緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

ケタミンの神経障害性疼痛に対する投与方法

2008年02月18日 | 医療

昨年の1月から麻薬指定になり
各病院で、その扱いには基準があると思いますが
神経障害性疼痛には
やはり、よく効きます。

出所の文献は忘れてしまいましたが
最近読んだものでは
NRSで、ケタラール7/10、リドカイン4/10、プラセボ2/10の
疼痛改善が認められると結論づけていました。
当院では、食事量が減少してきたら
高カロリー輸液が入っていることが多いため
あまり、皮下注射になることはありません。

静注方法として維持量の決定に
用いやすい方法を。

ケタミン(10mg/ml) 1A = 200mg/20ml
生食                     30ml
                                                    50ml
0.5ml/h で開始し
増量は 0.5ml/h→1ml/h→1.5ml/h→2ml/h
少なくとも1日以上の間隔をあけて2ml/hまでで一旦止めます。
この間、目標とする除痛がはかれれば
その量を維持量とします。
大概1~2ml/h位で維持することが多い印象です。

麻薬指定なので
残薬がでると管理上煩雑になります。
上記のように用いると
残薬はでません。  
ただし、0.5ml/hで十分除痛ができ維持量とする場合は
この量では4日間同じシリンジを用いることになりますので
薬剤師らと検討のうえ
シリンジの内容を決定してください。

これは、当院の一例であり
いろいろな投与方法の一例です。
あしからず・・

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8 コメント

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適応外 (krug)
2008-02-19 00:19:09
こんにちわ。
不勉強で申し訳無いのですが教えてください。

パクリタキセルを連投すると、末梢神経性の障害の痺れと共に、重症の場合はかなりの痛みが発生します。

ケタミンは中枢性?なので、上記のような痛みにはまったく効かないのでしょうか??
http://merckmanual.banyu.co.jp/cgi-bin/disphtml.cgi?url=14/s167.html
とか
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/pain-neurogenic.html
とかとんだのですがいまいち分からないんです。

どちらにしろ、適応外ですけど
返信する
Unknown (アビシニアン)
2008-02-19 08:41:15
参考になりました。ありがとうございます。
返信する
ケタラール (こたろう)
2008-02-19 17:05:49
リドカインのCSIが難しくなる前から、当院では
伝統的にケタラールをよく用いていました。
量は50~200mg/dayで私も同じくらいで
使っています。
鎮痛効果は強力ですが、傾眠や精神症状がやや
多いのが難点ですね。一般病棟では保険適応が
ないと思いますが持ち出しですか?
何か裏技が?

返信する
コメントありがとうござます。 (aruga)
2008-02-19 23:13:51
krugさん
タキサン系はがん細胞の微小管に作用し抗がん効果を発揮します。末梢神経障害は軸索にある微小管が同時に障害を受けることで神経障害性疼痛を奮起します。神経細胞の外側のシースではなく、伝達の役割をになう軸索ですから、これは、難治です。私は、ケタミンをここに使用した経験はありません。なぜなら、疼痛サインは有害事象であり、体内での有害変化を見落としてしまうことになります。実際、pubmedで文献検索をしてみましたが、ケタミンはなく、ガバロン、抗うつ薬が何本かあるのみでした。極めて少ないです。ただ、こうした鎮痛薬ではなく、神経変性を改善させるものは根っこの原因を改善させることになり、重要であり、有益だと思っています。ですから、ケタミンではなく、そのようなものについて注目していきたいと思っています。(尚、そうした軸索障害は末梢だけではなく、中枢にも起こるとするものが何本かあります。)

アビシニアンさん
足跡ありがとうございます!

こたろう先生
ケタミンは、抗うつ作用があります。いわゆるHTやNAの再吸収阻害ではなく、多幸的な中枢性効果だといわれています。ごく少量投与が著効することを何度も経験しました。30~50mgで。以前投与可能だったメチルフェニデート並みに即効的です。傾眠や精神障害は、10年位前にPCUにいたころの数例の経験を除くと、本当にまれになりました。もともとせん妄がある方や大脳辺縁系にかかる病変がある方、高齢の方などには、さらに少量し、十分なフォローをしていくと本当に精神症状はなく使用できています。
チーム介入なので、処方は主科ですが、麻薬指定になったとき、薬剤の倫理委員会にあたる当院の薬剤委員会に提出し、薬剤の投与について、院内コンセンサスを得ました。
がん性疼痛、難治性疼痛、難治性神経障害性疼痛などの病名は、患者さんの病態にあわせて付け、必要に応じて症状詳記を書いてもらっています。いつでもヘルプ体制にありますが、文献添付に関するヘルプ依頼もなくやってきています。
返信する
大変勉強になりました (こたろう)
2008-02-20 06:41:17
ケタラールは初期投与量が、まだ多かったのかも
しれません。1日25mgくらいからやってみます。
抗うつ効果については最近勉強しましたが、
そこまで効果があるとは知りませんでした。
抗うつ薬は十分な効果を期待すると量も増えます
し、時間もかかります。それだけ速効で劇的に
効果があるなら、是非試してみようと思います。
ケタラールは甘みをつけて内服という事も出来る
ようですが、注射とは1:1で考えてよろしいので
しょうか。
返信する
内服 (aruga)
2008-02-20 20:41:52
ケタミンの中間代謝産物のノルケタミンがケタミン以上の鎮痛効果を持ち、トワイクロスは、注射:経口=5:1と報告しています。つまり、経口では、注射の1/5でよいと。実際、経験した1例はほぼそんな感じでした。(麻薬指定になってからは、私は経口使用経験がなく、実績はありませんが・・)
返信する
検索能力不足ですね。 (krug)
2008-02-21 00:59:55
明確なご回答ありがとうございま。
実際、臨床では2種類の漢方と、マーズレンが使用されるくらいで、なかなかピシャリと効くのはないので本当に困っています。
ケモ中止後もかなり長い間引っ張るので患者さんがほんとにつらそうで何とかしてあげたいといつも思っていますが、なかなか・・・
返信する
有難うございました。 (こたろう)
2008-02-23 23:22:44
大変勉強になりました。自分でももう少し
勉強してみます。
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