緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

疝痛発作!何とかして

2006年11月14日 | 医療

主治医は手術中なのですが、患者さんがうずくまっています!と、午後、電話がかかってきました。

腹腔内腫瘍で、疝痛発作を起こし、こんな風に緩和ケア科に緊急対応依頼が来ることがあります。 
多くは、腫瘍が腸管の近傍にあり、癒着や浸潤を来たしているような場合です。 腸内容物が移動するときの管腔臓器の痛みで、特徴としては間歇的な(間隔があいたような)ギュー、ギューと絞られるような痛みとなります。 軽度のものや良性疾患では、ブスコパンなどで腸の動きを止めれば治まるのですが、がん性腹膜炎は、それだけでは中々鎮痛に至りません。

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多くの場合、下記のような臨時処方でまず、その場の痛みを取り除きます。

・ステロイド(ベタメタゾンかデカドロン) 4mg 
(静注 または 点滴 または 皮下注)

・ロピオン 1A (生食50mlで 30分 または 静注)

・オピオイド レスキュードース投与後、増量
(設定されているレスキュー1回投与し、定時オピオイドを1段階増量)

オピオイドが導入されていなければ、ブスコパンをまず投与してみる場合と、オピオイドを導入する場合とがあります。

腸管浮腫や癒着、狭窄に対して、ステロイド。 腹膜浸潤の疼痛にNSAIDsのロピオン。 経口でもよいのですが、早く効かせるには静注。 抗コリン作用と腸管蠕動低下、内臓痛などの侵害受容体性疼痛にオピオイド。 緊急時にはフルコースです。 薬剤アレルギーの有無、腎、肝障害の程度など情報を即座に集める必要もあります。

注意すべき点として、高血糖の患者さんには、ステロイド投与後血糖測定を。 腎障害がある患者さんの場合は、ロピオンは、最初の1~2/5くらいを早くいれたら、残は5時間くらいかけて血中濃度を低めに設定し、単回投与とします。 その後、次の戦略を考えます。

緊急避難的にその時の苦痛を除去するのには、上記は有効な組み合わせです。
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