緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

緩和医療専門医とは

2011年06月05日 | 医療

私が委員長を務めさせていただいてる
日本緩和医療学会 専門医認定・育成委員会で
今回HPのリニューアルに伴い
委員会初めのページに掲載していただいた文章を
以下に、再掲させていただきました。

今年も7月1日~31日で、募集が始まります。
北海道の学術大会が 7月29日、30日ですから、
申請書を提出してから学会にご参加頂きたい・・・
と、切望しています。



今まで合格された医師を見ましても、
若い医師もいらっしゃいますが、
一定以上の実力を身につけられた方々です。

試験は、知識問題に加えて、
OSCEに準じたロールプレイによるコミュニケーションテスト
が昨年は付加されました。

国内の専門医試験ではまだ珍しく、
大変積極的な取り組みだと思っています。



いつも、大きな声で私が伝えさせていただいているのが
専門医とは、医師の名誉や勲章ではなく、
緩和医療分野において、
国民に信頼される医師を学会が認定する事業だということです。





学会HPより・・・ 

専門医制度が始まり、4年目となりました。会員の皆様のご支援と委員・部員の協力のもと、制度整備は一項目を残し一段落しつつあります。今後は、募集要項専門医Q&Aの方向に一貫し、状況に合わせながら小さな調整を行っていくことになります。

1)専門医の大切な考え方
 専門医は、医師のためのものではなく、『国民から信頼される医師』を学会が示すことにあります。
2)基本的緩和医療と専門的緩和医療について
 緩和医療は、基本的緩和医療と専門的緩和医療に分かれ、どこでも、誰でも行うことができる緩和医療は基本的な緩和医療にあたります。
 一方、基本的な緩和医療下で症状が緩和しきれず難渋した時、他科や他施設からの相談にのることができ、適切な助言を行い、症状緩和を達成したり糸口を見出したりできることが、専門的緩和医療に求められます。
3)緩和医療専門医に求めること
 専門医Q&Aに求められる資質が記載されています(P.3 II-1. 専門医要件)。
 その中でもとりわけ、臨床では所属する診療科内での診療活動に留まらないコンサルテーションで臨床現場に還元すること(または、還元するだけの力を持っていること)、教育では、指導医として国民に信頼してもらえる後進医師の育成に当たることができること、さらに、研究面においては、ご自身の研究哲学ではなく、標準的な手法や考え方を若手に指導できることが求められます。これらの基礎にあるのは、コミュニケーション力です。2010年の認定試験では、シナリオにそった模擬患者との臨床面接試験を取り入れました。

 形骸化した専門医制度の見直しと再構築が国内では始まっています。国民の健康とQOLの維持、向上に寄与することができる実のある制度であるために、委員会一同、臨床の傍ら時間や労力を注ぎながら努めております。医師の皆様、十分な試験の準備は要しますが、それが緩和医療の底力になると思っています。是非、試験にチャレンジし、一人でも多くの専門医がご活躍下さいますよう心より願っております。

(ここまで、HPより)

昨年から、委員長を引き受けさせていただいて
ほとんど自分の実績をあげる仕事をする
時間はなくなってしまいました。

日本の緩和医療が底力をつけ、
成長できるなら、
皆様のお力添えを頂きながら
もう、しばらくばかりなら・・・と思っています。


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4 コメント

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ご無沙汰しています (そら)
2011-06-05 21:49:58
専門医とは、医師の方々にとって自分がどれだけ頑張ってきたかというご褒美(?)だと思っていました。

一般人にとって、誰にかかれば確かな医療を期待してよいのかと思うような事件がありました。
心臓手術や泌尿器の腹腔鏡手術で、専門医なのに、一度も経験したことがない手術で、患者が死亡したという事件だったと思います(間違っていたらすみません)

国民にとって信頼できる医師と保証してもらえる専門医の制度だったら、本当に素晴らしいです。

相当厳しい試験にしなければ、保証するというのは難しいことではないでしょうか。
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そらさん (aruga)
2011-06-05 22:58:21
コメントありがとうございます。
まさに、ご指摘の通りです。
患者さんのための専門医制度であるには、一定の水準に達していることを確認しなければいけないのですが、要素は複数あって、知識だけではなく、ケアの心、後輩の指導力など多彩です。
試験は難しいと思います。

ただ、老眼が入ってくると、長時間の小さな字の試験は厳しいように、ただ、過酷な試験では他の因子まで拾ってしまうので、そこは、調整が必要だなあと思っています。
返信する
はじめまして (まる)
2011-06-30 23:33:59
来年より緩和ケアの専従医師になることを決意したものです。
以前より拝見させていただいていました。
元々の専門科を十数年経過した後の転向です。
初心に帰り、勉強しなければと気持ちを引き締めております。
実父をがんで看取り、母は要介護3。いろいろな人に助けられ、仕事を続けてこられていることに感謝しています。また、多くの患者様の死。いろいろ感じることがありました。すこしでも私にできることがあればと思っています。
これからもちょくちょく訪問させてください。

返信する
こちらこそ、はじめまして (aruga)
2011-07-01 22:02:21
まるさん

コメントありがとうございます。
私たちの頃は、皆色々な専門分野に所属していて、そこから緩和医療の勉強を始め、少しずつ道を太くする作業を積み重ねてきました。
転向なさろうと思った時は、決心が必要だったのではないでしょうか。
10数年の経験やご家族がそこを後押ししてくれたのかもしれません。
プロセスは違っても、目指すところは同じ仲間です。
どうぞ、宜しくお願いいたします。
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