緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

シンシア・ホワイト先生WS 「支えになるために~そのスキルをみがく」

2017年01月16日 | 医療

過去に、こんな記事を書いたことがありました。

みほちゃんとグリーフワーク(1)

思い出せないお父さんの顔(2)

お父さんの絵(3)






20年位前になるでしょうか。

緩和ケア病棟で働いていたころ、
コミュニケーション力をどう磨けばよいか
悩んでいた時期でした。

そんな時、子ども達のグリーフワークを学ぶチラシをもらいました。
そこで2日間の講習を受けることにしました。

講師は、アメリカポートランドにある
ダギーセンターのトレイナーの
シンシア・ホワイトさんでした。

ダギーセンターは、
ダギーへの手紙」の
ダギー君にちなんでつけられた名前のセンターです。

公式サイト
http://www.dougy.org/



その講習会で、子ども達と対話する方法を
実技を通して学びました。

自分の価値観を入れないで聴くということについて、
あるアクティビティの中で、
目を開かせてもらった瞬間がありました。

10人位で輪になり、あるよくない出来事を想定し、
2人一組になりました。
前の人がその出来事の体験者役として話したことを
もう一人がリフラクション(反映)という基本的な技法を用いて
言葉を返していく演習でした。

私は無意識に、前の人が話した言葉を繰り返し、
~な辛い出来事でしたね。
と付け加えてしまっていました。

輪の他の方から、
それ、あなたの価値観を入れてるよ
と指摘を受けるまで、
自分自身のリフラクションがリフラクションではなかったことに
気付いていませんでした。

ハッと息をのむような感覚でした。


それは子どもにも大人にも、
共通するコミュニケーションの本当に基本的なことです。
私は、それまで、リフラクションをしているつもりで、
実は、随分と私自身の感想や感情を入れてしまっていたのです。

私のコミュニケーションの問題は
ここにあったのか・・・

それ以来、クライエントの感情と
自分の感情や価値観を分けながら
話を進めて行くことを意識するようになりました。

そこから、本当に大きく変化していきました。







その後、そのシンシアさんを中心に、
大切な人を亡くした子ども達のグリーフワークの
グループワークが試行として始まりました。

「てとてとて」という名前のサポートグループでした。

そして、私もファシリテーターとして参加していました。
今から15年位のことになるでしょうか・・・






そこで出会ったみほちゃんのことを書いたのが、
上の3つの記事です。

私にとって、かけがえのない思い出です。

このことを、医事新報社の新年多くの医療関係者が
言葉を寄せる中、私も書かせて頂きましたが、

私を医師として成長させてくれた大切な出来事の一つでした。







シンシアさんによるワークショップは
沢山の事を教えてくれましたが、
それ以上に、気づかせてくれました。

理解しているつもりだったこと、
意識下にあったもの、
知らないということを知らなかったこと
枚挙にいとまはありません・・

シンシアさんは、2011年の東北の震災のときにも
日本に何度も来てくださっています。

最初の2日間のセミナーを受けたルーテル大学には
今も、2011年の招聘セミナー募集の記事が残っています。

http://www.luther.ac.jp/news/110817/index.html

そこに書かれたシンシアさんの紹介文章は

シンシア・ホワイト氏プロフィール
Kids Hurt tooのエグゼクティブディレクター。教育学修士(M.Ed.)。
グリーフとトラウマを抱える子供達に29年関わってきた実績を持ち、阪神・淡路大震災の際も日本でボランティアのトレーニングや、被害を受けた子供達の心のケア、親と死別した子供達に関する調査などに携わった。大学や福祉・医療機関で子供達のグリーフ・トラウマケアに関わる関係者へのトレーニングにも力を注いできた。オレゴン州ポートランドにある「ダギーセンター」(The National Center for Grieving Children and Families)で7年に渡りトレーニングディレクターを務め、インターナショナルシンポジアムではアメリカ全土にとどまらず世界中の関係者のトレーニングに関わった。Kids Hurt tooの設立者の一人。




今年の第22回日本緩和医療学会学術大会
シンシア・ホワイトさんのワークショップを
一人でも多くの方に体験して頂くことができたら・・
そんな気持ちで、来日のお願いをしました。
そして、快くお引受くださいました。

プログラムに入れることができました。

Cynthia White, M.Ed.:
「支えになるために~そのスキルをみがく」

1日目の金曜日の午後の予定です。

3月になりましたら、
ワークショップの
事前登録を開始します。


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