緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

保険適応の分子標的薬を自費購入させていた病院(3)

2007年09月15日 | 医療

(昨日に続きます)
しかも・・・
アバスチンが腫瘍を完治させるなら
命をとるか、お金をとるか
とも、言えるかもしれません。
(保険適応のことは抜きとしてですが)
でも、アバスチンは血管新生抑制剤ですよ~
増殖抑制と転移抑制で
完治を目指す薬剤ではありません。

ですから
キチンとした化学療法との
併用療法が条件です。

投与する内容、予想される得られる効果
起こりうる副作用、現在保険適応があること
こうしたすべての情報が
理解できるように説明されることもなく
「命をとるか、お金をとるかですよ」
と、まるで脅しです。そして、自費購入です。

当院のがん治療医に回ってもらい
必要な治療の説明をしてもらいました。
で、結局キチンとした化学療法を行うことになりました。

疼痛には、飲めているのに
フェンタニル貼付剤・・
患者さんは、おどおどと
「あの・・この痛み止めは、保険が効くのですか・・」
「もちろんです。この病院の治療はすべて保険が適応されます」
「ああ・・あのお金は何だったんだろう。結局、がんは大きくなっていくし」

一日4000円分の健康食品も
勧められ購入されている様子

「温泉にでも行って
 美味しいものを食べたほうが
 免疫力上がるかもしれませんよ」と私。

十分に理解ができるような説明が
なされていない自費治療は
詐欺というと言いすぎですか???

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 保険適応の分子標的薬を自費... | トップ | アイスブレークのすね肉赤ワ... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2007-09-16 00:12:08
fumi
掲載の勇気に感動です。報告してくださった内容は詐欺といってもよいのではないでしょうか。脅しでもありますよね.人の弱みに付け込むようなことは医道に反し、医の倫理違反です。Y市(同じY市かどうか分かりませんが)には、理屈に沿った説明はされているが効果が怪しい治療法を混合診療で行っていた医師がいた話もあります。こうしたことをやる医者仲間に言いたい、こんなk¥不埒なことをするから医師全体の信用ががた落ちになるのです。あなたからみれば、バカ真面目に見えるかも知れませんが、バカ真面目で正直なのが医者の本来の姿ですよ。怒りを込めて!
返信する
コメントありがとうございます (aruga)
2007-09-16 17:50:26
fumi先生
緩和ケアの先駆者シシリーソンダースが、医療者はhonesty,opennessであるべきだと言いました。正直で隠し事をしないこと。医の原点ですね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

医療」カテゴリの最新記事