緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

骨転移の上手い例え話

2006年11月13日 | 医療

昔、Gセンターで一緒に働いていた放射線治療医曰く、
「骨転移は、シロアリに食べられた木のようなもの」
と、例えている話を聞き、なるほど上手い表現だと思いました。

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シロアリは、木の中を道を作るかのように食べ進めて行きます。 木の中にシロアリがぎっしりいる状態が、骨転移の状態。 そこに放射線照射をすると、シロアリが駆除されて、空洞のような木が残ります。 
だから、放射線で治療をしたからといって、健康な充実した骨が取り戻せるわけではなく、コルセットをするなど大事をとらなくてはならないという説明をしていました。 根治を目指すような線量を充てると、駆除された後、時間はかかるようですが、次第に新たな骨が新生されてくることも期待はできるようです。 しかしながら、緩和的放射線療法と言われるような症状を取る範囲の線量であれば、一部シロアリは残っていることになり、いずれ、また、シロアリは増え、また埋め尽くすときもあります。 

実にこのシロアリの例えは、放射線治療とがん細胞との関係を上手く表現しています。 患者さん達も、ブラックな話でありながら、「そ~ゆ~ことだったんですね!」と、膝をハタと叩いて納得してくださるのです。

脊椎の椎体に転移があり圧迫骨折をしそうなときは、骨セメントを入れ補強をする方法が研究されています。 これを経皮椎体形成術といいます。 まだ、保険が使えませんので、限られた医療機関ではありますが、行われています。
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