主治医は手術中なのですが、患者さんがうずくまっています!と、午後、電話がかかってきました。
腹腔内腫瘍で、疝痛発作を起こし、こんな風に緩和ケア科に緊急対応依頼が来ることがあります。 +++++++++++++++++++
多くは、腫瘍が腸管の近傍にあり、癒着や浸潤を来たしているような場合です。 腸内容物が移動するときの管腔臓器の痛みで、特徴としては間歇的な(間隔があいたような)ギュー、ギューと絞られるような痛みとなります。 軽度のものや良性疾患では、ブスコパンなどで腸の動きを止めれば治まるのですが、がん性腹膜炎は、それだけでは中々鎮痛に至りません。
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多くの場合、下記のような臨時処方でまず、その場の痛みを取り除きます。
・ステロイド(ベタメタゾンかデカドロン) 4mg
(静注 または 点滴 または 皮下注)
・ロピオン 1A (生食50mlで 30分 または 静注)
・オピオイド レスキュードース投与後、増量
(設定されているレスキュー1回投与し、定時オピオイドを1段階増量)
オピオイドが導入されていなければ、ブスコパンをまず投与してみる場合と、オピオイドを導入する場合とがあります。
腸管浮腫や癒着、狭窄に対して、ステロイド。 腹膜浸潤の疼痛にNSAIDsのロピオン。 経口でもよいのですが、早く効かせるには静注。 抗コリン作用と腸管蠕動低下、内臓痛などの侵害受容体性疼痛にオピオイド。 緊急時にはフルコースです。 薬剤アレルギーの有無、腎、肝障害の程度など情報を即座に集める必要もあります。
注意すべき点として、高血糖の患者さんには、ステロイド投与後血糖測定を。 腎障害がある患者さんの場合は、ロピオンは、最初の1~2/5くらいを早くいれたら、残は5時間くらいかけて血中濃度を低めに設定し、単回投与とします。 その後、次の戦略を考えます。
緊急避難的にその時の苦痛を除去するのには、上記は有効な組み合わせです。
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