月木金は、朝ざっと回ったら、10時半ごろからミーティングを始めます。
コンサルトを受けている患者さんの各担当者からの報告を聞き、
改めて、方針の調整や課題をだし、午後に繋いでいきます。
ある日・・・
△患者さんのプレゼンを聞き、やり取りをしていた最中にA先生
「・・・・・歯が、・・痛いんですよね・・・・
で・・この患者さんは・・」
こういう、話の途中に唐突に他の話が挿入されるのは、
唐突な内容が極めて重篤(集中を阻害されるようなレベル)か
もともとの話の内容に、無意識や意識的な否定感情があるときなのです。
その後、数分観察していて、明らかに前者だとわかり・・
Mさんからも、
「あら~、さっき歯科の先生に患者さんのことで会ったのに・・」
「いや~、だって、歯並び悪いの見られるの恥ずかしいし・・
口の中よ、口の中!
ロキソニン4錠飲んでるんですよ~
自宅に近い所で受診しようとおもっていたんだけど、
でも、それなら家族が子供を見てくれている時間でなければいけないし・・」
文章が否定文で終わっているときは、
解決につながらない状況にあるときが多いものです。
ロキソニン4錠って・・ オイオイ・・
もろもろのやり取りを聞いていても、こりゃあかんな・・って印象です。
ミーティングが終わったところで、
「その頭頸部がんの患者さんのことで、電話するわ・・
番号何番だっけ・・、今日、診察券持ってる?
・・・あ、口腔外科の○○先生ですか、
△患者さんのフェンタニル貼付剤と
今の眠気のことで電話しました。
貼付剤って、貼って半日で血中濃度は上がるんですけど、
反復投与していくと徐々に累積されていって、
プラトーになるのが、5日から1週間なんですよ。
今、ローテーションかけて、ちょうど、1週間でしょ。
それによって眠気が出てる可能性があるから
2mgから1mgに減量しましょう。
カルテにも後で記載しておきますから、処方の変更をお願いしますね。
・・何時の貼り換えでしたっけ・・ああ・・明日朝の8時ですね。
じゃ・・そこから1mgへ。
チームで減量後再評価していって、カルテ記載残していきますね。
で・・
話は変わるんですけど・・
A先生が歯が痛いっていってるんですよ。
今日、外来で、どなたかにみていただくことは難しいでしょうか・・
あ・・大丈夫?!(A先生、苦笑。Mさん爆笑)
時間ですか、ミーティング終わりましたから、
この後の午前中でしたら、すぐでも、何時でも大丈夫です。
(口腔外科・歯科の先生、今私外来にいますから、すぐでも診れますよ)
あ・・今すぐでもOKですか。うわ~助かりました~
すぐ!行かせます・・・・・」
「あのォ・・カルテ、フェンタニル書かなきゃ・・」
「もお・・いいから。私書くから、すぐ行って・・」
その1時間後・・・
A先生、食堂に現れ・・・
「神経抜かれちゃったんです。
ああ・・私、今、ドパミン出てます~
痛みがないって、世の中ピンクです~
今まで、痛くってやる気もでなかったんです
痛みがないって、本当幸せ~」
丸顔がチャーミングなA先生はキツイ時でもいつも笑顔の先生ですが、
とろけそうな笑顔で、ビビンバ麺を
麻酔がまだ効いている口で美味しそうに食べています。
(抜神経後に、辛味も辞しません・・)
「夫に、ロキソニン出して~って言ったら、
歯科に行くまで出さない!髪も切らない!って言われちゃってて~
でも、困るでしょって、出してもらってたんです~」な・・なんと、A先生のご主人、断食ならぬ、
断整髪で無言の訴えを続けようとしていたらしい・・
どうやら、からぶり・・だったようです。
「まったくねぇ・・
患者さんに薬はきちんと飲んでくださいって言って、
飲んでくれなければ、コンプライアンス悪いって言って・・
こんなになるまで痛みだけ抑えてるから神経抜かなきゃいけなくなるし・・」
かくゆう私も、人のことは言っていられません。
思い当たることは・・あります・・
まあ・・でも、こうして時々、患者になることは
なんとなく前に一歩進めない患者さんの気持ちがわかってよいことです。
そして、痛みがないと世界がピンクになるのも
痛みがあるとやる気がでないことも、
経験してこそ、患者さんに伴走できるというものです。
A先生に軽く了解はもらって、ここに書かせていただきました・・
ご家族で、よい週末を過ごせていると信じつつ・・・
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それでも、ロキソニン4錠・・・ガマン無理です。
でも患者さんは、これが、頭痛だとか、他の所の痛みだったら、すぐに病院に行くのだろうな?と思いました。
歯医者の、あの「キーン」という歯を削る音に抵抗があったのかも知れませんね。
でも先生スゴイ!です。症状が重篤なのか、もともとの話の内容が無意識かどうか判断できるなんて。
そうか~、ただ人の話を話を聞いているだけではダメなんだ・・・と勉強になりました。
でも、歯の痛みも、「痛み」なんですよね。
歯科医の仕事も、ある意味、緩和ケアに通じるものがあるのかも知れません。A先生お大事に・・・
しかし、ロキソニン4錠…(^_^;)。お薬に詳しくお医者様って、いいようないけないような…(風邪で熱が出た時、ロキソニン錠をお菓子のごとくガリガリ食べていた産婦人科医を知っていますが(^_^;))。
先程ある子供アニメ番組のエンディングソングで「痛いのは生きてる印」と歌われていましたが(^_^;)、痛みにもいろいろあるからなぁ…と、思ったばかりです。
痛みを知っていただいて、患者さんの痛みと向き合ってくださるお医者様。
ありがたいなぁと思いました。m(__)m。
(余談ですが。私のブログ、私の全く知らないところで、物凄い個人攻撃対象になっておりました。それに煽られるように私のブログを見に来たのでしょう、カウントが異常に上がりました。いろいろ調べて、昨日から、ごく一部の方々に見ていただく形にしました。ウンザリするような輩が、存在していると改めて感じました。生きていることが当然だから、見ず知らずの他人を平気で攻撃出来るのかなぁ…(-_-)と。)
痛みは、体の警告ですから、抑えてよい痛みの量と、治療を優先すべき場合とあるのですよね。ご指摘の通りです。
コミュニケーション力は、研ぎ澄まされていくと、心が透けて見えることがあります。知らなくてもよいことまで見えてしまい、虚無感を持つこともあり、よいことばかりではありません・・難しいものです。
A先生は、元気です!
PANDAの妻さん
医師は痛みに向き合えていない!!とおしかりの言葉を頂くことが多い中で、医師への暖かな言葉、ありがとうございます。
ほっ**・・としました。
色々ありますね。静けさが戻ってきますように・・