
2年位抗がん治療しながら、緩和ケア外来で症状の治療を行ってきた患者さん。
最初は、抗がん治療は行いたくないと緩和ケア外来を受診された方でした。
最初は、抗がん治療は行いたくないと緩和ケア外来を受診された方でした。
お母さまが肺癌だったそうで、もし、自分ががんになったら抗がん剤の治療は行わないと決めていたとお話くださいました。
ただ、その患者さんのがんは、お母さまのがんとは異なる性質のものでした。
ただ、その患者さんのがんは、お母さまのがんとは異なる性質のものでした。
膵癌でした。
そのがんに効く抗がん剤。
相当前になりますが、ちょうど私が国立がん(研究)センター東病院に勤務していた当時、治験を行っていた薬剤でした。
実は、初めの薬剤開発のエンドポイント(*)はがんの縮小や生命予後延長ではなく、痛みの低下でした。
症状を緩和させることを目的とした抗がん剤だったというわけです。
(その後、腫瘍の縮小効果、予後延長があることがわかってきました・・)
(その後、腫瘍の縮小効果、予後延長があることがわかってきました・・)
つまり、抗がん剤でガンガンたたくというより、症状を取り除くことを目指した抗がん剤だったということです。
ですから、副作用の出現は少なく、がんから生じる症状も軽くなることが推察できます。
その薬剤の特性をしっかりとお話をしました。
緩和ケア医はがん治療をしないことを勧めると思っている患者さんは少なくないようですが、がん治療に関わってきた医師は多く、私のように適切な治療を受けることを勧める緩和ケアの医師は実はとても多いです。
患者さん。
しぶしぶ受けることにしたとお話くださいました。
その抗がん剤の治験を行っていたころ、つまりずっと以前の5年生存率は10%以下でした。
患者さんは2年以上、外来通院しながらお元気に治療を継続されていました。
患者さんは、
拍子抜けしました・・
と、話してくださいました。
副作用で寝込んだり、食事がまったくとれなくなったりすることはありませんでした。
適切な時期に適切な治療を選択しがん治療医の診察と併診して、揺れ動く気持ちを緩和ケア外来でお伺いしながら、ここまでずっと、休薬はあっても、中断することなく続けてくることができました。
副作用で寝込んだり、食事がまったくとれなくなったりすることはありませんでした。
適切な時期に適切な治療を選択しがん治療医の診察と併診して、揺れ動く気持ちを緩和ケア外来でお伺いしながら、ここまでずっと、休薬はあっても、中断することなく続けてくることができました。
本当に、緩和ケア外来を上手に活用してくださった患者さんでした。
(続きます)
(*)抗がん剤を市販できるように治験を行うのですが、その時、必ず、何がどうなったら効いていると判断するか、その薬剤の第一目標を決めます。それが偽薬(プラセボ)に比較して統計学的に差が出たと言いきれたら、効果があると判断します。その第一目標をプライマリーエンドポイントと言います。
nini kvaratskheliaによるPixabayからの画像
先生の語り口に、いつも感心し、難しい話もすんなり理解できた気になっている読者です。
自分の仕事上感じることが多いのですが、人が「こう」と決めたことを覆すのは容易なことではないと思います。
相手の気持ちに寄り添い、受け止めて、信頼関係ができて初めて、こちらの言葉が受け入れるようになるということを実感しています。
多分、一番に先生のお人柄というか、接し方があって、そこにエビデンスを伴ったお勧めがあって、それを受け入れてくれた患者さんと喜びが共有できる。
そんな繰り返し、素晴らしいですね。うらやましい限りです。
これからも応援していますね。
押しすぎず、引きすぎず。
ここは経験ですが、エビデンスのアップデートは努力ですよね。
今回はエビデンスより薬剤開発物語でしたが。。
どんどん出てくるがん治療薬、追いつきません。
薬剤師さん、頼りになります!
aruga
患者さんは決めたと言いつつも迷っていたのでしょう。
優しいコメントに胸熱くなりました。
応援を糧に、もうしばらく頑張れそうです。
本当にありがとうございました!
aruga