緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

患者さんの疑問(1)

2012年11月11日 | 医療

(紅葉がだいぶ進みました)

「・・・死んでしまうなら、今やってることは
 無駄なんじゃないかって思っちゃって・・」

患者さんが打ち明けてくれました。




そして、

思い出したことがありました。



かつて勤務していた緩和ケア病棟で
私が勤務を始めるより前にお亡くなりになった
10代の患者さんの話を
当時、ケアにあたった看護師さんが
何度か話してくれました。

脳腫瘍で、
麻痺や頭痛の出現をみながらも
意識がある限り、
ずっと、受験勉強を続けていたのだそうです。



2月の受験のころまで
命があることは難しいと分かっていても、
病気があっても、なくても、

自分はこうしていたいと思うこと
-その患者さんにとっては、受験勉強を続けることに

ひたむきだったと。



受験ができないなら勉強は無駄か・・


先の見通しのために生きるのではなく
ただ、今を普通に生き続けようとする姿に、
関わった人々は、皆勇気づけられ、
生きる意味を考えたといいます。

(つづきます)

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