緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

心のケアに努めますと校長は言うが・・

2006年04月02日 | 社会時事

女性を殺人未遂容疑、出頭の男逮捕 川崎・小3転落死 (朝日新聞) - goo ニュース
小3転落死 マンション近くでも不審者情報 (朝日新聞) - goo ニュース
本当に痛ましく憤りを感じる事件。事件の内容はここでは触れないで、気になった学校の先生のコメントについて書いてみたい。

このようなときの学校側のコメントは、「命の大切さをもう一度考え、児童の心のケアにあたりたい」というのが本当に多い。心のケアとはどういうことをすれば心のケアと言えるか、大方、学校カウンセラーの派遣や専門の臨床心理士を派遣するということで終わってるようだが、本当にそれだけでいいのだろうか?

がんを持った患者さんの支援において緩和ケア医が行う心のケアとは、もやもやとした漠然とした不安を具体化し整理していくプロセスの援助だと思っている。漠然としているとパニックになったりすることもあるが、これが整理できていくと対応できるものとそうではないものに分けられ、一つ一つ小さな目標の中で自己コントロール感を取り戻して行ってくれる。

絵を描いたり、体で表現するなど言葉だけではなく五感をフルに使ってそのプロセスにあたらなければならない点は大人より難しいところではあるが、子供達だって基本的には同じである。
こうしたことは、カウンセラーに特別のプログラムを組んでもらうだけではなく、日々の学校生活の中で教師自身も行っていかなくてはならないこと。非日常的なカウンセラーとの時間ではなく、自然な日常の流れの中で圧倒的に長い時間関わる教師こそが行っていくべきことである。学校の先生も医療職と同じくらいコミュニケーション・スキルトレーニングを行う必要がある。心のケアは、特別なプログラムで終わりではなく、日々の細やかな関わりの中で行われていくことにこそ重要なポイントがある。

ただこうなると、形がないため、学校長は教育委員会に心のケアの見える形の報告がしづらいんだよなぁ~親が言っても知らんぷりするのに、教育委員会の人が出てくるとペコペコしている子供達の卒業した某公立小学校の現状を見てきたので、心が読めないわけではないが・・


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