がんの放射線治療による
悪心嘔吐の発生頻度は
1000名ほどの前向き調査で
約30%と報告されています。
Maranzano E, et al. Radiother Oncol. 2010; 94: 36-41.
放射線治療で悪心発生頻度が最も高い
全身照射では
80~100%と高率です。
Spitzer TR, et al. Bone Marrow Transplant. 2000; 26: 203-10.
その全身照射において、
5-HT3拮抗薬を予防投与したところ、
悪心・嘔吐の完全制御率はで50~90%でした。(!)
Maranzano E, et al. Radiother Oncol. 2005; 76: 227-33.
5-HT3拮抗薬では、グラニセトロンだけだと思いますが、
放射線治療の消化器症状に保険適応があります。
その他では、D2遮断薬の
メトクロプラミドに保険適応があります。
NCCN ガイドライン2015 では、
この5-HT3拮抗薬にデキサメタゾンを併用することを
推奨しています。
しかしながら、放射線治療患者さんへの
制吐剤投与は17%に留まっており
(予防的投与12.4%,発現後投与4.6%)
放射線治療の悪心・嘔吐は薬物療法に比較して
重篤度が低いため、過小評価されている
という報告もありました。
Maranzano E, et al. Radiother Oncol. 2010; 94: 36-41.
また、別の論文では、
投与は39%で
その内訳は、
抗ヒスタミン薬40%,
ドパミン受容体拮抗薬37%,
5-HT3受容体拮抗薬17%
放射線治療で悪心が生じてしまった患者さんの1/3 は
症状緩和が不十分で、
適切な制吐療法を望んでいたと述べています。
Enblom A, et al. Support Care Cancer. 2009; 17: 23-32.
出典;日本癌治療学会がん診療ガイドライン制吐療法 CQ10
放射線治療中の患者さんの悪心・嘔吐・・・
もっと目配り、
気配りが
必要そうです・・