緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

オピオイドの便秘のコントロール方法が一変しそうです

2016年09月11日 | 教育

μ受容体は中枢に主に存在しますが、
末梢にもあります。

腸管にもあり、それを利用して、

末梢型μ受容体拮抗薬が
オピオイド便秘に対し、
開発されています。



ナルデメジン

http://www.shionogi.co.jp/company/news/2015/qdv9fu000000o3vi-att/150330.pdf



医療用麻薬であるオピオイドは
とにかく、便秘は高頻度
ほぼ、100%です。

つまり、必発です。

現在は、軟便化と大腸刺激の2種類の下剤を組み合わせて、
オピオイドが増量になると、
下剤も増量し、タイトレーションが必要になるため、
ちょうどよい量を見つけることが難しく、
下痢をしてしまうと、患者さんはてきめんに
内服を躊躇されるようになったり、
尊厳を失ったような気持ちになってしまわれたり、
あと、疲労感を感じられたり(多分、交感神経刺激のため)
とても難しいのですが、
ナルデメジンの機序を考えると
腸管の受容体をブロックしてしまう薬剤ですから、
受容体の数は、そうそう増えませんので、
オピオイドの量が増えても、
たぶん、下剤の量は増やさず一定でいけるはず・・

先日の褥瘡学会のシンポジウムで
久しぶりにお目にかかった薬学の大家の先生からも
そのような話をお伺いし、
この薬が世の中にでれば、
オピオイドの便秘のコントロール方法は、
一変してしまうだろうと思いました。

世界中のガイドラインが書き換わることになるのでしょうか・・

それとも、この薬剤に従来型の下剤の併用も必要なこともあるのでしょうか。
発売後の長期投与報告事例などにも注目していきたい薬剤です。

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