緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

頻呼吸の症状緩和(2)大学時代の講義の思い出

2009年09月01日 | 医療

大学時代、いくつか人気の講義がありました。
麻酔科の講義がその一つでした。

ある日のテーマは、「人工呼吸器」~特に、「死腔」についてでした。

「A君は、彼女と心中をもくろみながら、自分だけ助かろうと計画をしました。
 窓を目張りし、そこから5mのホースを布団まで引っ張って
 部屋に○○を充満させ、
 ホースを口にくわえて
 外気で呼吸できるようにし
 30分、そのままでいることとしました。
 さて、A君は、自分だけ助かることができるでしょうか」

(心中とちょっと穏やかではないのですが、
 ここは、知識を整理するためのたとえ話で、
 実際の講義で用いられた記憶内のものです。お許し下さい。)



ん・・助かるかな・・・



「A君は助かりません」



・・えっ、そうなの?

「A君が加えた5mのホース。
 容量は、約5L。肺活量はそれ以下です。
 呼吸は、CO2をはき切って、O2を取り込まなければいけません。
 ですから、5mのホースでは、
 吐いた息を外に出しきって、新たな空気を取り入れることができません。
 では、どうすれば、A君は助かりますか」

ホースの容量を少なくすればよいから、
短くする。
後、細くする・・ん、これは抵抗が上がるか・・・

「布団の位置を窓に寄せ、ホースを短くするわけですよね。
 これが、人工呼吸器と体内とをつなぐ
 ホースのデッドスペースと同じ考えになるわけです。
 換気を維持するためには、この容量を小さくしなければならないこと
 わかりますね」

ああ・・なるほど、
そこに繋がっていくのか・・・

(つづきます)

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4 コメント

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座布団一枚 (rushuri)
2009-09-03 22:00:26

でも、そこで疑問?

ホースから口で酸素を吸い、鼻から息を吐き出した場合・・・

たとえ話って、いっぱい穴があって、想像力が駆り立てられたのしいです。
返信する
またまた (jun)
2009-09-03 23:13:45
つづく・・・どきどきしますね!?
返信する
rushuriさん (aruga)
2009-09-04 00:21:33
おお!!!
クリーンヒットです!
そう、それは助かりますよ~ナイス!

でも、超強毒ガスで万一鼻から吸ってしまったら~などと考えると・・・想像の世界でノックアウトになっちゃうのです~
返信する
junさん (aruga)
2009-09-04 00:27:47
わ~ありがとうございます。
でも、次はまとめでおわりになります・・・
ご期待に添えそうにありません・・

何だか、このコメント欄が、今日は不調のようです。お手を煩わしてしまって申し訳ありません・・
返信する

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