った。

楽収差

2011年05月05日 | その他


銀塩時代のいわゆる標準レンズはラインアップが豊富で、
色々なF値のモデルがある。メーカーによっては0コンマ
のモデルもあり、数値だけ見ていても面白い。



開放付近で顕著に表れるコマ収差は、精緻な描写には邪魔者
以外の何でもないわけだが、ソフトな描写を狙うときには、
楽しい収差ということになる。



残念ながら自分の目のF値は、当該レンズの開放よりも暗いので、
光学ファインダーではボケ具合を確認することはできない。

青葉

2011年05月04日 | トンボ
新緑があっという間に青葉に変わると初夏の雰囲気が
漂い始める。
今年は春の進行がどこかちぐはぐな感じがする。
とはいえ、毎年のおきまりが普通に繰り返される事を
実感できるのはこの上ない喜びである。



源流域で羽化するヒメクロサナエはなかなか羽化シーン
に出会えない。気がつくと羽化した新生虫が足下から飛
び立つ。
ムカシトンボが時折視界を横切るが、まだ摂食期間中の
雰囲気なので撮影は半ばあきらめ、この冬に試作した
ストロボ用装置を試すことにした。



基本的に日中シンクロを想定していないので、真横から
のショットだと調整なしではストロボ感が出てしまうが、
このようなポートレートでは効果を発揮する。



足場が悪く風があるのでなかなか安定したショットが望め
なかったが、春らしいショットが撮れた。



この時期の渓谷の定番。



探索中に見つけた。最初は巨大なカブトムシの仲間か?!
と思ったが、冷静になって見てみたらアオバシャチホコだった。


春の御三家揃う

2011年05月03日 | トンボ
黄砂の影響なのか晴れない日が続く。
例年のゴールデンウイークは、晴れの日が
比較的多かったような気がするが。



この春、普通種御三家の内、なかなか出会えていなかった
コサナエにやっと会えた。
できれば明るい春の野にてのショットをもらいたかったが、
曇り空ではショットも暗くさえず、とりあえずはこの一枚
しかもらえなかった。



シオヤトンボもちらほら姿が目立ち始めたがまだまだ少なく、
羽化する個体もまだいるようだ。コサナエもまだ羽化が続く
ようである。



目論見通りクロスジギン羽化を見つけた。