学生時代、10、20代のころは、
高齢者の方と話をするのが苦手でした。
どうすればよいか
わからなかったのです。
自分自身が年をとり、
少しずつ年齢が
近づいてきたこともあるのでしょうが、
それ以上に、
ユマニチュードの動画を見て、
それを実践に取り入れてみて、
目から鱗が落ちるように
認知症の程度に関わらず、
非言語的なコミュニケートも含め
対話ができるようになりました。
ユマニチュード / 認知症ケア 優しさを伝える技術
(13分50秒すぎから是非、見てください)
今年の第22回日本緩和医療学会学術大会にも
ジネストさんに来ていただき、講演をして頂いたことは
記憶に新しいと思います。
様々な高齢者の方に出会います。
最近、反応が乏しく、
眉間にしわが寄っていて、
苦しそうに見える患者さんの
診察に、チーム回診で出向きました。
もうすぐ90歳に手が届きそうな
閉眼で、言葉を発することは難しい患者さんと
聞きました。
確かに表情は険しいものがあります。
きちんと名のり、反応があるまで待ちました。
うなづいてくれました。
一つ一つ、体を抑えながら
ここは痛みますか?
などと聞いていきます。
首をわずかに横に振ったり、
縦に振ったりして、
きちんと反応はしてくださいます。
腹部を触ろうとすると、
ぐっと眉間のしわがよりました。
触られるのが怖いですか?
というと縦にも横にも振りませんから、
そっと、手を置きました。
心窩部・・大丈夫。
左側腹部・・大丈夫。
こうして、全部の腹部を触っても、
大丈夫であることがわかりました。
言葉をかけ、反応はかわりません。
この間、目は開きません。
看護師さんに口腔ケアをしてもらいました。
スポンジがついた棒をぐっと噛みます。
でも、口唇は協力的です。
口腔ケアは結構強い刺激ですが、
その反応は想定内でしたので、
右下肢を持ち、股関節での屈曲運動を
私の手の力でやってみました。
筋肉の収縮はまったくありませんが、
少しずつ動きを大きくしても
眉間のしわは深くなりません。
左側を同じように屈曲運動をしてみました。
少しずつ、筋肉がこちらは自動的に収縮し始めました。
眉間のしわも大丈夫。
屈曲他動的な運動を行って、
SpO2は低下無し。
心拍数はもともと心房細動があり、もともと頻脈でしたので、
強くはできないことは確認できました。
そして、ふと見ると、眉間のしわは緩んでいました。
体を動かす刺激がもう少しあると
循環がよくなって、
楽になるようです。
がんがあって、
疼痛が緩和されていないと
こうはいきません。
ですから、疼痛マネジメントができているサインでもあること、
苦痛な表情に見えたのは、
うつらうつらできた方がよい苦顔ではなく、
適度な刺激で循環をよくして挙げた方がよい苦顔だとういうことが
評価できました。
こうした一連の診察に、
病棟の看護師さんも忙しい中、
ちゃんと一緒に関わってくれました。
チームの毎日見てくれているスタッフと
病棟スタッフとともに診ることができたことで、
比較ができます。
これも、とても大切なことです。
心拍数、血圧を見ながら、
マッサージや関節可動域維持の運動を
取り入れみてもらうことしました。
可能ならリハビリスタッフにも関わってもらうことも提案しました。
苦痛があるかどうか・・・
とにもかくにも、
チームで多角的な評価を繰り返すことです。
私達の診療チーム、中々やるじゃない・・と
ちょっと嬉しかった回診でした。
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